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エンタープライズ向けスタートアップを巡る5つの神話を論破する

Vineet Thanedar

Vineet works in Engineering and Product Development at… → 詳細

2012年1月3日

Myth

編集部: この記事はBox.netのファウンダー、CEOのAaron Levieによるゲスト投稿。Levieの以前の記事

2012年には次の2つのうち、どちらかが必ず起きるはずだ―古代マヤ人が予言したように、宇宙の終わりが来るか、それともエンタープライズ・ソフトウェアがクールだと思われるようになるかだ。後者については私はずっと以前から予測してきた。

残念ながら人々はエンタープライズ・ソフトウェアというものに私ほどは魅力を感じないようだ。それは分からないでもない。皆を世界中の音楽にアクセスできるようにするとか、友だち全員をネットワークするとかいうテーマの方はは常に人気を集める。クーポンやら無作為ビデオチャットやらバーチャル酒場やらもなるほど面白い分野ではあるだろう。しかし、あるエンタープライズ・ソフトウェア企業が 34億ドルで買収されているし、up 60%も株価がアップしたSaaS企業がある。上場後の株価も順調な値動きだし、さらに多くの上場が噂されている。私にはエンタープライズ分野が退屈な場所だとは思えないのだ。

そこで以下にエンタープライズ・ソフトウェアをめぐるいくつかの神話を取り上げ、論破しておくことにする。これを読めば、なぜ私が2012年がエンタープライズ・ソフトウェアの時代になると考えているのかがお分かりになるだろう。

神話#1:エンタープライズは退屈だ

一般ユーザー向けインターネット・テクノロジーがハリウッドだとすれば、エンタープライズ・ソフトウェアは水道事業だ。儲かるかもしれないが退屈だと思われている。個人ユーザーには無関係な話が多い。たとえばサーバのパフォーマンスを改善するソフトとか―しかし今やVMWareは400億ドル企業だ。しかしクラウド化がこのカテゴリーをメインストリームにしつつある。 エンタープライズ・ソフトウェアはすべてのインターネット・ユーザーに大きな影響を与えるようになった。われわれの働き方、コミュニケーションのあり方がエンタープライズ・ソフトウェアによってまったく違ってきた。エンドユーザー志向のビジネス・ソリューションの爆発的普及によってエンタープライズ・ソフトウェアわれわれ全員に関係深いものとなった

映画プロデューサーFacebookの共同ファウンダーPixar創立時の社員といった人々がエンタープライズ・ソフトウェアの企業を立ち上げている。それぞれきわめつきに優秀な連中だ。今日のエンタープライズ・ソフトウェアはチェックインや「いいね!」や「+1」をかき集めようとするよりずっとエキサイティングな仕事の場所になっている。たとえば、エンタープライズ向けメールのクラウド化の主導権を握る戦いが始まっている。クラウド化の進展により他の多くの分野でもビッグバンが見られる。エンタープライズ向けクラウドのの市場規模は2015年までに1490億ドルに上ると予測されているのだ。

神話2: エンタープライズ向けソフトウェア・ビジネスはスケールしにくい

エンタープライズ・ソフトウェアには依然としてエンドユーザーの顔が見えず、マーケッティングに膨大な資金を要するニッチ・マーケットという偏見がつきまとっている。

しかしここでもクラウド化が状況を変えている。世界中のあらゆる企業に一瞬でソフトウェアを提供することができるようになった。セールス努力に要するコストは劇的に低下した。

クラウド・ソリューションは世界中どこでも大小あらゆるサイズ、業種の企業に利用可能だ。大規模なセールス部隊を必要とせずに、さまざまな業種の個別ニーズに最適化されたソフトウェアを提供することができる。世界には5億人の情報労働者が存在する。「スケールするかしないか?」ではない。「どうやったらすばやくスケールさせることができるか?」を考えるべきだ。フリーミアム、オープンソース、バイラルといった新しい手法がエンタープライズ・ソフトウェアにも適用できる。AtlassianやNewRelicのような大胆な会社は伝統的な営業部隊を廃止して成功を収めている。

神話3: 企業のIT部門は動きが遅くて付き合いにくい

スティーブ・ジョブズが大企業への売り込みを強く嫌ったのは有名な話だ。大企業にはCIOという門番がいて新しいテクノロジーのありとあらゆる側面(機能、コスト、セキュリティー、サポートなど)を徹底的に(つまり長い時間をかけて)調べなくては気がすまないことがジョブズには我慢がならなかった。

しかし、ここ数十年にわたる新システムの開発遅延、予算超過にユーザーの不満が積もり積もってIT部門もついに大きく変身を始めた。大企業における新システムの採用は画期的にスピードアップされた。これによってクラウド・テクノロジーを利用するスタートアップはきわめて有利な地位に立てることになった。Procter & Gambleのような大企業に最新ITテクノロジーを採用するためのグループが設けられ、これまで解決不可能と考えられていた(あるいは存在さえ気づかれていなかった)問題の解決に当たっている。.

多くのFortune 500の大企業でITにおけるハードウェアや
フトウェアを社員に自由に選ばせる「持ち込み自由」という方針が取られるようになった。これによって最新技術の導入が大きくスピードアップしている。この方針転換の意味するところはきわめて大きい。従来のエンタープライズ情報処理アーキテクチャの根本的な改革につながるものといってよいだろう。セキュリティー、アプリ、コンテンツ、デバイスまであらゆる要素が一新される。IT部門においては新しいテクノロジーの導入意欲と予算がかつてない高まりをみせている。

神話4: MicrosoftとOracleには勝てっこない

エンタープライズ・ソフトウェア企業を立ち上げる上で(あるいはその資金を調達する上で)、最大のハードルはMicrosoft、Oracleその他の巨大企業との競争への不安だ。仮に事業がスケールし始めたとしても、すぐにそうした大企業に圧殺されるのではないかという恐れだ。こうした巨大企業がさまざまなテクノロジーのプラットフォームと流通チャンネルを押さえている限り、スタートアップの運命は最良の場合でもそれらの企業に買収されることで、最悪の場合は跡形もなく叩き潰されることになると思われていた。

しかしクラウド時代では、顧客企業はさまざまなオプションを比較し、どれでも気に入ったものに即時に乗り換えることができる。Microsoftやその他の大企業が得意としてきたセールス手法はもはや以前ほど有効ではない。遠い先の新製品をいち早くアナウンスして競争相手の出足を止めるという戦略はもう古くなった。ユーザーがさまざまなプロダクトを即時に実際にテストできるクラウド環境では、ユーザーにライバルの製品に対する不安・疑念・不信を植えつける(FUD)手法は役に立たない。アップデート・サイクルの長い重厚長大なプロダクトはもはや好まれない。伝統的なモデルのエンタープライズ・ソフトウェアを性能で上回るWorkdayのようなスタートアップが着実にシェアを伸ばしているのがその証拠だ。

世界最大級の企業が伝統的な巨大IT企業の提供するソリューションに飽きたらず、専門分野での革新に成功した気鋭のスタートアップのプロダクトを採用する例が増えている。エンタープライズは、重厚長大なITベンダーに自社に適したプロダクトを開発させる手間を疎んじ始めた。またITベンダー同士の勢力争い(なぜMicrosoftはAndroid向け製品を作らないのか?)も多くの不便をもたらしている。さらに既存のシステムは不必要に複雑な割に、肝心の分野、モバイル、ソーシャル、スピードといった面で大きく立ち遅れている。スタートアップはユーザーの欲する特定の要素に絞って開発を行うことで全方位をカバーする必要から結局鈍重な動きしかできない巨大にはない優位性を得られる。

神話5: エンタープライズでイノベーションは起きない

エンタープライズ・テクノロジー分野を重苦しいものにしてきた大きな原因は、顧客が採用の意思決定にあたって強く標準規格の影響を受けることだった。そのためベンダーにとっては自社のテクノロジーが標準規格に採用されるかどうかが不合理なまでに大きな意味を持つこととなった。しかしChrisDixonが論じたように、新テクノロジーの採用にあたって、今や標準規格の行方よりも影エンタープライズSaaSが大きな影響を与えるようになった。つまり買取型のテクノロジーに代わって、使用した実績に応じて課金される利用料金型のテクノロジーが主導権を握った。

このトレンドはエンタープライズ・ソフトウェアの革新を劇的に促進した。ホワイトペーパー上で魅力ありげなソフトウェアよりも、実際に使ってみてユーザーのビジネスに貢献するソフトウェアが優先されることになった。Yammer、Do、Asana、Zendesk、GoodDataといったスタートアップのプロダクトはセールス部隊の売り込みによるのではなくユーザー自身が能動的に採用したことによって成功を収めている。つまりこれらのソフトはユーザーの問題に対し、現実に役立つことを実証することによって採用先を拡大した。伝統的な中央集権的情報システムは機能が古びると同時に次々に窓から投げ捨てられている。競争の激化とともに、システム乗り換えのコストは低減し、エンドユーザーの要望がより重んじられるようになってきた。顧客をつなぎとめるために必要な技術革新の速度は大きく加速しつつある。

すでに2011年にソーシャル・アプリケーションの商用化、ビッグデータやビジネス・インテリジェンスの利用、共同作業ツールなどがエンタープライズ・ソフトウェアに影響を与え始めた。Gartnerの予測によれば、「2012年はクラウド、ソーシャル、モバイルという要素が統合され、IT関連のあらゆる意思決定に影響を与える年になる」とのことだ。業界的キャッチフレーズは別として、こうした急激なイノベーションにともなって急成長するマーケットで主導権を握るのは10年前に存在していなかったスタートアップ企業であることは間違いない。

以前、著名ブロガーのロバート・スコーブルがエンタープライズ・ソフトウェアというのはセクシーじゃないと評したが、これはある程度までは当たっていた。しかし物事は急速に変化中だ。エンタープライズ・ソフトウェアは以前の鈍重さと硬直性を振り捨てつつある。現在台頭しつつある新しいプレイヤーは今までエンタープライズ・ソフトウェアのベンダーとは似ても似つかない。2012年はエンタープライズ・ソフトウェアのルネッサンスの年になる。そしてこの影響はソフトウェア業界にとどまらず、あらゆる情報労働者の労働環境を大きく変えることになるだろう。

写真:h.koppelaney

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+

  • http://twitter.com/mkforpc かとうまさき

    モバイルとクラウドの技術を基盤にソーシャル的な概念での新しいエンタープライズのサービスを構築するチャンス。様々な新たなものが生み出される可能性のある時代に感謝です。

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コメント

ごんべえさん
>最新のゲーム用高級機ではなく、そこらの安価なマシンゲーム機より安いPCで動くのかな? 8画…
mamoru
5.8×3.9×4.7単位がなきゃ数字に何の意味も無い。
kyosyo
三刀使いだが、押しなべてWebのほうがよいと思う。 WPのサードアプリもWeb版の機能をサポートし…
snow
日本じゃ未だまだ出来ない金融法クリアしないといけない。銀行業務やれば別だが。
sugumatu
サービスを拡張しすぎたことで、サービスの中心が何かもわかりにくいし、目的のサービスも探しにくくなって…