日本人は世界一アプリにお金を払う人種? 1,000万ダウンロード分析して気付いた日本と海外の違い

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編集部註:この寄稿はAndroidアプリ向けのリワード広告プラットフォームを提供するメタップスの代表取締役CEOの佐藤航陽氏によるものだ。メッタップスはシンガポールにも拠点を置き、海外向けにも事業を展開している。

先週、メタップスで展開するアプリ収益化プラットフォームに参加しているAndroidアプリのダウンロード数が、世界で累計1,000万を超えました。昨年の8月からサービスを開始して約1年が立ちましたが、2012年に入ってからはよりアプリ市場の急激な盛り上がりを感じています。

シンガポール・東京・シリコンバレー・香港でAndroidアプリ開発者のマネタイズの支援を行ないながら、各国のマーケットの特徴やアプリ開発者の特徴などを色々と観察してきました。そ子から得られた日本と海外のアプリ開発現場の興味深い違いを一部ここで共有したいと思います。

日本人は世界一アプリにお金を払う人種?

スマートフォンアプリ解析のApp Annieがカジュアルゲーム関連のイベントのCasual Connectで発表した資料に、各国のiOSのゲームにおける1ダウンロードに対する収入を比べた資料がありました。

この資料では日本だけほかの国と比べて頭3つぐらい飛び抜けていて、「本当かこれ?」と思うようなデータでした。1ダウンロードに対するアプリの収益は日本は北米の3倍、中国の27倍と凄まじい差となっています。これを見て「日本人はみんな金持ちなのか?」「日本人はモバイルコンテンツにすぐお金を払う特殊な人種なのか?」みたいなことを海外のアプリ開発者に訊かれたり、「日本はガラケーのエコシステムが受け継がれた特殊なマーケットだ」みたいな話が出たりと、この結果に対して世界中の開発者は理由を理解できていない状況のようです。

メタップスは毎日各国のアプリ開発者とマネタイズに関する相談を受けたり施策を実験したりしていて、このあたりの謎が解けそうだと思い、自社のアプリのネットワークを色々と分析していました。

メタップスでは課金の併用として使われるリワード広告の仕組みをAndroidアプリ開発者向けに提供しています。リワード広告は「間接課金」と表現する人もいて、アプリに対してお金を支払いたくないユーザーでも広告でオファーされているゲームをダウンロードすることで、課金と同じ価値を受けられる仕組みです。実際はアプリ内課金と併用で使われることがほとんどで、ユーザーに金銭的な負担を求めずに開発者は課金と同じような広告収入を得られるので、ユーザーのお財布事情に関係なくマネタイズが実践できるメリットがあります。

自社のネットワークの約1,000万ダウンロードの数の内訳は4割が日本製のアプリ、6割が海外製のアプリで、ジャンルはいずれも9割以上がゲームです。そこからパートナーが1ダウンロードあたりに得ている平均リワード広告収入を日本製のアプリと海外製とで比較してみました。結果は日本製アプリの1ダウンロードにおけるリワード広告収入は海外の9.4倍あり、かなり驚異的な数値となりました。各国の広告平均単価の差を加味しても、3~5倍の収益性の差が日本と海外のアプリにはあるようです。

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リワード広告収入は純粋な直接課金とは異なり、「課金意欲」もしくは「課金機会」と広告収入が比例します。実際にユーザーがお金を払ってくれる「性質」があるかどうかは関係がありません。ここから日本人はコンテンツにお金を払いやすい人種というわけでなく、日本市場が非常に「儲かるマーケット」であるということも少し違うようです。むしろユーザーがお金を払っても遊びたいと感じる日本の「アプリの仕組み」そのものが、高い収益性をたたき出している理由だと考えたほうが良さそうです。

特に「運用」における概念は日本と海外のアプリ開発会社で大きく異なっています。海外のアプリ開発は完全なネイティブアプリとして制作する開発者が多く、ダウンロードされたらそれで終わりで、運用自体も不具合のサポートとアップデータ程度にして、次の新しいアプリを作り始める開発者が多いです。日本はブラウザー系コンテンツが主流でウェブアプリとネイティブアプリとを混ぜてアプリを制作する場合が多く、日時や週時でリアルタイムでの情報更新やイベントやキャンペーンの開催などユーザーをアクティブにして、継続率を高めるリテンションに対する力が非常に高いです。

この結果を見るとスマートフォン市場の波は実は日本のコンテンツ会社にとっては危機ではなく、むしろかなりの追い風になりそうです。言語の問題さえ解決できれば、国内の限られた市場で展開するより、はるかに勝ちやすく莫大な収益を確保できる可能性があります。実際に日本のアプリ開発会社で海外で売上を出し始めている企業も増えてきています。中には半年程度で月商1億円を超える規模まで拡大したパートナーも数社存在します。

自社でユーザーを集客するのが普通な海外アプリ開発会社

もう一点日本と海外で大きく異る点として、アプリ開発者のマーケティングに対する考え方にかなりの違いがあります。海外のアプリ開発会社は自社でマーケティングを実施し、ユーザーを集め、自社でユーザーを管理する形が普通です。そのためトップディベロッパーであるほどマーケティングやプロモーションなどの集客におけるノウハウを自社で蓄えており、それを強みとしている場合が多いです。

逆に日本のアプリ開発会社はコンテンツを「作る」能力とそれを「運用する」能力がものすごく高いのですが、ユーザーをどう集めるかという点においては苦手な場合が多いです。そのためコンテンツがユーザーに届くまでに介在する登場人物(キャリア、ソーシャルネットワーク、メディアレップ、広告代理店、コンサルティング企業)が多くなってしまいややこしくなる傾向があります。

日本は東京を中心にIT市場の経済は成り立っていて、ガラケーモバイルコンテンツの時代から強力なプレイヤーがユーザを一箇所に囲い込み、巨大なエコシステムを構築してくれていました。これが時代によってキャリア公式ポータルだったりソーシャルネットワークだったりしましたが、そのおかげで囲い込んだ「池」の中にコンテンツを提供すれば自社でマーケティングをする必要性はそれほどありませんでした。

それがスマートフォンの普及によってGoogleとAppleが世界共通の巨大なエコシステムを作りあげて、国境にあった壁をふっ飛ばしてしまいました。コンテンツ提供者にとっては囲い込んだ池で釣りをしていたら、突如隣に海が現れたイメージ近い気がします。

一方、海外はアプリ開発者自体も強力で、たとえばRovioの提供する『Angry Birds』はアプリ単体で世界5億ダウンロード以上されています。また北米のゲーム開発会社「Storm8」なども2億ダウンロード以上を1社で達成しており、彼らを囲い込んでメリットを提供できる企業は、GoogleとAppleを除けば世界には10億人近いユーザを抱えるfacebookぐらいしか候補がないです。

スマホの急激な普及でフィーチャーフォン時代に囲い込んだ「池」の存在意義が薄れていく中で、アプリ開発者に求められているのは自分で船を出し、巨大な海を公開して自由に漁業をするノウハウです。言い換えれば膨大な世界のスマートフォンアプリ市場で自社でユーザーを自由に獲得できるマーケティング能力がアプリ開発者の勝敗を大きくわける鍵になることが予想されます。

海外のアプリ開発会社はプロモーションのプランニングなども自社で行ない、ダイレクトにアドネットワークと取引をし、運用なども行ないながらノウハウを蓄積しているケースが多く、マーケティング部門が非常に優秀です。

今後日本のアプリ開発者も世界で勝負していかなければならない時期がすぐ来ます。自社でユーザーを獲得し、必要な機能やソリューションを外部から柔軟に取り込み組み合わせて、自社独自の「勝ちパターン」を見つけていくことが近道です。

身軽なスタートアップは「超」が付くほど有利な時代

最近上場企業の決算を見ているとモバイルのキーワードに関わるすべてのIT企業の業績に、スマートフォンの影響がじわじわ出始めているのが感じとれます。かなり危機的な状況に立たされている企業もあれば、波を捉えて右肩上がりの場合もあり色々です。ただスマートフォン市場で一番有利なのは間違いなく身軽なスタートアップだと思っています。既存事業もないので過去の資産を有効活用する必要も、シナジーを生ます必要もありません。違うなと思ったらスピーディーに方向転換ができますし、一度軌道に乗れば数カ月で大手を抜き去る規模まで成長することもできます。

じゃあ具体的に何すれば良いのか? という話はこのあたりで一部情報を公開していますので、ぜひ参考にしてみてください。2013年までのスマートフォン市場はスタートアップにとってチャンスに溢れた市場になると感じています。

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