TCTV Cambrian Explosion
TC
スタートアップ
オピニオン

スタートアップのカンブリア爆発–昨年〜今年はものすごい起業数

次の記事

TechCrunch Tokyo 2011は本日開催|チケット完売だけどニコ生でもUstreamでも見られる

cambrian

このところ、新たに起業されそして投資家も付くスタートアップの数が、すさまじい。新しい技術に何らかの手足を付けて製品に仕立て、それを軸に会社を興すことが、今ほど容易だったことは過去にない。最近のすごい起業数のペースに、これまでのベンチャーキャピタルは追随できていないのではないか。もしかしたら今の私たちは、スタートアップのカンブリア爆発の始まりを目撃しているのかもしれない。もしそうなら、今後のその範囲はテクノロジの世界にとどまらず、経済全体に及ぶだろう。

これまでの15年はもっぱら、それ自体で完結したシステムとしてのWebをわれわれは作ってきた。しかしこれからの15年では、Webがあらゆるものに接続されていくだろう。それによってWebは、インターネット全体、そしてさらに物理的世界へと、領域を広げていく。モバイルは、その始まりにすぎない。

もうすぐ、あらゆる機能を持ったコンピュータを超小型化してあらゆるものに搭載/組み込みできるようになるだろう…そして今日の携帯電話やタブレットだけにとどまらず、テレビも車もそしてさまざまな装着型のデバイスも、何もかもがネットワークに接続される。中にコンピュータがあってネットに接続される製品、その種類はほとんど無限だ。今後の数世代にわたる、起業家や技術者たちの発想力は、ほとんど無限だろうから。

いわゆるカンブリア紀には、多量の種が急激に出現したが、それらのすべてが今日まで存続しているわけではない。ごく短期間で絶滅した種も多い。その時代には進化のペースも急速で、新しい種の登場と絶滅がどちらも非常に短いサイクルで生じた。やがて進化のペースは安定してくるのだが、そうなるまでに生き延びることのできた動物は、すべてではない。それと同じような淘汰が、スタートアップたちにも起きるはずだ。

21世紀のカンブリア爆発の兆候は、すでにいくつかある。たとえば昨年は、シードやエンジェル段階の投資ラウンドが1100件以上あったが、2008年には855件だった(Crunchbaseより)。わずか2年で33%の増加だが、今年2011年はさらにそれを上回るだろう。スタートアップの新生児が、なぜこんなに多くなったのか? それには、二つの理由があるだろう。スタートアップを開始するにあたっての障壁がなくなったことと、市場機会がかつてなかったほど大きくなっていることだ。今は主にヨーロッパ発の世界的な経済危機が訪れようとしているので、新生児スタートアップたちの淘汰もかなり進むと思われるが、それについては後述しよう。

まず、障壁の消失だ。第一に、今は従来よりもずっと小さな資金で会社を作れるし、また同時に、(少なくともシード段階では)資金へのアクセス性も良い。さらに、クラウドコンピューティング(クラウド上の開発〜アプリホスティングサービスの超便利化/超親切化)と、オープンソースソフトウェアと、プラグ&プレイ的なAPIの充実、この三つの基盤の上では、3人のプログラマが数十万ドル集めれば製品と会社を作れる。10年前は、数百万ドルを必要とした。彼らは最小限の機能からスタートして、ユーザから学びながら、製品を磨いていく。

機会という点では、まずインターネット人口がちょっと前に比べて格段に多い。その20億といわれるネット人口の多くが、モバイルへ移行しつつある。つまり今では、デスクトップのWebだけがインターネットではない。携帯電話やタブレットでは、ブラウザを介さずにネイティブのアプリからインターネットを利用するケースも多い。さらに、JawboneのUpブレスレット(健康管理用)のように、インターネットに接続する”器具”もある。本稿の最初で言ったように、人(や物)がネットにアクセスする手段は、今後爆発的に多様化していく。

保健医療、教育、運輸交通、エネルギーなど、これまでネット化があまり進まなかった分野も、ネットワーク化/情報化から得る恩恵は大きい。消費者向けのインターネットビジネスは、参入障壁がほとんどゼロだから、これまでは、そればかりがにぎやかだった観もあるが、でもこれからは専門分野やその周辺に起業機会がたくさん生まれて、上に挙げた医療、教育など関連のスタートアップが増えるだろう。つまり、規制や規則や暗黙の慣行的ルールなどでがんじがらめのような、高度な専門分野にも、これからは勇敢な起業家たちが挑戦していく。

かつて蒸気機関が登場したころには、いろんな産業分野で、その”応用製品/応用技術”が生まれた。19世紀末の産業革命の時代には、今の”ガレージ企業”にも似た”納屋工場”があちこちにできて、さまざまな乗り物や機械が作られた。そういう意味で今日のインターネットは、蒸気機関に似ている。誰もが、この機関を応用できそうな分野や問題を見つけて、応用製品、つまりアプリケーションを作れる。納屋工場は、誰もが気軽に始められたが、それと同じく、今日のインターネットビジネスの参入障壁は低い。しかも蒸気機関が数々の人力〜馬力機械を追いやったように、インターネットも、それを率先して利用しない企業や組織を淘汰していく。

今日のもっとも生産性の高い機械はコンピュータだが、でも今では、その機械はネットに接続していないと、ほとんど役に立たない。今、コンピュータを立ち上げて最初にすることといえば、ブラウザを開くかメールを見るかだ。Kindle FireやiPadがスタンドアロンのデバイスだ、と想像してみよう。ほとんど何もできないことに、気づくだろう。つまりタブレットやスマートフォンは、ネットワークへのインタフェイスであるにすぎない。

今や、ネットワークがコンピュータ(the network is the computer)*、だけでは終わらない。ネットワークは、社会と市場と政治が混合されて一体になったものだ。今では、さまざまなデバイスからネットワークに接続されていることが、毎日の人生そのものになっている。〔*: the network is the computer, 今はなきSun Microsystems社(Javaの生家)のスローガン。〕

モバイルを使って友だちと夜の会合の連絡をする、といった一見たわいないことが、ときには政府を転覆する手段になる(アラブの春(Arab Spring)のきっかけとなったイランのGreen Revolutionは、携帯電話のBluetooth機能を使って最低限の機能のネットワークを築いた)。携帯電話でその日のお買い得情報を提供することよりも、モバイルでソーシャルでローカルなテクノロジが、世界中でより大きな力を持つようになった。

インターネットは、情報ネットワークであると同時に、コミュニケーションネットワークだ。情報は、人や企業を変える力を持っている。そこには、新しい機会が作られるが、同時に課題も生まれる。つまりどんな業界、どんな産業分野でも、情報力の格差が企業の格差を作り出す。

テクノロジは万能薬ではない。新しい仕事を作り出すスピードよりも、既存の仕事を駆逐するスピードの方が速いかもしれない。テクノロジは産業を効率化するが、それは、雇用を減らすという意味でもある。

従来は、経済成長には雇用の成長が伴っていたが、最近はまるで、この二者が離婚してしまったようだ。たとえばノースカロライナにあるAppleの新しい巨大なサーバファームは、人間がわずか50人しかいない。

カンブリア爆発は、何百万もの新しい命を作り出しただけでなく、それに先立つ、より弱い種の多くを排除した。後者は、競争に負けたのだ。経済の世界でも、これと同じことが、今後の数十年で起きるだろう。問題は、それが起きるか起きないかではなく、その進化の分岐点において、あなたはどっちの道を進みたいか、だ。

画像出典: Ecology and Evolution

〔関連記事(1)、関連記事(2)。〕

[原文へ]
[jpTechCrunch最新記事サムネイル集]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中