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Eightは無料の名刺データ管理サービスの形をしたビジネスソーシャルネットワークだ

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有能なビジネスマンであれば自分のコンタクトリストをうまく整理したいという願望は常にあるだろう。1週間に何度となく交換される名刺の束は、マメな人であればローロデックスのホルダーに整理されることもあるだろうが、それは一緒くたになって整理されることもなく机の引き出しの中にしまわれて、探し出せなくなるケースも少なくはない。

だから、2007年に三三(さんさん)が創業されて間もなく代表取締役社長の寺田親弘氏から彼らがやろうとしているビジネスについて聞いたときには、とても素晴らしいアイデアだと思った。人から受け取った名刺を正確なテキストデータにして管理する――。スキャンしたり写真に収めたりしてOCRでテキストデータ化するアプローチはいままでもさまざまあるが、読み取ったデータを人間のオペレータが目視して入力してまで正確なものにしてくれるのは画期的だった。しかもダブルチェックで人間のミスまでも防ごうというテクノロジーの進化では対応できないとところまでの徹底ぶりは驚きさえあった。

ただ、彼らがスタートさせたビジネスのリンクナレッジは高価で個人が使うようなサービスではなかったし、どちらかと言えば企業が組織の中で使う営業マンのための営業支援のようなツールへと進化していった。一方でそのビジネスモデルを簡略化したような類似のサービスも登場はしていたが、利用したいと思うほどの決定打に欠けていた。そこでEightの登場だ。

三三がリリースする名刺管理サービスのEightは、名刺管理に熟知している三三がリリースする個人のビジネスのためのソーシャルネットワークだと考えると、非常に魅力的に思える。というのも、名刺のデータ入力の部分は、リンクナレッジと同様にOCRとオペレータを組み合わせた正確なものが提供されるからだ。しかも無料でだ。そしてもし互いの名刺をEight上に登録すると、自動的に名刺が交換される。名刺交換した同士はEight上でいわばソーシャルネットワークの友達のように、更新されたプロフィールを確認することができるようになる。メールアドレスを知っていれば、名刺を持っていなくても名刺交換の申請もできる。このあたりはデータをオペレータが入力してくれるO-RIDのKYBERのようなデータ管理サービスとは違うところだろう。

名刺の登録方法はいまのところ、iPhoneアプリから名刺を撮影してその写真データをクラウド上に上げるようしている。閲覧や設定はiPhoneやiPad(iPad2)、パソコンのブラウザーから操作可能である。

これだけのサービスを無料で提供して結果的にどこで収益で上げるかだが、寺田氏によれば、プレミアムサービスのようなものを考えているのだそうだ。たとえば、大量の名刺を読み込むのにスキャンサービスを提供したり、あるいは、名刺にひもづいたニュース――名刺に登録している会社と関係したニュースや人事異動の配信サービスが提供されるだとか、バックアップデータが提供されるだとか、このあたりはリンクナレッジでも提供していることでサービス化しやすいのだろう。これ以外にもたとえば年賀状が送れるようになるだとか、アイデアはいろいろとあるということなので、ユーザーが拡大していけば、便利になるサービスは追加されていくのだろう。ツールとして使って欲しいので、容量が超えたら料金を徴収するモデルはやらないのだそうだ。

一点だけどうしても気になることがある。というのも、Eightは名刺そのものにこだわっているということだ。これはインターフェイスを含めてだ。われわれは、少なくとも僕にとっては、コンタクトリストが大事なのであって、名刺そのものに大きな価値を見いだしているわけではない。寺田氏とその話をしたときに確かにそういう考えもあるとしながら、彼がインターフェイスをデザインしたtakram design engineeringの田川欣也氏と議論したことを教えてくれた。それは、われわれのようにソーシャルサービスなどになれたユーザーであれば、それはそれで使いこなすだろうが、いまでも大量の名刺を画像データとして保管しておきたいユーザーは多くいる。それは多くのそういうったアプリが提供されていることからもわかるし、キングジムのPITRECのような商品が売れていることからもわかる。「ソーシャルネットワーク」よりも「名刺管理サービス」といったほうが、その使い方を想像できるユーザーも多いというわけだ。なので、ブラウザー上であろうが、iPhoneのアプリであろうがインターフェイスは名刺の画像を閲覧するようになっている。残念だがその操作は重く、さくさく動くというわけではない。

注意してほしいのは、EightはFacebookやMixi、Gmailのようなソーシャルメディアやコンタクトリストとも連携するようになっているが、互いにつながっている、あるいはGmailのコンタクトリストであれば互いにメールアドレスを登録しているのであれば自動的に名刺交換がされることだ。Gmailのコンタクトリストに登録してあるメールアドレスがEightのユーザーであれば、相手が自分のメールアドレスを登録していなくても、自動的にリンクの申請が送られる。ビジネスとプライベートとペルソナを分けて使いたい人もいるかもしれないので、そういう人は不用意にEightとこういったソーシャルメディアやコンタクトリストのアカウントとをひもづけないほうがいいだろう。実を言うと僕もたまたまGmailのコンタクトに登録してしまっていた見ず知らずの人(たとえば友達のメールにCCに入れられていたとかきっとそんな類で登録された人)にリンクの申請を送ってしまっていたようだ。

三三のリンクナレッジの導入企業は600社を超えて、いまでも月あたり10社から20社ほど増えているのだそうだ。ただ、こういった企業がEightを乗り換えるのではないかという懸念もあるが、先述のように高単価なサービスでも導入してくれるのはセールスフォースオートメーション(SFA)の要素が強いので、名刺管理そのものとして使っているため、乗り換えは起こらないだろう寺田氏は語っている。

いずれにせよ、日本でビジネス向けソーシャルネットワークは流行らないと言われてきて、いくつものサービスが立ち上がっては消えてきたが、Eightは名刺をフックにそれをブレイクする可能性を秘めたサービスではある。

三三は2009年サイバーエージェント、リクルートインキュベーションパートナーズ、GMO Venture Partnersから総額で5,000万円の資金調達している。それ以前は創業者とインキュベイトキャピタルパートナーズによる資金で設立している。

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