イタリアのWikipedia、「ネット傍受法案」に抗議して自主的に閉鎖

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14年前のジョブズの決定的瞬間―「集中とはノーということだ」(ビデオ)

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真のオンライン行動主義の精神に基づいて、イタリアのWikipediaサイトは自主的に閉鎖された。

現在議会で審議中の「傍受法」(DDL intercettazioni)に抗議するためだ。この法案は、いかなるウェブサイトもそこで言及されている当事者から「イメージを低下させるおそれがある」として抗議を受けた場合、48時間以内に訂正するか抗議者の要求するコメントを掲載しなければならないというものだ。曖昧かつ包括的すぎてサイト運営者にとって非常な重荷になるように聞こえる? 聞こえるのではなく、実際そのようなものとして意図されているのだ。

もしこの法案が可決されれば、Wikipediaを始めあらゆるウェブサイトは、誰であれいかなる内容であれ、それに異議を申し立てた者の要求する訂正文を一切手を加えることなく掲載することを強制される。法律の専門家でなくてもこれが公開性と真実性の原則に反していることははっきり分かる。

実例を考えてみよう。仮にある政府高官が売春に関連して訴追を受けようとしているとする。もしこの法案が成立するなら、この事件を報じたメディアないしWikipediaは、嫌疑を受けている当事者あるいは代理人の要求するままに訂正文を48時間以内にその記事に掲載しなければならない。この場合、報じた内容が真実であるか否かは一切問われない。

イタリアには当然ながら文書による名誉毀損を罰する法律がある。問題の法案(「傍受」と名付けられているものの、技術的傍受とはほとんど何の関係もない)が狙いとするのは、頻繁にスキャンダル情報が流れて批判を受けるごく一部の人々―政治家その他の有名人の保護だ。

多くの人々がこの法律を(イタリア政治の暗部に通じているわけではないのであまり詳しくは立ち入らないが)数々のスキャンダルで悪名高いイタリアの首相、シルビオ・ベルルスコーニ氏と結びつけているのは意外ではない。この法律が成立すればベルルスコーニ首相のすべてのスキャンダル報道には首相ないしその代理人からのコメントが強制的に掲出されることになる。

Wikipediaは「われわれのサービスの使命は包括的かつ、あらゆる人々が編纂に参加できる開かれた中立の百科辞典を無料で提供することにある」と述べている。問題の法案が成立すれば、その中立性が奪われることになるので、Wikipediaはサイトを全面的に閉鎖することを選んだという。

読者各位

現状ではイタリア語版Wikipediaの提供を続けていくことが不可能となりました。長年にわたり愛読されていきた本サイトですが、今後ページの閲覧はできません。既存のデータ自体はまだサイト内に保存されていますが、サイトから実際にデータを削除せぜるを得なくなる危険が迫っています。

Wikipedia自体はもちろんアメリカの組織だが、各国語版は現地のボランティア・コミュニティーの協力を得て運営されている。イタリア語版Wikipediaの閉鎖は本部であるWikimedia Foundationの決定によるものでも、その示唆によるものでもない。しかしWikimediaはイタリア語版運営コミュニティーの決断を支持する短いブログ記事を発表した。

われわれWikimedia Foundationは現在イタリア議会で審議中の「傍受法案」に対する抗議としてイタリア語版のボランティアの皆さんが下した決断を支持します。この法案はWikipediaのボランティア主導によるオープンな共同運営による質の高い知識の共有を妨げるものです。この法案がすべてのインターネット・ユーザーの民主的かつ自由な言論の行使を妨げるものであることは言うまでもありません。

Update: 法案は「正式な報道機関の記事」のみを対象とするよう修正されたもようだ。これがなんらかの改善になっているかはきわめて疑わしい。また違反者に対する罰金は1万2000ユーロ〔120万円〕という法外なものだと伝えられる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+

“イタリアのWikipedia、「ネット傍受法案」に抗議して自主的に閉鎖” への3件のフィードバック

  1. 匿名 より:

    ヤバイ法律きましたね。
    これからはこういう法律で色々な自由なサイトが消えて行くのかもしれませんね。

  2. guest より:

    原文へのリンクにview-source:がついてるよ。chromeでもつかってたのかい

  3. Kksf より:

    イタリア語版ウィキペディアは昨日中身が見られないように状態になってましたが、今日から復帰してます。
    この記事はタイミングが遅い。ないよりはいいが遅い。

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