Grouponとアトリビューション: online/offlineのループを閉じた成果が$25Bに値するか?

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最近は本誌の上も、Groupon関連の記事やたら多いが、でも肝心ななことを忘れてはいないだろうか? bookingbug.comのディレクターRob Carterが、Grouponがやったことの意義を、あらためて考察する。

最近Grouponについて書かれていることとは逆に、多くの人はGrouponには価値がある、今でも大きな将来性がある、と考えている。ぼくも同意見だが、でもその理由はみんなと違うかもしれない。ぼくの考えでは、Grouponの未来はユーザ企業の繰り返し利用にかかっているから、今の単純な大幅ディスカウント方式では長続きしない。Grouponがやってるようなことは、前からある: 安売り、その期限、クーポン、の三点セットだ。気づいていない人も多いと思うが、Grouponがやったことの中ですばらしいのは、アトリビューション(attribution)*だ。Grouponが成し遂げた最大の進歩は、オフラインの場所(お店など)へのオンラインのリコメンデーションを作ったことだ。それ自体もやはり新しくはないが、新しいのはリコメンデーションの成功を追尾/追跡できることだ。〔*: ここではオフライン顧客の具体化顕在化への寄与。〕

Googleが発明したAdwordsは、大きな価値をもたらした。企業は自分のWebサイトへのクリックにお金を払うから、品物が売れても売れなくてもGoogleは儲かる。Facebookは人びとに関するデータを集め、製品や人間や企業への’like’により人びとを関心グループに分類する。そして特定のグループ(”ボストンに住む25歳以上の既婚女性でブリトニー・スピアーズのファン”)に対するマーケティングができるようになると、Facebookのグループの価値は急上昇した。eコマースのWebサイトは、GoogleやFacebookなどからやってくる人たちを売上に結びつけるために、いろいろと努力しなければならない。そのため、あらゆる業界が有料の検索広告に頼ることになった。今でもそれは変わらないが、しかしクリックに対して金を払う企業は、売上に直結するようなマーケティング投資をしているわけではない。つまり検索広告の利用には、Grouponのようなアトリビューション–実顧客が開拓される間接効果–はない。

検索広告という粗略なモデルに対して、追尾とアトリビューションの機能を最初に加えたのがアフィリエイトネットワークだ。オンラインのリコメンデーションは、エンドツーエンド(end-to-end)でオンラインの売上を追跡できる。会社の経理の連中は、自社のWebサイトのサクセスレートやトラフィックに対する支払いを計るよりも、実際の売上に結びつくやり方を喜ぶ。Webサイトのサクセスレートなどは、複雑なだけでなく、所詮、頼りにならない数値だ。自動化セルフサービスツールがWebを直撃し、オンラインのリコメンデーションで売上を追跡できるようになった。それらは今では、でっかいビジネスだ。

これまでは、お客が自社のWebサイトを訪れて物を買う、というタイプの企業にとっては、上のモデルで十分だった。しかし、物理店舗にとっては、何の恩恵もない。何もかもがオンライン化しつつある今日(こんにち)だが、しかし、オンラインで髪を切ってはもらえない。

Grouponは、オンラインとオフラインのあいだをループ(輪)で閉じた。オンラインで提供されるリコメンデーションを読んだ人が、オフラインの物理店舗で金を使う。オンラインの稼働は無理で、どうしても物理店舗に依存するタイプのビジネス(例: 床屋、レストラン、…)が新しい顧客を引きつけ、その成功報酬をGrouponに払う。従来のサイトのクリックが、物理店舗のブリック(brick, レンガ)に変わる〔あまり意味のない駄洒落〕。

この閉じたループは、Adwordsに負けず大きい。Grouponに金を払えば、それだけで客が来てくれる。ただし収益に結びつけるためには、今後、Grouponに払った以上に儲けなければならない。一度しか来ないお客からでも。だから、Grouponに載せるお買い得企画は、賢い企画であること、そのパフォーマンスを数値で計れる企画でなければならない。

Coupon.comの最近の$200M(2億ドル)の調達、それに FacebookGoogleをはじめ、世の中の誰もかれもが、このクーポンクラブに参加してきて、競争はいよいよ激しくなっている。Adwordsの場合と同じく、クーポンに関しても関連産業が育ってきた。それは、この新しいマーケティングツールの車輪にグリースを塗ってパフォーマンスを向上させる新しい業態だ。ビジネスの利益率を上げる各種のソフトウェアやサービス、商業者やお買い得サイトのための補助ツール、などなどの関連業態が、この、もうすぐ競争が激化する市場で先行者利益を争っている。今は、早い者勝ちだ。

サイトが、ユーザである商業者についてよく知ることが、ユーザを助けることにつながる。一日の客数は? もっとも多忙な時間帯は? 季節変動はあるか? 在庫管理はどうやっているか? こういった知識は、商業者とクーポンサイトの両方にとって、きわめて重要だ。会計士/会計事務所のサービス、在庫管理システム、簿記、金券現金化サービスなどなどのSaaSはいずれも、顧客企業との賢い二人三脚が、良質なサービスを提供するために欠かせない。今流行りの、Grouponのようなクーポン/日替わりお買い得サイトも、まさにそのようなサービスの一つだ。サイトが商業者の実態をよく知れば知るほど、お互いが有利になるのだ。また、どの業種業態ならどこがいいか、どこの地域ならどこがいいか、といった、サイトの個性や適性を商業者が知ることも、お買い得サイトの有利で賢い利用のためには重要だ。

この業種におけるホラーストーリーはあまりにもよくあることだし、いつも大げさに報道される。クーポンサイトが成功するためには、それが起きないようにしなければならない。小企業の経営者にはやる気満々のタイプが多くて、何千枚ものクーポンを売る気になったりする。そしてGrouponが、そういう企業(お店)を優遇したりするから、オーバーランが生じたりもする。この業界で起きる不満は、商業者がお金を無駄に使ってしまったときと、お店のお客がクーポンでのディスカウント支払いができなかったときに起きる。だから、サイト側が個々の商業者の業態を事前によく知っていることが、それを防ぐ。売りすぎは禁物だし、その企画で生じうる損益の可能性については、事前に率直な情報を伝えることが肝要だ。

この業界は日替わりの大幅値引きがベースで、上記の閉じたループがそれを支える。しかし、やり方は変わるだろう。値引率は小さくなり、また、時限はなくなるだろう。GrouponのIPOは(もしあれば)$25B(250億ドル)の評価額を支える(後述)。そのうちに、既存のメジャーな企業(Googleなど)も参入してくるし、小企業向けの標準的な経営補助ツールの数々が、日替わりお買い得サイトの利用を前提とした作りになってくる。大手クーポンサイトは、Facebookみたいな’プラットホーム’になる。ある種の戦略的な買収も、ぜひすべきだろう。今後の新しい技術進歩により、オンラインのアカウントとメールアドレスが、オフラインのトランザクションに結びつく。たとえばJack DorseyのSquare(Visaも投資)やGoogleのWalletプロジェクトも、そんな役を担う。もちろん、今後はこの二社だけでなく競合他社もたくさん生まれる。Grouponが失敗して投資家たちが丸裸になることは、ありえない。ループは閉じたのだから。ループ万歳!

250億ドルへの道

GrouponのIPOの噂が今はビッグだが、でも彼らが提案しているのは会社のわずか3%を一般公開することだ。この小さな率は、Grouponが近未来の黒字転換を計画している兆候かもしれないが、しかし私の考えでは、市場に少量の株しか流通させないことは、高い株価、そして天文学的な評価額を 維持する戦略だ。

The Pointは2007年に創業され、2008年1月に$5M(500万ドル)を調達した。初めは”グループアクションのネットワーク”がコンセプトだったが、その後日替わりお買い得と協同購入サイトに衣替えした。そのThe Pointが2008年11月にGrouponになり*、2009年1月にAccel Partnersが$280M(2億8000万ドル)の評価額で$30M(3000万ドル)のキャッシュを注ぎ込んだとき、ヨーロッパには無数のGrouponクローンがあふれた。〔*: 本来のThe Pointは復活。〕

その新しい評価額と経歴をベースに、同社は生後6か月のMyCityDealを買収し、そのときSamwer Brothersは巨額を手中にしたと噂されている。そのときの買収価額にはさらにそれプラス、Grouponの株10%というオマケもあった。

Grouponは2011年の1月にKleiner Perkinsから、$950M(9億5000万ドル)の資金を調達している(実はファウンダたちはただちにかなりの巨額を自分のポケットに入れてしまったが)。Kleiner Perkinsは積極的な投資家で、Twitter、Flipboard、Lockerz、Zazzleなどの資金の相当部分を投じているが、財布の紐がきわめて固いことでも知られている。”確実なもの”にしか投資しないのだ。そのときはロシアのDigital Skyもラウンドに参加した。当時の評価額は$4.75B(47億5000万ドル)だったから、たぶんそれが、わずか30日前の、$6B(60億ドル)というGoogleの買収オファーを断った理由だろう。つまり彼らは、もっともっと行ける!、と踏んでいたのだ。

〔訳注: 6月にU.S. TechCrunchは、gopherの時代から地域小企業を相手にインターネットビジネスをやっていたというRocky Agrawal氏による、Groupon批判〜一般的に日替わりお買い得クーポンサイト批判を、数多く掲載している。いずれも長文で数も多いので、jp側では未訳である(それに原文はコメントが優れているがjpではそれらは省略されてしまう)。本記事は、それらに対して、Grouponを擁護しているもの。Agrawal氏のGroupon〜お買い得サイト批判記事は、古い(6月3日)ものより順に、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))