日本のNAVERが「まとめ」で初の収益化にコマを進める。インセンティブ制度も改変

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現在、LINEが成長中日本のNAVERだが、実はいままでNAVERの事業からは自社のための収益を得ていなかったのが現実だ。昨年まではNAVER JapanはNHN Japanの子会社であったが、同じ子会社のLivedoorとの合併によって現在はNHN Japanの一ブランドとなっている。そして、NHN Japanのなかで唯一金を稼いでいなかったのがNAVERブランドだった(ほかのハンゲームとLivedoorは収益を上げている)。それが今年になってその収益化にコマを進めることになった。

その事業の柱になるのがNAVERまとめで、広告での収益化を目指そうとしている。「え、でもNAVERまとめって広告を掲載しているじゃないか」という人もいるかもしれない。それは、いままでは、まとめを作成しているユーザーに100パーセント還元していて、NAVER自体がそれで一切儲けを出していなかったのだ。いわばユーザーの啓蒙のための原資獲得だったということだ。

現在、NAVERまとめは12月時点で彼らの発表によれば1億9,400万ページビュー、訪問者数が1,300万を数える。収益の柱としては、広告だが、現在はMicroAdによる広告が掲載されている。それ以前は、Google AdsenseだったがGoogle側の通達によってGoogle Adsenseの掲載が終了している。NAVER側の発表によれば、それはわいせつコンテンツなどのGoogleから指摘されたことの改善要求の累積によるものということだ。ただ、今回はこの話題について焦点をあてるつもりはない。

NAVERとしては、このまとめによって2012年で5億円の売上、2015年には30億円程度の売上を目指しているという。これは現在のMicroAdの広告に頼るだけでなく、ディスプレイ広告や企業向けの公式まとめページといった企画ページの販売などもスタートさせることを考えている。編集タイアップのようなものもあるだろう。NAVERまとめの責任者であるNHN Japan執行役員CPOの島村武志氏によれば収益化モデルのイメージに近いにするのはオールアバウトだという。確かにオールアバウトのガイドがNAVERまとめ作成者だと見立てれば、メディアビジネスの構造としては近いのかもしれない。現在、オールアバウトが昨年ベースで33億円程度の売上を実現しているのを見ると、その収益化が非現実な数字だとも言えない。

また興味深いのはLivedoorの存在だろう。島村氏によれば、NAVERはいままで事業の収益化については考慮したことがなかったため、セールス部隊を持っていなかった。しかし、NHN JapanのLivedoorの買収後、組織が同一化されることによって、Livedoorのセールス部隊やメディアの収益ノウハウがそこにつぎ込まれているという。

さて、NAVERまとめが興味深いのは、前述のようにまとめを作成する人に対して、収益を還元していることだ。ユーザーがコンテンツを作成するサービスで、収益を還元するのは珍しい存在だ。もちろん、直接自分のコンテンツに掲載された広告によって収益を得るケースはブログをはじめとしていろいろとあるが、サイト(事業)全体で得た収益からコンテンツ作成者に還元するというのはサービスとしてはあまり多くはない(たとえば、DeNAとNTTドコモのエブリスタなんかは収益の一部をコンテンツ作成者に還元している)。

NAVERまとめでは今回、自身の収益化を目指すのに伴って、まとめ作成者への還元システムも改変している。これはまとめ作成者にとってはかなり有利な条件だ。というのも、変動レートだった還元の基準となるポイントを固定レートにしたからだ。しかも、それまでの平均より大きくしている。

ポイントはNAVERまとめの独自の基準値で、まとめ作成者が自分で作成したまとめにどれだけユーザーを呼び込めるかで、獲得できるポイントが変動する。ただ、これまでは1ポイントに与えられる金銭が変動していたが(原資となる広告売上と連動していた)、今後は固定レートで支払われる。つまり、1ポイントあたりのレートはたとえば昨年9月は0.2円だったり、あるいは11月では0.08円であったりと変動していたものが、今回の改変では1ポイントあたり0.2円の固定レートになる。さらに、優良なまとめ作成者にはさらにレートを高くして、さらにまとめを作成するモチベーションが働くようにするという。なお、ポイントはまとめのサイトに訪れる訪問回数に近い数字だという(ページビューではない)。

こういったメディア運営のスタイルは興味深い。もちろん、金を稼ぐということがまとめ作成者の手段になることで、作られるコンテンツの内容の質が左右される可能性はある。

一方で、NAVER自体が収益を上げる必要性に迫られることで優良な広告を入れるために、優良な企業が広告を出稿したくなるメディアを目指して、まとめのコンテンツの方向性も変わってくる可能性もある。そうなるとユーザーに影響が出てくる可能性を否定できなくもない。

あるいは、そうではなくて、単純にネットワークの広告の拡大を目指して収益を上げる手段をとるということであれば、リーチを拡大する必要があって、それはそれで、また違ったメディア運営の努力が必要になるだろう。

収益化を目指すことで、NAVERまとめがどういった変化をするのかは、インターネットメディアを運営している事業者から見れば、これから注目すべきことの1つだろう。