ゲーム化: その深層と最新傾向

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編集者注記: Tim ChangはMayfield Fundの常務取締役だ。TwitterでTimをフォローするには@timechange。彼は6月6日にMayfield Fundのオフィスでゲーム化に関するワークショップを開催する。本誌TechCrunchの読者10名が招待される。詳しくはこの記事の最後を見ていただきたい。

これまでの2年間はゲーム化(gamification, ゲーミフィケーション)に関する仕事をする機会がとても多くて、BadgevilleやHealthTap、Gigya、Basisなどの企業と一緒に、エンドユーザの行動の計量化、スコアリング(得点付け)、そして反応形成のためにゲームの仕組みを利用する方法を開拓してきた。先週はVatorSplashのGamification Summitで投資家パネルに参加し、その席でゲーム化に関する重要な視点を共有することができた:

ゲーム化はメディアやフィットネスにおけるユーザの動機付け促進手段にとどまるものではない: ゲーム化の次のターゲット領域は、教育、eコマース、地域小売業(例: Belly))、そして金融サービスだ。

ゲーム化の対象は消費者エンドユーザだけでなく、企業の社員もだ: インターネット〜Web企業は自己の製品やサービスを消費者とエンドユーザ向けにゲーム化できるだけでなく、ゲームの仕組みを利用して仕事をもっとおもしろくし、成果等を計量可能にし、生産性を上げ、社員に対する報奨(ごほうび)システムとして活用することもできる。この、企業の社員向けのゲーム化市場は、仕事のクラウド化が進むにつれて、消費者向けのゲーム化と肩を並べる市場規模になる可能性もある。

ゲーム化は粒度が小さいほど成功しやすい: 既存のユーザも新規のユーザも、彼らに本格的なゲーム化経験をいきなりぶつけるのではなく、むしろユーザ側が、おもしろそうだと思えるゲーム的な仕組みをオプトイン方式で提供するほうが、抵抗が少なくて良い。人それぞれで、遊び方も人生の楽しみ方も違う。たった一つのゲーム化要素ですべての魚を釣れると想定するのは、企業が犯しやすい間違いである。ただし、既存のビジネスモデルに軽いゲーム化要素を後付けするやり方は失敗する(ちょっと前、猫も杓子もアバターや仮想通貨という“流行”を取り入れて失敗したように)。企業が最初に考えるべきなのは、ビジネスの中心的な目標と求める結果に、うまくマッチしたゲームの仕組みだ。そしてそのゲーム的な要素を、できるかぎりシームレスに…自然になめらかに…ユーザ経験の中に織り込むことだ。最初はユーザがオプトアウトできる、そのゲーム化の仕組みを無視できることは、その意味でむしろ重要である。

ゲーム化はユーザのライフサイクルの4つの相のすべてに対応すること: ゲーム的な仕組みを、ユーザが一つ一つの相を進みやすくし、卒業しやすくするために使う、と考えよう:

  1. 新人ほやほや期…ゲーム化は対話的なチュートリアルを実装するための優れた方法だ。
  2. 参加エンゲージメント期。
  3. 無料ユーザから有料へのコンバージョン(あるいはデータ共有へのオプトイン)。
  4. パワーユーザのつなぎ止め策、リピート策。

また、上の4相の各段階の違いだけでなく、人間のタイプによっても、その人に合ったゲームの仕組みは違う、ということを意識しよう。

ゲーム化とソーシャルは二人三脚だ: ゲームにシングルプレーヤー(一人遊び)とマルチプレーヤーがあるように、ゲーム化も一人を対象とする場合と、ソーシャルなプレーを志向する場合がある。また、ゲーム化の実装にはソーシャルな“配管工事”が基盤として必要な場合が多い。たとえば弊社Mayfield傘下のGigyaは、SaaSによるソーシャルインフラ(Social Loginなど)を提供している。企業はこれらのツールを利用して、自己のWebプレゼンスにソーシャルな層を加えることができる。ここでおもしろいのは、同社のSocial Loginを使ってログインしたユーザのサイト滞留時間が、それまでのWebサイトのふつうのログインでアクセスした者より30%多いことだ。PepsiはGigyaを使ってX-Factor、グラミー賞授賞式、スーパーボウルなどPepsiがスポンサーしているテレビ番組のソーシャルな視聴をプロモーションしているが、そのPepsiのサイトではユーザが、ソーシャルなコメントで番組をランク付けしたり、ほかのユーザのコメントを共有やLikeするとバッジをもらえる。またVerizon Wirelessは、VerizonInsiderというローカルイベントのコミュニティサイトを作っているが、そこではユーザがコンテンツと対話するとポイントやバッジをもらえる。すなわち、このような、ゲーム化==ソーシャル化とも呼べるゲーム化の使い方によって、ユーザの滞留時間が増えているのだ。

ゲーム化の設計は専門的なスキルである: 今後はPlaydomやZyngaなどでゲームの仕組みを勉強してきた人たちが、“ゲーム化デザイナー”という専門職に就くことになるだろう。弊社の傘下企業の多くが、そのようなねらいで、人材探しを始めている!

ゲーム化はあらゆるところに利用できる–可能性は無限だ: 人間の経験には、ほとんど必ず、ゲーム的な流れのパターンがある。学習と習熟の曲線、開始と途中と最終ゴール、目的に達するための複数の方法と戦略…。だから、ゲーム化は、あらゆる過程において、ユーザに道標や指標やスコアカードやフィードバックループや思いがけない喜びなどなどを提供して、ユーザをガイドする仕組みである、と考えよう。ゲーム化はその過程をプレイするためのさまざまな方法を与え、またそれらを選んだ場合どうなるか、のヒントも与える。このように、どんな過程もゲーム化できると考えると、ゲーム化の応用範囲は無限に広い。

起業家のための注記: ただし、ゲーム化は万能薬ではない。何(なん)にでもバッジ提供があればよい、なんて安易に考えると、VCたちはしらけるし、そして消費者は、そんな無理やりくっつけたようなゲームの仕組みを、つまらないとしか感じないだろう。

弊社は6月6日にゲーム化とゲームの仕組みに関する対話的なワークショップを開催する。場所は、Sandhill Roadの弊社Mayfield Fundのオフィスだ。そこで取り上げる話題は、消費者の動機付け、習熟曲線の設計、さまざまなゲーム化ツールの評価、小額支払いにおけるフリーミアムから有料へのコンバージョン、デザインフレームワークにおける七つの大罪の利用、などさまざまだ。

本誌TechCrunchの読者/起業家のために、10の席を用意した。Facebook上でこの記事をコメントしたり共有していただければ、その中から、このワークショップがいちばんお役に立てると思われる方を、ピックアップさせていただきたい。

[画像出典: flickr/Fiona Shields]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))