スティーブ・ジョブズの「引き抜き電話はやめよう」が、Apple、Googleへの反トラスト訴訟を引き起こした

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「われわれは互いの従業員への電話攻勢その他の引き抜き行為をやめるために、どんなことでもする必要がある」スティーブ・ジョブズからPalmのCEOの宛てられたこの一文が、なぜApple、Google、Intel、Adobe、Intuit、Pixar、およびLucasfilmに対する反トラスト法集団訴訟が棄却されず、2013年6月の裁判に向けて進められるかという、今日のサンノゼ裁判所による判決の中心をなしている。

テクノロジーの巨人たちは、1月の法廷審問で、「引き抜き禁止」協定は従業員の給与を抑制するための共謀ではなく、独立したものだという根拠の元に棄却申し立てを行い、脆弱な防御を展開した。しかし、Lucy Kho裁判長は同意せず、共謀の罪を支持する十分な証拠があるとして棄却申し立てを却下する裁定を下した。

5人の元従業員の代理人をつとめる弁護士らは、数万人のシリコンバレー従業員たちの利益のために、数億ドル規模の和解に向けてさらに強固な証拠を探し始めるだろう。判決の全文は下に貼ってある。

去る1月、私は司法省が2010年に7社に対して行った反トラスト法調査興味深い証拠を報じた。その証拠には、スティーブ・ジョブズとGoogleのEric Schmidtが競合他社と、互いの従業員を盗もうとしないという協定を持ちかけたことが示されていた ― 従業員の給与上昇を招く入札合戦を防ぐための平和協定だ。証拠を漁るうちに私は、これらの会社間の協定が、技術者たちが市場価値通りに支払われるのを不当に妨げていることを示す強固な裏付けを見つけ、棄却申し立てが却下されるだろうと予言した。

一週間後私は、申し立ての裁定を法廷でブログ記事に書き、Koh裁判長が「本裁判は前進しつつある・・・本件は棄却申し立てを乗り切るだろう」と決定した直後に公開した。今日Koh裁判長は、様々な感情を公式の判決にまとめた。Reutersの報道による。

さて、Google、Apple等々の抗弁が失敗した理由はこうだ。

被告はKendallの前例に言及した。共謀の容疑が「誰、何、どこ、いつ」かを示す証拠を原告が示せなかったために、反トラスト訴訟が棄却された事例だ。しかし、Koh裁判長はKendall訴訟はこの引きぬき禁止反トラスト訴訟とは区別すべきであり、それは原告が、互いの従業員を採用するために結ばれた「被告間の6件の二者間協定の、関係者、影響、被害者、場所、およびタイミング」を詳述しているためだと述べた。

具体的には、司法省調査の証拠によって、それら企業の「上級幹部」間で交わされた引きぬき禁止協定を手配するメールが暴露された。さらに、独立しているとされた6通の協定が同一内容であったことも示された。そこには、2005年5月にAppleとAdobe、2005年1月にPixarとLucasfilmの間で交わされた「引き抜き電話禁止」協定も含まれていた。これらの協定は、従業員の給与を引き下げる可能性 ― 違法である ― を示していた。

被告はさらに、これらの会社の幹部の間に「合意」がなかったと主張しようとした。しかし、当時スティーブ・ジョブズはCEOとしてPixarの取締役を務め、Google CEOのEric SchmidtはAppleの取締役会に名を連ね、Arthur LevinsonはGoogleとApple両方の取締役会に属しており、十分な共謀の機会があったことを証明してる。Koh裁判長は「少なくともこれら三人のうち一人は、6件の二者間協定それぞれの少なくとも1当事者に対して重大な影響力を持っていた・・・こうした取締役の兼任は、共謀の機会を暗示すると見るのが妥当である」と書いている。

続けてKoh裁判長は、なぜ共謀があったとすることが「妥当」であり、よって原告はさらに証拠を発見する機会を与えられるべきであるかの理由を説明した。さらに彼女は、被告7社の間で可能な21種類の対うち、わずか6件の協定しか結ばれていないので、ある会社の従業員は他2社間の協定による被害を受けないとする主張も退けた。未だ証明はされていないものの、交渉によって給与の目安が暴露されるため、「仮に二者間協定が1件のみであったとしても、協定当事者以外の会社の従業員の移動性および給与に著しい悪影響を与えるだろう」として、Koh裁判長は訴訟の棄却を拒否した。

棄却申し立てが却下された今、次には何が起こるのか。法廷は6月28日に召集され、この集団訴訟にどの従業員が該当するかを決めるクラスの承認が行われる。対象は被告従業員全員かもしれないし、ソフトウェアエンジニアおよび研究者、あるいはソフトウェアエンジニアだけになるかもしれない。

仮に原告弁護士Joseph Saveriが推定するように、給与が5%から10%抑制されていたすれば、本集団訴訟に該当する初級ソフトウェアエンジニアは一人一年あたり5000ドルから1万ドルを、2006年から2009年までの在籍年数分受け取る権利がある。上級の従業員ははるかそれ以上受け取る権利がある。

被告団の棄却申し立てに対する裁定の全文を以下に貼ってある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)