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テクノロジーは手遅れになる前に教育の危機を救えるか?

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symbaloo

編集部: この記事はKhush(現在Smule傘下)のCEO、Prerna Guptaの寄稿。 同社の音楽アプリSongifyLaDiDaは世界中で1億2500万曲の作曲に利用されている。Twitterは@prernagupta

シリコンバレーでは教育の改善に関して強い意見を持つ人が多い。たぶんいちばん過激なのはPeter Thielだろう。Thielは「われわれは高等教育バブルのさなかにいる。学生はすべからく大学などドロップアウトして起業家になるべきだ」と主張する。アメリカでは高等教育に必要以上の重きが置かれているという点については私も同意するが、Thielの見解はさらに深い問題を見逃していると思う。

そもそも、なぜアメリカでは高等教育がこれほど過大評価されるのか?

その理由は、われわれの初等・中等教育システムがあまりにも貧弱だからだ。そのため、大学が若い世代を教育する重荷を一手に背負わされてしまう。大学バブルかどうかよりも、アメリカ人の大半が人生の最初18年をろくに何も学ぶことなく無駄に過ごしてしまうということの方が大問題だと思う。 現在、アメリカの若者があらゆる教科で世界の水準に遅れをとりつつあるという憂慮すべき数字が現れている。公的部門が対策に苦慮している一方、この問題に取り組む企業も出てきた。

Dave McClureの ベンチャー・ファンド、500 Startupsは今年教育分野で10社から20社のスタートアップに投資する計画だ。最近私はDaveと話す機会があった。 私がなぜ教育分野への投資にそれほど熱心なのか尋ねたところ、「教育分野の遅れがあまりにもひどいからだ」と彼は端的に答えた。つまりそこには膨大なイノベーションの余地があるというのだ。Daveによれば、最近の注目すべきトレンドは、教師が新しいテクノロジーを管理者のトップダウンの命令によるのではなく、日常生活からボトムアップで教室に取り入れようとする動きだという。アメリカではiPadなどのタブレット・デバイスの普及にともない、これを教師が学習ツールとして利用する動きが広まってまいる。ブラジルやインドなど第三世界の国々では安価なAndroidタブレットが教師に人気だ。

教師は教育専用デバイスよりも、むしろ一般ユーザー向けデバイスとエンターテイメント・アプリの利用を好むようになってきた。その方が子供たちの興味を惹きつけるのに有効だからだという。エデュケーション“とエンターテイメントを合成してエデュテイメントと呼ばれる分野が現れてきた。わが社の音楽制作アプリ、Songifyに関するブログへの教師の投稿によって私はこの動きを知った。

Songifyは音声から音楽を制作するアプリだ。このテクノロジーは手軽に「ネコが大好き」という曲を作れるだけではない。たとえばLisa Carnazzoは小学校2年生の英語の時間にSongifyを使っている。 Carnazzo先生によれば、Songifyを使うと生徒の授業への集中の度合いが格段に高まるという。生徒がSongifyを使って作った曲をオンラインで公開したり、両親にもSongifyで遊んだりするよう勧めている。Nancy Branchbillは5年生の授業でSongifyを暗記ツールとして利用しているという。

キャラクターがしゃべる人気アプリ、Talking Tomもエデュテイメント・アプリの例だ。こちらは子供たちに九九の表や同音異義語を覚えさせるのに使われている。歴史上の事件を覚えさせるのにPuppet Palsが使われている例もある。Lisa Johnsonは“驚くほど教育に役立つ”アプリとその現場での利用法を紹介するポッドキャストを定期的に公開している。.

こうしたデジタル教育ツールの利用が成功を収めているため、公費でこうしたテクノロジーが導入される例が出てきた。もちろんソフトウェアを教育に使うというのはずっと以前からある試みだ。いささか気取って「混合学習法」などと呼ばれることもあった。しかしロサンゼルス市統合学区〔教育委員会〕のような意欲ある組織では、現在ロサンゼルス中の学校にソフトウェアを利用した教育を普及させるべく5カ年計画を建てている。戦略立案チームのPriyaChordiaは「Khan Academyのような画期的な無料教育サービスがソフトウェア利用教育に新たな脚光を当てています。こうした大規模サービスによってソフトウェア利用教育について従来抱かれてきた疑念が払拭されつつあります」と語る。

シカゴ公立学区も教育へのITの導入に積極的だ。教育テクノロジーの責任者、John Connollyは最近シカゴの生徒のために6000台のiPadを購入した。昨年3月のiPad2のローンチに際してAppleが制作したこのビデオでConnollyは「教室で生徒の学習意欲を持続させるのは困難な仕事だ。しかしiPadを生徒の前に置いてみたまえ。子供たちはたちまち夢中になって使い始める。これこそ教育の未来形だと私は思う」と述べている。

Connollyによれば、iPadを利用した授業では文章読解、数学、科学の成績が50から60%も向上したという。シカゴの教育スタートアップ、eSpark Learningの協力を得て、教師は2万7000種類にもなるiOSの教育アプリを精査し、生徒のニーズにあ合ったアプリを選択している。eSparkのCEO、David Vincaは「ソフトウェアは教育にとって魔法の箱だ。生徒のレベルを1.4学年分も上昇させる効果があった」と話す。.

われわれは統合化の時代に居合わせている。教師は生徒の意欲をかきたてるために一般日常生活で用いられるソフトウェアを教室で利用し始めている。一方で意欲ある教育管理者はボトムアップのデジタル化の流れを利用して組織全体のイノベーションを図っている。手遅れにならないうちに教育を救う望みは十分あると私は考える。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+

“テクノロジーは手遅れになる前に教育の危機を救えるか?” への1件のコメント

  1. regonn より:

    なるほど、確かに暗記モノを歌にすれば覚えやすいかも。

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