スマートフォンでグループメッセージアプリが流行る理由

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編集部より:この原稿はスマートフォンアプリを開発するスタートアップのクオンをこの8月に創業し、同社の代表取締役社長を務める水野和寛氏によるものだ。水野氏はケータイ向けのモバイルコンテンツで有名な寺島情報企画でデコメなどのモバイルビジネスの立ち上げに携わり、ここ最近は寺島情報企画のスマートフォン向けアプリを開発する子会社のテクノードの代表取締役としてカジュアルゲームの開発に携わっていた。独立後、クオンを立ち上げ、同社のグループメッセージアプリ「LOUNGE」を開発するにあたり、自ら調査したマーケティング情報を共有してもらう形でこの記事を寄稿もらった。

2008年からスマートフォンアプリの開発に携わっていますが、いよいよこの市場も、黎明期から発展期に移行していく気配が漂っています。私は8月に起業したばかりですが、ここ数か月は、日々、新しいスマートフォン関連のニュースが飛び込んできます。とりわけ、アプリに関しては、グループメッセージアプリ関連のニュースで注目すべきトピックスが多かったと思います(もちろん、スマホ向けソーシャルゲーム関連のトピックも多いですが)。

グループメッセージアプリ系のニュース(過去3か月)

しかし、なぜ、スマホでこれだけグループメッセージアプリが流行り、注目を浴び始めているのかについて、まとまった情報が存在していないので、一度整理してみました。

改めて、グループメッセージアプリとは?

グループメッセージアプリは、iPhoneのSMSアプリと同じようにチャット形式でメッセージをやりとりするアプリです。1対1はもちろん、多人数でグループを作ってメッセージを送受信できるのが特徴です。ユーザー認証は電話番号かFacebookなどのSNSアカウントで行い、電話帳やそれぞれのソーシャルグラフの友人を招待します。基本的には、同じアプリを持っていないとやりとりできませんが(SMSへ直接送信できるものもある)、メジャーなグループメッセージアプリはiPhone、Android、BlackBerry、さらには、ガラケー、PCなどマルチデバイスに対応しています。現状、料金は無料で提供されているものが多く、マネタイズの手段はまだ確立されていません。

世界中でグループメッセージアプリが流行っている理由

今年、アメリカで2つの有名なグループメッセージアプリの開発会社が買収されました。ひとつは、3月にFacebookに買収されたBeluga、もうひとつは8月にSkypeに買収されたGroupMe。その背景を考察してみます。

そもそも、アメリカを含む世界のモバイルユーザーのパーソナル・コミニュケーションツールは、メールからSMSへと移行が進んでいました。電話番号を知っていれば、相手に連絡できる、それほど長文の内容のメッセージを送らない、など、さまざまな要素はありますが、ここ数年で確実にメールに取って変わる存在になっています。しかし、既存のSMSがユーザーにとって厄介なところは、1通毎に費用がかかるところ。コストに対するユーザーのストレスは少なからずあったはずです。逆に言えばSMSを無料にしたいという潜在的ニーズは常にあったと思われます。

けれども、従来、SMSはキャリアの領域ですし、無料のグループメッセージアプリを実現できるのは、アプリをプリインストールできる端末メーカーの領域で、一般の開発者はどうにもしようがありませんでした。端末メーカーのメッセージングサービスとしては、BlackBerryのMessenger(BBM)が、かなり多くのユーザーに使われていますが、それ以外ではあまり聞きません(ちなみに、初期のスマホ向けグループメッセージアプリは、BBMを参考にして開発されているものが多いと思います)。

そういう状態の中、iPhone、Androidが発売され、各アプリマーケットがオープンし、BlackBerryのAppWorldも2009年に始まり、一般の開発者もグループメッセージサービスをマルチデバイス展開できるようになったのが、ちょうど2009~2010年にかけて。このくらいの時期から、必然的に、グループメッセージアプリが増えてきたのだと思います。

アメリカのグループメッセージアプリの基本機能は次のようなところに

  • テキストを送れる
  • グループが簡単に作れる
  • 写真が送れる
  • 位置情報が送れる
  • メッセージはプッシュ通知で(ほぼリアルタイム)

程度でとてもシンプル。FREE SMS APPという呼び方もされていて、既存の有料SMSの置き換えという立ち位置のようです。多くのアプリがBlackBerry版もリリースされています(既存SMSと同じように多くのユーザーにリーチするため)。その他の特徴は、テキストの投稿時に位置情報をON/OFFできる機能がついていること。これは、グループメッセージサービスが、ポストTwitter、ポストFoursquareの位置付けだから、なのでしょうか?

いずれにしてもグループメッセージアプリは急速にスマホユーザーに浸透し、Facebookもその急速な普及スピードに脅威を感じたかどうかは分かりませんが、Belugaを買収しました。Belugaのチームが、そのままFacebookメッセンジャーのチームになり、9月には、わざわざFacebook本体とは別アプリとしてFacebookメッセンジャーをリリースしていることからも、グループメッセージアプリの需要と重要性が示されていると思います。8月にSkypeに買収されたGroupMeがどうなるのかも今後注目ですし、 さらにいえば、Appleも、iOS5では、iMessageを搭載し、今後グループメッセージ機能を強化してくると思われます。

世界を見渡せば、アメリカと同様の需要は各地で生まれていて、様々なグループメッセージアプリが、機能・性能を強化し、マルチデバイス対応、他アプリとの連携などでダウンロード数を大幅に伸ばしています。その代表例が、韓国のKakao Talkです。韓国最大のインターネット企業、NHNの前社長金範洙氏が設立したKakaoが2010年3月にリリースしたこのアプリは、すでに全世界で3,000万人のユーザーに使われています(2011年11月16日同社発表)。韓国ではスマートフォンユーザーのほとんどがインストール済みと言っても過言ではないほど浸透しており、韓国内でのキャリア間の既存SMSのメッセージ数よりカカオトーク内での1日メッセージ数の方が多いという話も…(6億通/日)。また、韓国以外の国では、アメリカのユーザーも増えているようです(米CNET TVでのFREE SMS APPのランキングでも1位)。

ここまで大ヒットしたのは、リリースされたタイミングが良かったことに加えて、シンプルなUIとデザインの中にユーザーからのフィードバックを細かく反映して、アップデートを重ねている点だと思います。どちらかというと、アプリというよりはWEBサービスの改善に近い気もします。

さらに、Kakao Talkは、今年9月に入ってから、マネタイズとプラットフォーム化へ本腰を入れ始めました(現時点では韓国内で先行)。具体的には、アプリ内に2つの機能を追加しています。ひとつは、「プラス友達」(プラスフレンズ)。友達登録画面で、企業やブランドを友達に登録すると、その企業からお得なサービスを受けられる機能です。すでにステーキのチェーン店「アウトバックステーキ」と提携して割引クーポンがもらえたり、SMエンタテインメントと提携して、芸能人の写真が受け取れたりといったサービスが展開されています。もうひとつが、外部のアプリケーションのコンテンツをカカオトークの友達と共有できる「カカオリンク2.0」。連携した外部アプリ内で「カカオで送信」ボタンを押すことで、カカオトークの友人と情報を共有することができ、すでに20以上のアプリと連携しています。

Kakao Talk以外でのグループメッセージアプリでも、外部連携やプラットフォーム化は進んでいきそうです。
kik Messengerは、kikAPIを公開しており、一般の開発者が簡単にkikMessengerを外部アプリから利用できるようにしています(賞金付のコンテストなども実施)。

その他のアプリも様々な特徴を持ってダウンロード数を伸ばしていて、通信方法など性能面で工夫がみられ、送受信できるファイルが多いWhatsApp Messenger
アプリ内で広告やアイテム課金でのマネタイズを試みているtextPlus、ユーザー数の多さで言えばLiveProfilePingChatなどが挙げ始めるときりがなく、沢山のアプリが登場しています(中国やアジア圏は、また別のチャット文化があるので、書ききれません)。

いずれにせよ、世界のグループメッセージアプリは急速な勢いでダウンロード数を伸ばし、スマートフォンユーザーにとって不可欠な存在になりつつあります。マネタイズの試みも始まっていますし、収益化の為のパターンも(いくつかは)、2012年後半には確立されてくるのではないでしょうか?

日本でグループメッセージアプリが流行り始めた理由

そもそも、日本のモバイルユーザーは、メールからSMSへの移行は進んでいませんでした。理由は単純明快で、3キャリア間でのSMS送受信ができなかったから、です。今年の7月にやっと3キャリア間でのSMSが送受信できるようになりましたが、日本の場合は、メールからSMSへの移行を飛び越えて一気にグループメッセージアプリが普及しそうな様相を呈しています。

2010年11月にKakao Talkの日本語版がリリースされてから、メディアなどではあまり取り上げられなかったものの、Kakao Talkは急速にユーザー数を増やし続けています(今年7月に日本法人も設立)。日本のユーザーの携帯メールの使い方を考えれば、チャット形式のメッセージングサービスが適しているのは当然です。なぜなら、大半のやりとりが、一言か、1~2行のメッセージで、件名を毎回変える人もいないでしょうから、メールの方がむしろ使いにくかもしれません。

日本でグループメッセージアプリが一気に注目を浴びるようになってきたのは、今年の6月末にNAVERがLINEをリリースしてからだと思います。クチコミやプロモーション効果もあってLINEが一気にダウンロード数を伸ばし、ブログ等でもグループメッセージサービスの比較をする記事などが出てきました。

LINEの進化は、チャットに留まらず、無料電話機能、更には天気予報や翻訳機能など、グループメッセージの枠を超えて、個人間の全てのコミニュケーションのハブになり、さらにポータルメディアの役割まで果たすサービスに昇華させようとしているように思えます。11月18日からはテレビCMもスタートして、一気にユーザー数の増加を狙っています。また、NHN Japan 、Livedoorとの会社合併も予定されており、今後の動向に注目です。

ということで、わずかこの数か月で、日本においてのグループメッセージアプリは、急速にスマホユーザーに普及し、その中心にKakao TalkとLINEの2つのアプリがあると言えると思います。

もちろん、この2つ以外にも、続々と、グループメッセージアプリは登場しています。昨年12月に当初は位置情報系サービスとしてリリースされ、リリース後、女子向けグループメッセンジングサービスへシフトしながら着実にユーザー数を増やし続けているカヤックの「ナカマップ」(位置情報とグループメッセージの組み合わせ方が絶妙で、9月には、ナカマップAPIも公開しています)、9月にリリースされたinsproutの「Pochi」(対応デバイスが、PC、スマホ、ガラケーと幅広く、連携するSNSもTwitter,Facebook,mixiまでフォロー)。10月にNECビッグローブからリリースされた「RingReef」(洗練されたUIとデザインで、英語版からリリース。日本語版は11月21日に対応。GPS機能を使った友達とのグループ化やグループでの写真の共有が特徴で、マルチデバイス対応、各SNSとの連携もしている)。

日本発のグループメッセージングアプリは、他の国と比較すると、少し出遅れている感がありますが、逆にすでにあるサービスを研究した上で開発されており、それぞれ特徴を持っています。今後も続々とグループメッセージングアプリが登場するのではないでしょうか?

今後どう進化する?

グループメッセージサービスへFacebook、Apple、Googleが本腰を入れてくるのは間違いなく、それ以外のアプリは、その流れを意識しながら、既存SNSといかに連携していくか、位置情報とどう連携していくか、チャット自体の性能(通信品質)や機能をどう進化させていくか、というような部分と、外部アプリとの連携、プラットフォーム化、ポータル化をどうように展開するか、など軸に進化していくと思います。すでに先行しているいくつかのグループメッセージアプリは、本気でコミニュケーションサービスとして、Facebookの背中を追いかけているのでは?と思える勢いでダウンロード数を増やしています。リアルタイムなコミニュケーションと非同期のコミニュケーションのバランスが変化することでコミニュケーションサービスのあり方も変わってくるのではないでしょうか?このまま伸びていくと2013年くらいには1億人ユーザーのサービスに発展するものが出てきても不思議ではありません。

最後に

クオン社は、代々木(最近スマホ系企業が集まってきている)に設立した、まだ3か月のスタートアップです。スタートアップ企業にとっては、少しでも存在を知ってもらう方が価値があると思い、グループメッセージアプリ「LOUNGE」を開発するにあたって、調査した情報やノウハウをオープンに寄稿させて頂きました。われわれがリリースしたアプリは、デザイン・UI・洗練度・完成度では上記サービスには及ばないかもしれませんが、最大のポイントである「チャットが楽しくなる/感情が伝わる」という部分には、自信があります。テキストのデコレーション機能と多種のファイル共有機能(写真/動画/ボイス/お絵描き/曲リスト)でチャットは華やかになり、日本発らしい、デコレーション・グループメッセージアプリに仕上がっていると思います。興味を持って頂いた方は、ぜひ「LOUNGE」を一度お試し下さい。

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