愛すればこそ―Twitterの将来がどうも心配だ

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この記事を書くのは気がすすまなかった。何週間も書こうとしてはためらった。「Twitterには問題がある」なんて記事、誰も書きたくはないだろう。友だちの犬をいじめるような気がする。

しかしTwitterという会社の運営にはやはり問題があるという確信は否応なく深まってきた。今日、Jessi Hempelがこの問題について書いたFortuneの特集記事が発表された。この記事に多くの点で賛成だ。過去数ヶ月、私の耳に入ってきた情報を合わせて、以下で少し詳しく検討してみたい。

悪い兆候:

1. 3年もたたないうちにCEOが3度も変わるのは良い兆候ではない。Jack Dorseyは間違いなくTwitter随一のビジョナリーだ。Squareの創立でもわかるとおり、Dorseyの優れたビジョンはTwitterの外でも遺憾なく発揮されている。Evan Williamsはいち早くTwitterの可能性を確信し、自分自身の資金を投資して現実の会社として立ち上げることに成功した。この2人がいなければ現在のTwitterが存在しなかった。しかし残念ながら2人は社内で並び立たつことができなかった。

そこでどうなったか? TwitterはまずDorseyに会社の運営を任せた。次にDorseyを追いだしてWilliamsに代えた。公にされているものもあれば噂にとどまるものもあるが、いずれにせよ、この試みは多くの問題により失敗した。業界で私が会った人間は口を揃えて、Twitterの3人目のCEO、Dick Costoloが会社経営者として最も適任だという。彼が非常に有能な経営者であることは間違いない。しかし、いってみれば、彼はTwitterのSheryl Sandberg 〔FacebookのCOO〕だ。 Twitterが買収されずに独自の存在として成長していくためにはMark Zuckerbergのようなビジョナリーが必要だ。つまりプロダクトについて天才的なビジョンをもつ指導者だ。そういうわけで問題2へ移る。

2. プロダクトのビジョナリーは、最低限でもフルタイムの仕事だ。 成功しているテクノロジー企業のほとんどはCEO自身がプロダクトのビジョナリーだ。AmazonのJeff Bezos、AppleのSteve Jobs、ZyngaのMark Pincus、SalesforceのMarc Benioff、OracleのLarry Ellison―そしてもちろん、FacebookのZuckerbergもそうだ。数多くの調査研究の結果でも、プロダクトに優れた見識をもつファウンダーがCEOに留まる会社が成功を続ける可能性が高いことが判明している。ところが、いろいろな理由で、多くの会社でこれが実現しない。もちろんそうだからといって会社がすぐにダメになるというわけではない。肩書きというのは肩書きにすぎない。一時、SandbergはCOOの肩書きのまま、Google流にいえば「大人のCEO」としてFacebookを万事切り回していた。

しかしこれだけは言える。独創的でユーザーから愛されるプロダクトを中心とした成長しつつある会社は、100%の時間をプロダクトの改良に捧げることができる人物を最高幹部に少なくとも一人は必要とする。その人物は週に40時間なんていう半端なかかわりではなく、週に7日、1秒残らず専念してくれなければいけない。当初の評判とは違って、CEOを辞任する前のWilliamsはそうではなかった。彼は取締役会に出席し、あれこれとアドバイスは与えた。しかし心は次のプロジェクトに向いていた。Fortuneの記事に匿名の情報源の話として伝えられるところによれば、DorseyもフルタイムのCEOになるつもりはない。

もっともそれはFortuneの記事で改めて指摘されるまでもなく予想されていたことではある。Dorsey自身は「Twitterの職〔エグゼクティブ・チェアマン〕は短期のものだなどと友だちに話したことはない」と否定するものの、Dorseyには自分の創立したSquareを運営するというフルタイムの仕事がある以上、Twitterのビジョナリーに専念することができないのは明らかだ。 Squareはある意味でTwitter以上に独創的で世の中に与える影響が大きいかもしれない。それにしてもプロダクトの改良、ネットワークの拡大、ビジネスモデルの確立には長い時間を要するだろう。CEOがSquareとTwitterに二股かけていては、長期的にはどちらの会社にも害になる。Dorseyが良い仕事をしたいなら、どちらかを選ばなくてはいけない。

最高に優秀な起業家であっても、2つ以上のフルタイムの職を兼ねてそれぞれで成功を収めたなどという例はほとんどない。Steve JobsがAppleのCEOとPixarの会長を兼ねていた例が思い浮かぶが、そのJobsもほとんどの時間はAppleに使っていた。JobsはiPodの構想を練る一方でファインディング・ニモの企画会議を主催したり、カクレクマノミのスケッチを描いたりしていたたわけではない。Elon MuskもTeslaとSpaceXの2社のCEOだが、本人もこれは一時的なことだと認めている。

今週に入って私は「DorseyはSquareでは日常業務はPayPal、LinkedIn、Slideでスタートアップの運営に豊富な経験をもつKeithRaboisに日常業務を任せ、 自分は会長になってTwitterに専念することを選ぶかもしれない」という噂を聞いた。Jobsの比喩を続けるなら、Pixarを売却し、贖罪のためにAppleに戻ってきてさらなる栄光をつかむ、ということになるわけだが。しかしFortuneの記事のとおり、DorseyにとってTwitterの職の方が一時的なものではないかと私には思える。

そういうわけでTwitterはやはり優れたプロダクト・ビジョナリーを必要としている。(Twitterもこのことは認識していたとみえ、Googleからの人材引きぬきを図ったが失敗している)。

3. Twitterにとってプロダクトの重要性は他のテクノロジー系企業における場合よりも一層大きい。なぜならTitterは 決定的に優れた、大成功を収めたサービスだからだ。なるほどトラブルも多少あり、最近、劇的なイノベーションは行われていない。しかしそんなことは問題ではない。ユーザーはTwitterを愛している。Twitterはメディアのあり方さえ変えた。それにFacebookにさえない特長を持っている。世界中の有名人がTwitterでつぶやいている! Twitterに何十億ドルもの価値がある理由は、Twitterというプロダクトが優れているという以外にない。

Dick Costoloが運営体制の整備と売上の増大に集中したのは当然だ。それがCostoloの得意分野だし、Twitterの一番弱
い分野だったからだ。報道によればTwitterの売上は以前推測されていたよりだいぶ上らしいが、それでも数億ドルというところだろう。残念ながら数十億ドルに評価されているシリコンバレーの企業としてはまだ低すぎる売上だ。それと、私が耳にしたところでは、Twitterの社内には最近大きな溝ができているらしい。株式の大部分を持ち、もう会社にあまり出てこないベテラン社員と要求の厳しいCostoloの下で採用された新しい社員の間がギクシャクしているという。それはそうだろう。3代のCEOがそれぞれに人を採用したわけだから指揮命令系統も混乱しているはずだ。

私が意見を聞いた人々は口をそろえて、Costoloはこうしたさまざまな問題を乗り越えていくに違いないと語った。同じサンフランシスコにオフィスを置くTechCrunchとしても、サンフランシスコ市の給与税を新設するという暴挙に対して、Costoloが取った毅然とした態度には多いに敬意を表する。彼の努力は全市のスタートアップを助けるものだ。だからこそCostoloにはプロダクトを改良し、ユーザーを喜ばせつづけることができる才能をもった人材が必要だ。Twitterが現状に安住することは絶対に許されない。 そんなことをすればMySpaceの不吉な運命が待っている。MySpaceも長年ユーザーに愛され、数多くのセレブ・ユーザーを擁していたが、イノベーションを怠るようになったとたんに、Facebookに圧倒されてしまった。

4. お願いだから買収されないで。 いわゆるWeb 2.0サービスの中で私が毎日もっとも多く利用しているのがTwitterだ。TechCrunchの記事の配信にも決定的な役割を果たしている。はるか昔、Diggが約束したメディアの仕組みの改革はTwitterでとうとう実現された。それがGoogleとFacebookという巨人の戦いの中で単なる歩として消えていくのを見るに忍びない。Twitterにはもっと価値があるはずだ。Twitterの重要性はもっと上である。

WilliamsがTwitterを運営している間は買収に応じる危険性は少なかった。Williamsは自分が創立したBloggerをGoogleに売却し、短期間だがそこで働くという経験をしている。当時のGoogleはIPO前の若いスタートアップで、今のような巨大組織ではなかったが、それでもWilliamsにとっては愉快な経験ではなかった。

しかし今やWilliamsは去り、 Dorseyはパートタイムだ。もしプロダクト開発に大胆なリーダーシップをふるえる人材を得られないまま時間がたつと、Twitterの先行きは陰り始め、やがて数10億ドルというような買収提案を断りきれなくなる日が来るのではないか? 私は必要以上に悲観的になるつもりはないし、Twitterが現在そういった危機にあるとも思っていない。しかしTwitterが岐路に立っていることは確かだ。一方は偉大な独立したウェブ企業として自らを確立するの道であり、もう一方は買収される道だ。

Twitterには優れた取締役、敏腕CEO、そしてシリコンバレーの全員の好意という巨大な資産がある。まだまだ未来に大いに希望をつなぐことができるはずだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

“愛すればこそ―Twitterの将来がどうも心配だ” への8件のフィードバック

  1. Twitterには頑張ってもらいたい

  2. Twitterはパワフルだが、FaceBookとの住み分けが面倒。僕には両方アクティブになるほどの元気はないしね。

  3. Guest より:

    自分も毎日Twitterを使っていますが、サイトの機能とブランドさえ残るのならどこに買収されようと構わないですね。

  4. Yatsuu Yasuhiro より:

    日本での異常な流行とは裏腹の、厳しい評価。でも概ね同感。
    フォローもフォロワーも増やす気あんまりない。
    もともと興味が薄かったので、参戦が遅く、

    ・ショートRSS→タイトルのみ
    ・マルチキャスト→外部アプリのトリガに
    ・完全公開の一言掲示板
    ・匿名可の半公開チャット

    程度の認識で、機能を使い切っているとはまったく思っていないが、
    これからなくてはならないものになるとは、どうにも思えないんだよね・・・・

  5. Koki Muta より:

    GoogleとFacebookという両巨頭に負けない存在感を発揮しているのは凄いですがこの先は・・?
    日本ですごい人気のツイッターもアメリカのサービスですから、アメリカでの立ちまわりも要注目ですね。

  6. Koki Muta より:

    GoogleとFacebookという両巨頭に負けない存在感を発揮しているのは凄いですがこの先は・・?
    日本ですごい人気のツイッターもアメリカのサービスですから、アメリカでの立ちまわりも要注目ですね。

  7. 匿名 より:

    やっぱりビジネスモデルが固まっていないのとCEOがどんどん交代しているのが気になるな。

    この間始めたプロモツイートは、フォローしている人にしか流れないから、主にフォロアーを沢山抱えている大企業しか使わないだろうし、通常の企業がマーケティングで使うにしても目新しいものなら拡散効果は大きいのかもしれないけど、ほとんどはフロー型の情報なのでどんどん流れてしまって見ていない人も多いと思う。
    Googleとのリアルタイム検索の契約は、どうなったのだろう?これも今あるのかわからないぐらい使わなくなってしまったし。

    しかし、多くの人とリアルタイムでつながっているというのを一番感じるサービスであるのも事実。自分も2ヶ月前と今回も辛口なコメントを書いてしまったけど、とてもお世話になっていて、とても尊敬している大好きなサービスの一つ。自分の運営しているサービスでもTwitterには大変お世話になっている。頑張ってほしいな。

  8. 匿名 より:

    やっぱりビジネスモデルが固まっていないのとCEOがどんどん交代しているのが気になるな。

    この間始めたプロモツイートは、フォローしている人にしか流れないから、主にフォロアーを沢山抱えている大企業しか使わないだろうし、通常の企業がマーケティングで使うにしても目新しいものなら拡散効果は大きいのかもしれないけど、ほとんどはフロー型の情報なのでどんどん流れてしまって見ていない人も多いと思う。
    Googleとのリアルタイム検索の契約は、どうなったのだろう?これも今あるのかわからないぐらい使わなくなってしまったし。

    しかし、多くの人とリアルタイムでつながっているというのを一番感じるサービスであるのも事実。自分も2ヶ月前と今回も辛口なコメントを書いてしまったけど、とてもお世話になっていて、とても尊敬している大好きなサービスの一つ。自分の運営しているサービスでもTwitterには大変お世話になっている。頑張ってほしいな。

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