なぜAndroidのブラウザはChromeでないのか?

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この2年ぐらい、Googleの記事を書いていると、いつも浮かんでくる一見単純な疑問がある。Googleはその答をくれないようだが、ChromeはなぜAndroidにないのだろう?

それは何も、深読みするような疑問ではない。たとえば”Chrome OSとAndroidを一つにしてしまえばいいじゃないか?”とか、そんな大仰な疑問でもない。Googleの、とても人気のあるWebブラウザがなぜ、同じくGoogleのとても人気のあるモバイルオペレーティングシステムにないのか?、という単純な疑問だ。とにかく、そのOSにブラウザはあることはある。”Browser”というとても良い名前だが、Chromeではない。どうしてか?

当然ながらこの疑問は、先週のGoogle I/Oにも登場した。Chromeのチームの多数のエンジニアたちによるパネルで、それは最初に投じられた質問の一つだった。その答は? “いまそれは、われわれのあいだで、話題になっていない”。あ痛っ。

“だからどうお答えしてよいか分からない”、とそのエンジニアは続けた。そうかよ…。

この答が分かりにくくて、しかも言い方がきつい、と感じたらしい別のチームメンバーが、話に加わった。”われわれの仕事は、ブラウザを良くしていくことです。厳密にはChromeではありませんが、Androidのチームとも大量のコードを共有しています。コードの共有は今後もっと増えるでしょう”。まあましな答だが、まだよく分からない。

これまでの年月で、この話題は何度も何度も取り上げられてきた。それらの議論を煮詰めると、こういうことが言えるのではないか: まず、AndroidのチームとChromeのチームは完全に別のチームである。第二に、2つの重要なブランドを並列させるのが難しい。第三に、Androidのブラウザは、Chromeに似ているがChromeではない。

上の第一と第二は、最近ますます関連してきているので、なかなかおもしろい。今年のI/OでGoogleは、AndroidとChrome OSという二頭立てのOS体制を全面的に支えていく姿勢を示した。それぞれ、まったく別のチームが担当していて、両者の交流もあまりない。

先週Googleの役員たちは、同じ答を何度も繰り返したが、この二つのOSは目標が異なる。いろんな点で、違いも大きい。Chromeは最初はWebブラウザにすぎなかったが、今ではGoogle内部でイデオロギーの柱みたいなものになっている。誰も認めないけど、イデオロギーの戦いでは勝つのはChromeかAndroidのどちらかだ。そこで両チームは、協働しづらい。

2008年12月にAndroidが初めてロンチしたとき、その同梱ブラウザがChromeでないことは、小さな見過ごしか、または何らかの予防的措置のように見えた。Chromeブラウザはその前月に(Windows上で)ベータで立ち上がったばかりだった。でも、今後人気が出たら、それを当然Androidにも載せるのではないか、と当時は思われた。

Chromeは人気者になった。大人気だ。でも、GoogleはそれをAndroidに持ち込まなかった。AppleはMacの、それほど成功してもいないSafariブラウザをiPhoneに持ち込んだではないか。またOperaとMozillaのFirefoxも、デスクトップで人気の出たブラウザのモバイルバージョンに力を入れている。それなのにGoogleは、Androidに関しては”Browser”に固執している。

しかもその固執は、永遠に続くのかもしれない。問題はChromeが、良かれ悪しかれ、今ではChrome OSというAndroidと同格の製品–つまりどちらもOS–に結びついていることだ。AndroidタブレットにChromeブラウザがあって、その翌年、Chrome OSタブレットが出たら、どういうことになるか? 消費者の混乱はピークに達するかも。それらは、どこがどう違うのか? …従来的なPC(+その上のChromeブラウザ)とChromebookに関しても、消費者の脳裏には同種の混乱が生ずるかもしれない。

いずれにしても、AndroidのBrowserとChromeは違う、という点が重要だ。どちらもベースはWebKitで、JavaScriptエンジンはGoogleのV8だが、ChromeにあってBrowserにない–まだない?–機能は何十件もある。

同じことが、Appleの正規のSafariブラウザとそのモバイルバージョンについても言えるが、でもSafariはそれほど先進機能を売りにしていないから、ブランドの問題はChromeの場合ほど大きくない。しかも、iPhone/iOSのチームとSafariのチームが、今の実際と違って仮に仲が悪かったとしても、Steve JobsがiOSのブラウザをSafari以外のものにしたとは、とうてい考えられないだろう。

Googleはこの逆で、Androidのチームは同梱するブラウザに関して独自の欲求やニーズを持っている。しかも、仮に、Chromeチームの事情で、Androidの新しいビルドが進まなかったらどうなるか? その逆は?

しかしHoneycombのロンチを見ると。AndroidのBrowserもいよいよ、かなりChromeふうになってきたようだ。とくに、タブがサポートされたことでその感が強い。でもそれによって、疑問もさらに増える。そして結局、いろんな要素を両者(ChromeとAndroidのBrowser)間で完全にシンクせよ、とユーザが要求し始めるのは、もはや時間の問題だ。

そうなったら、Googleもこの疑問をもう一度洗い直すことになるかな。そして、やっとAndroidにChromeが載る?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))