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存在しないバブル、弾ける―株価暴落はシリコンバレーにかえって朗報

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バブルには2種類ある。ひとつは現実の経済的現象で、さまざまな財の価格が長期的に維持できないような水準に人為的に吊り上げられた状態を指す。これはマクロなスケールで市場に影響を与える。これに対して心理的バブルもある。この場合、実際に影響を受けるのは比較的小人数の関係者だけであるにもかかわらず、多幸症的な夢にふけっていた多くの人々が幻滅し、社会的信頼関係の広汎な破綻をもたらす。

最近の住宅バブルは明らかに経済的バブルだった。住宅価格は際限なく上がり続けるという根拠なき信念のために、何百万もの人々が家を失った。

1630年代にオランダで起きたチューリップマニア〔チューリップ狂時代〕は、実は心理的バブルの典型だった。数年前、Anne Goldgarは今でもバブルといえば必ず引き合いに出されるこの現象を詳しく調査したTulipmaniaという本を書いた。Goldgarは研究の過程で、チューリップの球根がバカげた高値を呼んだ後で暴落したとき、実際に大きな経済的損失を被った人間は驚くほど少なかったことを発見した。

チューリップの球根は地面に埋まったままだったからだ。チューリップの取引は通例、球根が育って花を咲かせた後で決済されることになっていた。だから市場が崩壊したとき、関係者は単に契約を破棄した。投機家はもちろんこれによって損失を被ったが、その損害の程度はさほど深刻ではなかった。ほとんどの関係者にとってチューリップ投機はほんの余技だったからだ。実際、Goldgaはチューリップ・バブルの破裂で破産した実例を1件探しだすだけで大変な苦労をさせられた。

にもかかわらずこの現象が現代にいたるまでバブルの典型として語り継がれることになったのは、社会的、心理的影響のせいである。無数のチューリップ売買契約が全面的に破棄されたのが、契約に対する社会的信頼を大きく傷つけた。その後のバブルもそうだが、人々は信ずべからざるものを信じた自分たちが愚かだったと痛感した。

一方、アメリカのドットコム・バブルは経済的バブルでもあり心理的バブルでもあった。経済的損失も事実巨大なものだった。巻き込まれた人々の多くが、住宅バブルの場合と同様、家を失った。財産と職を失い、人生の新規まき直しを強いられた人々も多かった。以来人々は虎の子を投資するのにもっと慎重な態度を取るようになった。

われわれが今でも1990年代末のバブルのことを繰り返し語り続ける理由は、感情的、心理的打撃がそれだけ深刻だったからである。当時、インターネットは広く大衆の想像力をかき立てた。これが100年に1度の大発明なのは事実だったし、折から株式投資の急速な大衆化が始まっていた。その後の住宅バブルは金融バブル立ったのに対し、ドットコムは株バブルだったから、誰もが簡単に手を出すことができた。そこでインターネット業界、ベンチャーキャピタリスト、マスコミ関係者だけでなく、何百万もの一般人が痛い目に遭うこととなった。大勢の人々が2000年3月に「自分は愚かだった」とほぞを噛んだ。.

ところで、ジャーナリストであり著作家でもある私としてはあまり認めたくなのだが、もう一つ、 「ワグ・ザ・ドッグ」的なバブルというものも存在する。つまりメディアの記事や熱心過ぎるTwitterユーザーのつぶやきの中にしか存在しないバブルだ。現実には深刻な経済的現象もなければ広汎な大衆の多幸感もない。”ワグ・ザ・ドッグ”というのはダスティン・ホフマンとロバート・デニーロ主演のハリウッド映画〔ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ〕から名前を頂いた。この映画では、大統領のスキャンダルから大衆の目をそらそうと一部のメディアが偽の戦争をでっち上げる。ワグ・ザ・ドッグ・バブルでは現実には何も起きていないのに「バブルだ!」というマスコミの声が何ヶ月も続く。それというのもページビュー稼ぎと、万一バブルが起きたときに「私は予言していた!」と言いたいためだ。

最近、このワグ・ザ・ドッグ・バブル報道目についていたが、実はその始まりは何年も前に遡る。エンドユーザー向けウェブビジネスへの本格的投資が始まって以来、ジャーナリズムは飽きずに「バブルが来た」と言い続けてきた。2006年以後、ベンチャーキャピタリストが次第にスタートアップに対する会社評価額を次第に吊り上げてきたという事実以外には、現実のバブルの兆候は一切ない。

第一、バブルのようにすべてウェブビジネスが上げ潮に乗れたわけではない。例はいくつもある。「ソーシャルメディア・バブル」が言われるなか、MySpaceが劇的に凋落したことは記憶に新しい。シリコンバレーの寵児だったDiggやSix Apartも今では抜け殻のようだ。スタートアップの多くは資金調達に苦労している。毎年数千のウェブ企業が生まれているにもかかわず、「10億ドルクラブ」などといいはやされる成功企業は30社にも満たない。また高すぎる評価額でのベンチャーキャピタリストの投資にしても、最悪のケースでも会社を投げ売りして元金は取り戻せる条件となっているのが普通で、経済的損害は最小限だ。

だが、バブルだと叫ぶジャーナリストたちは事実などにはおかまいなしだ。自分がバブルを指摘した最初の記事を書いたと手柄にしたいだけなのだ。そこへ、株式市場全体の暴落が来た。先週私は、この暴落をバブルの証拠にでっち上げる記事が出てくるだろうと書いたが、そのとおり、一部のジャーナリストは「大衆市場に先駆けたバブル」だったなどと言い出している。これなど、過度の楽観による大衆的経済現象を指すという バブルの定義そのものに反したナンセンスというしかない。少数の業界関係者が「先駆けて」いただけでバブルが起きるものではない。月曜日に2008年以来、ダウが最安をつけたということをもって「バブルが弾けた」と書いた記事もあった。

馬鹿馬鹿しい。まずバブルが起きたという証拠が何もないのにどうして弾けることができる? 

以上のような自明の理に加えて、もう一つ考慮すべき点がある。今回の株式暴落は、ネットバブル再来を叫ぶオオカミ少年たちがいかに努力しようと、PandoraのIPOやLinkedInの一株当たり収益率の上下に結びつけることは不可能だ。アメリカの上半期の経済成長の不振、スペインとイタリーがギリシャの轍をたどって債務不履行に陥るのではないかという不安などに加えて、ワシントンが例によって2週間に渡るドタバタ劇を繰り広げた後、S&Pが米国債の格付けを下げたことが暴落の引き金になったことは明らかだ。スタートアップ経済と株式市場全般の動向が絶縁して久しい。アメリカの失業率が9%にもなっているというのに、シリコンバレーでは皆が血眼で人材引き抜き合戦を繰り広げている。

なるほど、シリコンバレーでも数社が株式公開の時期を延期した。それはこうした不安定な経済情勢では当然の用心である。しかし影響を受けたのはZyngaでもないしGrouponでもなしFacebookでもない。〔以下原文参照〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+

“存在しないバブル、弾ける―株価暴落はシリコンバレーにかえって朗報” への4件のフィードバック

  1. > アメリカの経済成長率9%Unemployment remains at 9% in the country
    なので「アメリカの失業率が9%」ですね。

  2. > アメリカの経済成長率9%Unemployment remains at 9% in the country
    なので「アメリカの失業率が9%」ですね。

  3. > アメリカの経済成長率9%Unemployment remains at 9% in the country
    なので「アメリカの失業率が9%」ですね。

    • 匿名 より:

      あれ、なんでこんなところに経済成長率が 自分でも理由がわかりません ><;  暑さのせいか? ありがとうございました。

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