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2020年、ウェブのマネタイズはどうなっているか?

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(執筆はMurthy Nukala)編集部註: Murthy Nukalaはブランド企業に広告テクノロジーを提供するAdchemyのファウンダーで、CEOだ。

ふと思い立って、新しいiPad用にLogitechのキーボードケースを購入した。無料でもらった付属品と交換したキーボードは、私のデバイスの使い分けを根本から変えてしまった。会議ではiPadとキーボード、デスクではノートパソコンとドッキングステーション、外出中はiPhoneを使う。かつてはひとつのデバイスに集中していた私のオンライン活動が、現在は少なくとも3つのデバイスに分散している。

このような状況は私だけではないと思うし、いずれ訪れる形だろう。

ウェブは大きな変化を迎えている。2020年までに、世界中のインターネットユーザーは現在の4倍である40億人になり、その新しいユーザーのほとんどが複数のデバイスを持ってオンラインの世界に訪れるだろう。既存のユーザーもPCだけでなく、スマートフォン、タブレット、スマートTVなどのモバイル端末に大きく移行している。また、これらのデバイス以外にどのようなデバイスが仕事と家庭の両方に浸透するか、誰にも分からない。

オンライン人口は急激に増加し、デバイスが複数になると使用法はさらに細分化されるだろう。そこで鍵となる問いはこうだ:どうやってマルチデバイスからのトラフィックをマネタイズするのか?

Chris Dixonが最近ブログの中で、 大半のモバイルアプリは次に挙げる4つのカテゴリーのどれかに当てはまると書いている:

• 娯楽系: Angry BirdsやPlants vs. Zombiesなど、娯楽的価値を提供する。

• 基本機能系:ホーム画面に置かれるカメラ、電話、連絡先、メール、カレンダーなどを提供する。

• 一時利用系:OpenTable、Uber、Hipmunkなど、ある一定の状況下で非常に役立つ機能を提供するもの。例えば、新しいタイ料理店を探したくなった際、ある野球の試合のスコアを知りたくなった際に、情報を提供してくれる。

• 通知系: 通知機能を提供するもの。例えば、買いたいものが発売された時や、自宅にあるPS3の電源が入ったままの時などでに通知してくれる。

大まかに言えば、これら4つのカテゴリーは2020年にウェブがどのように使われてマネタイズされているかを表している。

• 娯楽系は、コンテンツそのもの(ゲームするため、またはショーを視聴するために購読料を支払うなど)や、広告によって収益を上げるだろう。Facebook上のソーシャル広告は、他のオンラインの広告ほど収益をあげられないかもしれない。しかし、Facebookはその幅広いユーザー層や質の高いトラフィックのおかげで、ブランド意識を高めるキャンペーン(例えば、大ヒット映画のオープニングナイト)向きとなるだろう。

• 基本機能系については、スタンドアローン・アプリあるいはサブスクリプション・サービス(携帯電話の月極プランなど)などの形態で、販売されるだろう。しかし、基本機能を使用している間に、広告を見たいと思う人はほとんどいない。

• ほとんどの一時的な使用の場合、(表示型広告と反対に)ターゲット広告で収益を上げることができるだろう。尚、ここでは広い意味で「広告」という言葉を用いている。例えば、OpenTableのアプリから予約を受け付けているレストランは、予約を受ける度にその予約は必然的に広告による予約と認識する。

• 通知系は、広告とサブスクリプション・モデルとフリーミアムとの組み合わせで収益化されるだろう。それぞれの定義は通知方法によって異なる。一時間おきの休憩時間を教えてくれるような個人の能率性に関する通知アプリは、おそらく無料で広告を表示するがアップグレードしてアドフリー(広告排除)のオプションも用意するだろう。セールアラートのような購買を目的とした通知は、広告で収益を上げることができる。例えば自宅のPS3の電源がオンになっていることを通知してくれるアプリなど、継続的なサービスを提供するアプリはライセンス購入かサブスクリプションのどちらかの形態になるだろう。

つまり、娯楽的価値や基本機能を提供する以外の大半のウェブサイトは現在と同様の方法で収益を上げていることだろう。 そう広告でだ。

デバイスの細分化=市場の細分化?

2020年のオンライン広告は、現在とはどう違っているのだろうか? デバイスの増加は、基本的にオンライン広告市場の均衡状態を変容させている。

従来のオンライン広告は、大きく2つのタイプに分かれていた。検索連動広告とディスプレイ広告である。検索連動広告はキーワードに紐づけられ、ディスプレイ広告は基本的にクッキーに紐づけられる――インプレッション、クリック、ユニークユーザー、リーチ、フリークエンシー、再訪ユーザーなどである。

2020年のオンライン広告業界における最大の変化は、デバイス種の急増である。プライバシー擁護派が憤慨している全デバイスにおいてユーザーの動向が追跡可能な「スーパークッキー(uber-cookie)」は、もはやない。スーパークッキーがなければ、オンライン広告市場はデバイスによって高度に細分化する方向に向かうだろう。デバイスによるオンライン広告市場の細分化は、自然な成り行きに思えるかもしれないが、誰の利益にもならない。細分化の拡大は、広告業者が非効率になる事を意味する。つまり、オンライン広告業者が費用をかけても、潜在的な全顧客には届いていないことを意味する。

オンライン広告市場がデバイスごとに細分化されるのを防ぐ手立てはあるのだろうか? 正しい問題解決のためには検索連動型広告市場を見るだけで十分だ。

検索クエリーのような一時的なものは、使用目的を豊富に含んでいる。

一時的使用には、ある状況においてデバイスやアプリの助けを借りて達成したい目的や意図が含まれる。

私たちがサーチエンジンにクエリーを発行すると、そのクエリーにはそれに関連した目的があり検索結果と広告は私たちが目的を達成しようとするのに役立つ。このように一時的使用は、いわば「クエリーのような」使用であることが多い。例えば、Urbanspoonのアプリケーションでサンフランシスコにあるタイ料理店を探しているとすると、その行為は、好みのサーチエンジンで「サンフランシスコのタイ料理店」というクエリーを入力していること実質的には同じである(日本語編集註:Urbanspoonは人気のレストラン検索アプリ)。

さらに、私のデバイスに位置情報の機能があれば、現在地の情報は私の行為に関連して、より多くの背景を提供するのに役立つかもしれない。私のオンラインでの行動や検索行為は明示的な意図を表しており、一方暗示的な意図は、位置情報、使用しているデバイス、時間帯によって表されている。

現在の検索連動広告では、消費者の意図はクエリーが示す通り主に明示的である。一方、使用しているアプリや位置情報を示すデバイスは、明示的意図と暗示的意図の両方を示している。

クエリーで示される明示的な意図は、キーワードを売ることにより検索で収益化される。しかしキーワードのみでは、暗示的意図はクエリーに基づいていないので、暗示的意図を収益化することはできない。例えば、ニューヨーク市に滞在中、スマートフォンで「big apple」と検索するユーザーは、ノースカロライナ州に滞在中にYelpアプリで「big apple」と検索するユーザーとは異なる意図を持っている。前者はおそらくニューヨーク市のツアーを探している人で、後者は地元のピザ屋さんのレビューを探している人である。明示的意図は主題を与え、暗示的意図は文脈を与えるのである。

よってキーワードのみでは、デバイスに基づく細分化を防ぐことはできない。同様にクッキーも細分化を防ぐことはできない。

異なるチャネル、アプリ、デバイスでも目的は同じである

私がスマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、スマートTVのいずれを使用しているかに関わらず、Urbanspoonでサンフランシスコのタイ料理店をブラウジングすることは、必然的にタイ料理店に関して他の消費者と全く同じ意識を持っていることになるのである。

オンライン広告においてデバイスに基づく細分化を回避するために、新しい取引単位が必要となる。つまりキーワードやクッキーに基づくのではなく、目的に基づく新しい単位である。もし消費者の目的が取引単位とすれば、消費者がどのデバイス、アプリ、チャネル(検索連動、ディスプレイ、ソーシャル)を使用しているかは、もはや問題ではない。広告業者は単にバスケシューズの購入意図を持つユーザーを買う、あるいはヨーロッパ旅行をしたいユーザーを買うのである。デバイス、アプリ、チャネルは、どの種類の広告を打つのか決める要素に過ぎないかもしれない。

もし目的に基づく取引単位がデバイスを越えたトラフィックを収益化するために使用されるのであれば、関わるすべての人が成功するだろう。広告業者や代理店はキャンペーンのリーチやリターンを最大化することが可能となり、チャネルを越えたスケールで恩恵を受けることができるだろう。出版業界はトラフィックをより効果的に収益化するだろう。そして消費者は自分の目的に関連した広告をより多く目にすることになるのだ。

Googleには2,000億ドル近くの評価額があるが、それはクエリーの価値がそれ自体にあるからではなく、クエリーには消費者の目的がたくさん込められているからである。Googleが検索で消費者の目的を収益化しているように、同業他社も複数のデバイスの目的を収益化できるのであれば、2020年のオンラインのeCPMは、2012年の検索におけるeCPMと同等になるだろう。

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