GoogleはiPhoneに勝てるスマホを作らせるためにMotorolaを買ったのではない

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基本前提: GoogleはMotorolaを買収しようとして、政府の承認を待っている。偉いライターも偉くないライターも、文章を書ける人たち全員が、それについて書いている。だからぼくも今回、その石鹸箱に、ちょいと乗ってみよう。

パテントが目的ならなぜGoogleは、Motorolaのパテントコレクションを単純にライセンスすることを選ばずに、同社を買収してしまったのか? ぼくの勘では、それはMicrosoftに対する防衛策であり、Googleの、未だにその兆しすら見えない、ハードウェアに対する野心とは無関係だ。

しかし買収の理由が何であれ、今後どうなるかの予測はつく。今有力な説の一つとして、GoogleはMotorolaを、Androidのモデルルームならぬモデルメーカーにする、他社に先がけて最新機種を出す、そうやってAppleのやり方を真似る、と言われているけど、それは完全な間違いだ。

その説では、GoogleのCEO Larry PageはSteve Jobsに見習いたいと思っている。彼は、Android体験というものの総体をGoogleのものにし、ハードウェアとソフトウェアの全体をごっそりすべてコントロールしたい。Appleはこのやり方で、何度も何度も巨利を得ている。Googleも、それとそっくりのバスに乗りたい。

でもぼくから見ると、そんなシナリオはまったくのゴミだ。

ぼくが見るかぎり、Androidは、…そしてスマートフォン業界全体が…、今はまだ、戦国時代だ。5年ないし10年後には、数十億人もの人がスマートフォンを買う。数十億だよ。それは、これまでに売れたAndroid携帯の総台数の10倍ないし30倍だ。しかも近未来のスマートフォンの性能の高さと価格の安さは、ともに未曾有のレベルだ。キャリアとの契約のない80ドルのハンドセットが、ケニヤでは飛ぶように売れている。数年後にはおそらく、80ドルではなく8ドル未満だ。

携帯電話だけでもすごいが、GoogleにとってAndroidは、同社が前から言ってるように、あらゆるガジェットの基本システムだ。今後は、スピーカーも、各種のハードウェアアクセサリも、家電製品も、すべてAndroid入りになる。車の運転席、冷蔵庫、食器洗い、目覚まし時計、なにもかも。これからは、あちこちで大小さまざまな液晶画面を見たら、そこにはAndroidあり、という状態になる。

…という未来のAndroid世界をGoogleが夢見るのなら、重要なのは時間との勝負だ。

残り時間は少ない

スマートフォン製品には、閉じこめ効果(lock-in effect)というものがある。いろんなムービーやアプリをiPhoneで買った人たちは、そう簡単にAndroidやWindows Phoneには乗り換えない。その逆も真だ。乗り換えは財布が傷むだけでなく、前の機種でDRM付きのコンテンツをたくさん買った人は、それらが無駄になってしまう。

それにまた、ハードウェアの家系というやつがある。Apple TVは(iPhone/iPadの)iOS、Google TVはAndroid、XboxはWindows Phoneだ。各オペレーティングシステムは今後、もっともっといろんな製品に浸透していくだろう。最初に買った携帯電話は釣り針のようなもので、釣られてしまった消費者魚は、居心地の良いiOS桶やAndroid桶、Windows桶に入れられる。それぞれ、その桶の中の製品同士でないと相互運用性がない。

だから、iOSやWeb OSやWindowsに今日釣られてしまった顧客を、Googleが後日転向させるのは、きわめて難しい。今のうちに、できるだけ多くの顧客をAndroid派にしてしまわなければならない。

そこで話は再び、Motorola買収劇に戻る。

Nexusはアドバンテージか?

HTCやSamsungなどのOEMたちは、これまで、Androidの多様なエコシステム作りに積極的に貢献し、GoogleのOSの大きなマーケットシェアを、驚くほど急速に築いてきた。中にはお粗末な製品もあったが、お客はテクライターでも評論家でもない。ほとんどの人にとって、細部はどうでもいい。また、お客が気にしようとすまいと、Googleにとっては同じお客だ。しかも、平凡なAndroid携帯ですら、これまでの’フィーチャーフォン’に比べれば大違いだ。

いずれにせよ、今のシステムはGoogleが望んだとおりの動きをしている。Androidは、山火事のように広がっている。Xoomのロンチは早すぎたとか なんとか言っても、Googleにとって重要なのは、Androidというブランドを、市場にとりあえず根付かせたことだった。ユーザ体験云々は、そのあとの話だ。

だからこそ、GoogleがMotorolaを、既存のAndroidパートナー艦隊を出し抜くために使うことは、あり得ない。最先端機を、パートナー他社に先がけてGoogle/Motorolaが出すべき理由もない。今のAndroidは、そんな苦境ではない。しかも、仮にGoogleがそんなことをしたって、Appleに勝てるわけがない。

でもGoogleは、Nexusを作ることによって、ハードウェアとソフトウェアの両方を自社で設計すれば最先端機を作れることを、証明したのではないか?

でもねぇ、Nexusは’正規の’Android携帯メーカーの製品に比べて、それほど優れていたわけではない。Nexus OneとNexus Sの両方をかなり使い込んでみたが、良質なハードウェアとは言えても、全然革命的ではない。Nexusが良いという人たちは、本当はソフトのことを言っているのだ。まず、キャリアが小細工してないプレーンなAndroidが載ってる。アップデートサポートも比較的速い。しかしこの二つは、一般消費者が気にすることではない。しかも今後は、ほかのOEMたちも、プレーンなAndroidをちょっと改良しただけのスキンを作れるようになるだろう。

もちろんGoogleが、iPhoneに勝てるほどの非常に画期的なAndroid製品を、Motorolaから出すことは、可能かもしれない。でも、そんなことをしたらパートナーたちの怒りを買い、Android陣営からの脱落者や転向者を増やすだけだ。Googleが、そんな愚行に走るとは思えない。

だからGoogleはこれからも、SamsungやHTCやそのほかの大手OEMたちを幸せにするために、あらゆることをしなければならない。彼らがAndroidの新バージョンのプレビューを受け取るのは、Motorolaと同時だ。今後のNexusのOEMとしても、Motorolaと同列に選ばれる候補になる。そうすれば彼らは、Androidを地球上の隅々にまで普及浸透させるために、全力を尽くすだろう。

それでは一体、GoogleとしてはMotorolaで何をしようというのか? ぼくの推測では、GoogleはMotorolaを、Androidの用途を一挙に拡大するために使うだろう。その意味でMotorolaは、今後のさまざまな新製品のテストベッドにもなる。そして、うまくいったものは、ほかのOEMたちが素早く採用し製品化する。つまり、今のOEMパートナーたちの全員が、Android製品多様化の恩恵を受けることになる。Androidの普及に、加速度がつく。

このような筋書きでAndroidが戦国時代を制するためには、パテント問題などでOEMたちが、Androidの未来に不安を抱いてはならない。パテント問題の解決には、ふつうなら何年もかかるだろう。今回Googleが125億ドルを投じたのは、問題を一挙に最小化するためだ。

では何がクールか?

最後に取り上げたいのは、最近のAndroidに関する議論の中でぼくをいちばん、いらつかせるやつだ。それは、GoogleはAndroidに巨額な投資をしているのだから、それに見合うだけの収益化の方法が、今すぐにでも必要だ、という説。

今のGoogleに、Androidの収益化に真剣に取り組めと言うことは、2005年ごろのFacebookに、もっと広告で稼げ、と言うに等しい。最初に述べたように、この業界の現況は、まだまだ戦国時代だ。最終勝者は、まだ決まっていない。でも、Androidが10億のオーダーのユーザを獲得したあかつきには、Googleの収益化機会は山ほどある。Googleは、ユーザがどこにいて、彼らの友だちがどこにいて、これから何をしようとしているかを知り、至るところに適切な広告を打てる。その情報は、ユーザにとって少々気味が悪いとはいえ、きわめて価値の高い収益源でもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))