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広告のコンテンツ化―Facebookの新広告戦略はハッカー文化とビジネスの融合を目指す

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CNN Fortuneの有料記事によれば、上場を控えて社内で繰り広げられているイノベーションと収益化の間の綱引きがFacebookのハッカー文化を蝕むかもしれないという。しかしユーザー体験のイノベーションと収益化はどちらかを優先させれば他方が犠牲になる関係にあるとは限らない。Facebookはその両者を融合させる方策を編み出しつつある。将来Facebookの広告はコンテンツに変身し、それと目立たない形でニュースフィード中に表示されるようになる。

平均年齢が20代、社員200人の会社を平均年齢30代、3000人の大企業にするのは容易な事業ではない。しかし上に述べた計画が実現すればFacebookはエンジニアリング部門と広告部門の間のギャップを埋め、全社の統一感を高め、ハッカー・ウェイを存続させることができるだろう。

FortuneのMiguel HelftとJessi HempelはFacebookを「2つに分裂した会社」だと描写する。

以前、ザッカーバーグの世界はプログラマー中心の実力主義が支配していた。優秀なプログラマーたちがFacebookサイトを構築し、ビジネス部門はそれに従属していた。ビジネス部門はザッカーバーグが自らスカウトしてきたシェリル・サンドバーグの指揮下にあり、その文化は伝統的な階級制会社組織に近い。しかしFacebookが上場すれば、ビジネス部門の重要性はるかに増大し、エンジニアリング部門との関係はウォール・ストリートによって厳しくチェックされるだろう。これに伴って両部門の間の緊張は高まるに違いない。

Fortuneの記事はところどころで誇張があるようだ。Facebookはエンジニアを集めて「ザック(ザッカーバーグ)のように考えろ」というブートキャンプに放り込むとか、プロジェクトの途中でも強制的に配置換えするとか、徹夜を強制するとか述べている。Facebokのエンジニアリング・ディレクター、Andy Bosworthは今朝Facebookにそれらはいずれも事実ではないと書いている。〔ブートキャンプも徹夜のハッカソンも事実だが参加強制ではない、など〕

しかしFacebookのエンジニアリング部門のモットーが依然として「速く動け、現状を破壊しろ」であるのは確かだ。プロダクトを作るのは誰でもかまわない。いいものなら採用され、公開される。Zuckerberg自身がS-1上場申請書中で投資家に向けて公開したメッセージでもハッカー・ウェイが強調されている。ザッカーバーグによれば、ハッカー・ウェイとは改良の努力を絶えず、繰り返し行うことであり、また、利益を上げることはFacebookの目的ではなく、サービスを改良する手段に過ぎないという。

表面的に受け取れば、ザッカーバーグの理想は、シェリル・サンドバーグ率いる洗練された真剣極まるビジネスパーソンたちのグループと相容れないようにも見える。サンドバーグのグループでは能力よりもコネがものを言う傾向があるとFortuneの記事は指摘する。

Facebook社内ではシェリル・サンドバーグのビジネス部門のエリートたちを指す用語がある。FOSS、つまりフレンズ・オブ・シェリル・サンドバーグだ。このエリートたちの多くはサンドバーグのハーバード・ビジネススクールの同窓生ないしアメリカ財務省、あるいはGoogleの同僚だ。Facebookを去った中上級幹部は「サンドバーグはFacebook生え抜きの有能な候補を差し置いても自分の友だちを重要な役職に就ける。誰もFOSSには逆らえない」と述べる。

能力主義がこうして歪められることはFacebookの企業文化にとって大きな脅威になり得る。Zuckerbergは何らかの手を打つ必要があるだろう。

しかしザッカーバーグの部門とサンドバーグの部門はゼロサム関係にあるとは限らない。Facebookでは収益とユーザー体験を両立させる方法があるはずだと考えている。Facebookは収益を拡大するために必ずしも広告のサイドバーを大きくし、コンテンツ・エリアを狭くしたり、画面トップに巨大なバナー広告を掲示したりしなければならないわけでではない。Facebookは広告を独立した存在としてはわれわれの目から消し去り、次第にサイト全体の情報の流れの中に埋め込むという手法を取ろうとしているようだ。

昨日(米国時間2/29)のfMC(Facebook マーケティング・カンファレンス)でFacebookはそうした方向性を打ち出した。広告主が自分の好きにメッセージを表示できるプレミアム広告枠は姿を消すことになる。今後、企業が運営する公式Facebookページの内容からユーザーによって選択、抽出されたものだけプレミアム広告として表示されるようになる。この広告はサイドバーに表示されるのではなくウェブ版、モバイル版双方のニュースフィード中に表示される。またログアウト・ページにはこれまでFacebookが販売してきた広告枠の何倍も大きな広告が表jいされるようになる。

いくら友だちが選んだものとはいえ、ニュースフィードの中に企業が投稿した記事が入り込むというのは当初いささか気味悪く感じられるかもしれない。しかし企業が面白かったり、ためになったりする文章や美しい写真、思わず笑うような愉快なビデオクリップをどんどん投稿してくるのであれば、やがて現実の友だちの記事と同様に楽しめるものになるだろう。ログアウト・ページの広告というのも巧妙なアイディアだ。ここではソーシャル関係に配慮する必要はないから企業の広告内容には自由度が増すだろうし、当然Facebookの取り分は大きくなるだろう。Facebookは過去にすでにコンテンツとして価値の高い広告はクリックするー率が高くブランド・イメージの向上にも効果があることを確かめている。

もちろんこのアプローチに危険がないわけではない。われわれはユーザーとしてニュースフィードで関心のある記事だけを読みたい。企業発の記事が多くなりすぎれば、たとえそれらが友だちの選択
基づくものであっても、サイトの魅力を現象させることになりかねない。ニュースフィード中の広告比率を適正レベルに維持することは絶対に必要だ。またFacebookは好意的反響を呼び起こす広告とはこういうものだと広告主を教育しなければならない。

しかし広告のコンテンツ化はザッカーバーグ率いるプロダクト開発部門の自由度を増すかもしれない。過去に多くの大企業を不振におちいらせたプロダクト部門がいちいちビジネス部門の意見を聞いたり承認を得たりするという制約が解かれるからだ。プロダクト部門はサイトの機能を豊富にし、使い勝手をよくするという当初の目的に向かって自信をもって、かつ独自の判断で進むことができる。同時にサンドバーグのビジネス部門も切手のサイズしかない小さな広告スペースを企業に売り込むために苦闘する必要がなくなる。

これがザッカーバーグのハッカー文化とサンドバーグのエリート・ビジネス・チームが助け合えるはずのプランだ。これが成功すれば、Facebookのハッカー・ウェイが維持されると同時に、広告がコンテンツであればプロダクト優先か広告優先かというジレンマからも脱出できる。両者は融合するからだ。

[Image Credit: Ali Manazano and Mark Zuckerberg]

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

“広告のコンテンツ化―Facebookの新広告戦略はハッカー文化とビジネスの融合を目指す” への1件のコメント

  1. 匿名 より:

    人と人の友達関係を強化してきたFacebookは、人と企業との関係もより身近にしようとしてきている。 人と企業の壁を取り計らい、身近にすることができれば、ニュースフィードの中の広告も受け入られる可能性が高まってくる。 Facebookページにタイムラインを導入することも、人と企業の本当の対話を進める為で、利益を生み出すための下地づくりの意味もあるのだろう。 

    人と人を結びつけるだけでなく、企業を結びつけ、フレンドリーな関係を強化できれは一歩進んだ強力な市場を作れると思う。広告の分量は、難しい配分になるとは思うけど、個人の情報を沢山持っているし、調整できるような仕組みがあれば受け入れられていくと思う。今までの一方的にいいねを押すという方法では、一時的な関係は作れても、本当のアクティブなフアンは作れない。

    企業の努力は大変になると思うけど、人と人、人と企業をミックスして透明なオープンな市場ができれば、実名レビュー、体験談も集まりやすくなるだろうし、面白い発見が増えそう。広告のコンテンツ化どんなものになるか期待してます。

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