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Apple、Google他5社による「引き抜き禁止」協定訴訟続行へ

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世界最強のテクノロジー企業7社が、「引き抜き禁止」協定によって従業員の報酬を抑制したとする、反トラスト共謀の容疑で訴えられている。今日(米国時間1/26)、カリフォルニア州サンノゼ地方裁判所で、元従業員らがApple、Google、Adobe、Intel、Intuit、Pixar、およびLucasfilm各被告を相手に損害補償を求めている集団民事訴訟に対する、被告による棄却申し立てが審理される。

私が先週暴露した、2010年の司法省調査による被告らの悪事を証明する決定的証拠に加え、原告の異議申立書によると、棄却申し立てを却下して裁判を進めるために十分な証拠は他にもある。もし被告が敗訴あるいは和解すれば、2006~2009年にかけて各社に在籍した正規従業員数万人が、補償の対象になる可能性がある。

アップデート(2011/1/26 4:30pm PST):裁判長は「本裁判は前進しつつある・・・本件は棄却申し立てを乗り切るだろう」と語った。これは、裁判長が正式な裁定を下せば、ほぼ間違いなく被告による棄却申し立てが却下されることを意味している。「共謀がなかったと推論することは難しい」と彼女は言った。審理の詳細は文末に。 ]

具体的には、AppleのSteve Jobs、GoogleのEric Schmidtを含む被告団の上級経営者らは、他社の従業員を互いに採用しないという、同一の、相互に連携した違法な合意のネットワークを構築していた罪に問われている。個別の契約もそれ自身、シャーマン法、カートライト法その他のカリフォルニア州法を含む反トラスト法に違反している疑いがある。

さらに原告は、被告らが相互の契約を知り、他社の契約に依存することによって、極めて需要の高い有能な技術系従業員の報酬および転職を抑制し、反トラスト共謀を拡大したと主張している。

原告の訴状(PDF)による、一部の契約の時間軸に沿った記録は以下の通り。

  • 2005年1月 – Pixar上級幹部(Steve Jobsを含む)が引き抜き禁止協定の原案を作り、Lucas Filmに送付
  • 2005年5月 – AppleとAdobeが合意
  • 2006年 – AppleとGoogleが、Eric SchmidtのApple取締役就任直後に合意
  • 2007年4月 – AppleとPixarが合意
  • 2007年7、9月 – Googleが、IntuitおよびIntelと、Apple、Google間、Apple、Adobe間、Apple、Pixar間と同一条件で合意

さらに、Steve Jobsは個人的にPalmのCEO Edward T. Colliganと接触し、雇用に関する会社間の競争を避けるために「われわれにできることは何でもやるべきだ」と書いて、違法な協定を提案した。ColliganはJobsの提案を断わり、「どの会社も他社の従業員を雇用しないことに合意するという貴殿の提案は、正しくないばかりでなく、違法である疑いが強い」と答えた。

原告は「裁判所は申し立てを却下し、証拠開示手続きの延期を中止し、原告にとって公正迅速かつ費用のかからない裁判を進行すること」を要求している。

被告は、各契約が独立であり相互関係はないと主張している。彼らはこれらの契約が、多くの取締役が兼任していたり、PixarとLucasfilmのように元々同じ会社であったりする会社間での、合法的協業における競争促進の一環であると主張している。

さらに被告らは、「主張されている二社間契約は、集団訴訟で被告を告発するために原告が主張する全体的共謀を裏付けるものではない」と主張している。彼らは証拠開示手続きの部分的延期の継続、および訴訟の棄却を申し立てている。

しかし、私の調査と情報筋によると、被告の主張は不当で、原告の方に理があり、この棄却申し立てには根拠がない。しかも、各社の契約が相互に関係している証拠がさらに発見されないただ一つの理由は、それらの契約があまりにも秘密にされているからだ。

原告側が、高度な共謀の存在を示す「動かぬ証拠」を見つけてきたからには、この裁判は進行されてしかるべきだ。具体的には、被告らが合意を形成するために使用した「勧誘禁止」リストや、PixarのLucusfilmとの書面契約などだ。もし今証拠開示手続きの継続が認められれば、違法行為の証拠が暴露される可能性は十分にあるので、今日の棄却申し立ては却下されるべきであることを示唆している。

もし被告による棄却申し立てが却下されれば、本訴訟は2013年6月の陪審員裁判に向けて進められる。被告は被害の評価を裁判長と陪審員に委ねず、和解を試みることもできる。2010年の司法省の連邦裁判を和解に持ち込んだ時と同様に。被告が敗訴あるいは和解した場合、原告側法律事務所、Leiff Cabraserの推計によれば、被告各社の正規従業員は報酬損失の10〜15%を補償されることが考えられる。

アップデート 2012年1月26日、16:30 PST:裁判長は「本裁判は前進しつつある・・・本件は棄却申し立てを乗り切るだろう」と語り、証拠開示手続きの延期を中止した。まだ正式書類は提出されていないが、裁判長が本訴訟の棄却申請を却下する可能性は高い。さらに裁判長はGoogleに対し、送信済みメールに加え、メールの下書きも提供し、どちらが下書きでどちらが送信済みかを明記するよう命じた。

審問中、被告は共謀に関する告発と連帯責任について反論した。被告は「原告は、働いたことのない会社から補償を受ける資格はないこと、また彼らの雇用主はいわゆる共謀に参加しているというだけの理由で契約を結んではいないと主張した。

裁判長はこれにやや共感したとみえ、原告にこの訴訟を個別の違法契約毎に重点的に取り組む考えがあるかを尋ねた。原告は、契約はすべて相互に関連しているという立場を貫いた。

後ほど、原告側の筆頭弁護士、Lieff CabraserのJoseph R. Saveriは私に、原告は彼らの共同反トラスト共謀訴訟のまま進めることに満足していると語った。原告はこの後裁判長に却下された主張を取り除いた修正訴状を提出する予定だ。

次回の事件管理協議が4月18日に設定され、そこで原告の修正訴状が審理される。6月28日には、どの従業員が本集団訴訟の対象となるかを決定するクラス検定のための公聴会が招集される。原告は、証拠開示手続き中に明らかになった証拠に基づき、ソフトウェアエンジニアのみ、ソフトウェアエンジニアおよび研究員、あるいは被告の全従業員のいずれを集団訴訟の対象とするかを検討する。

審問後Saveri弁護士は記者団に対して、従業員が受け取る補償額の控え目な見積りを伝えた。彼によると、ソフトウェアエンジニアは年間10万ドルを稼ぎ(実際にはもっと多い)、彼らの報酬は「5~10%抑制」されており、「数万人の従業員が影響を受けている」。つまり、それらの企業で働いていた正規従業員の初級ソフトウェアエンジニアは、5000~1万ドルの損害を被っていたことになる。高給の熟練エンジニアはさらに高額を受け取る資格があるかもしれない。初級エンジニア1万人のみが対象だとしても、総損害賠償額は1億5000万ドルを下らない。

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(翻訳:Nob Takahashi)