iPhone 5でAppleは独自のチップメーカーになっていた; それが抜群の省電力の秘密

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Apple-A6

iPhone 5の話題は山ほどあるが、しかしその変化の多くは、見ただけでは分からないところにある。金曜日になってiFixit.comなどが恒例のApple新製品分解儀式をやってみると、多少のことは分かるかもしれないが。でも、iPhone 5の最大の秘密はすでにあばかれている。それは、Appleの独自設計によるSoC、A6で、同社が5年近く前に行った買収が功を奏した技術だ。

そのA6は、前身のA5やA4と違って、ARMの設計にマイナーな変更を加えて名前だけを変えたものではない。AnandTechのAnand Shimpiの見解では、それは完全にApple自身の創造物だ。ベースとなっている設計はAppleがそのほかの汎用プロセッサとともにARMからライセンスしたものだが、その後Appleが独自に加えた設計変更の比重が大きい。言い換えるとAppleはついに、独自のチップメーカーとしてその姿を現し、それによってデバイスのパフォーマンスと消費者が目にし手にする機能に大きなインパクトを与えた。しかもそれは、今後のスマートフォンやタブレットにも継承されていく。

この変化についてiFixitの協同ファウンダでありIEEEのConsumer Electronics Societyの会員であるKyle Wiensに話を聞いた。彼はこの新しい方向性と、それが、ユーザとAppleのハードウェア双方にもたらす意味について、熱烈に語った。

“AppleはP.A.Semiを買収したけど、何をしてるんだろう?、と長年疑問を感じていたが、Appleの長期に亘る開発戦略が今やっと、実を結んだのだ”、と彼は説明した。“いちばん重要なのは、省電力だろう。Appleは今も、そしてこれまでもずっと、消費電力の削減を最重要課題と見なしてきた。この問題に関しては、AppleはARMよりも真剣に力を入れてきたのだろう”。

電池に関してはiPhoneはこれまでも、ライバルのAndroidなどに比べてずっと有利だったが、新製品のiPhone 5では電池を収納する筐体のデザインをはじめとして、電池で一層優位に立つための工夫がたくさん導入された。また大型画面、LTE対応、それにPassbookなどに位置情報を提供する位置モニタ機能の常時on化など、新しい電力消費要因を抱えつつ省電力を達成するためには、プロセッサの電力消費に対してApple自身が大鉈を揮うしかなかった。そうやって完成したApple独自のチップデザインは、Wiensによれば、今後のそのほかのモバイル製品にも確実に浸透していくだろう。

“これは明らかに、iPhone 5単独の製品仕様ではなく、Apple全体としての長期戦略だよ。昨日や今日の思いつきではなく、相当前から取り組んでいたはずだ”、と彼は言う。“そもそも初代のiPhoneを出すとき、それは彼らにとってまったく新しいフォームファクタだったから、当然、プロセッサの長期戦略が必要だと考えただろう。ARMは基本的な枠組みとしては良かったが、もっとこれまでとはまったく違う観点からプロセッサを設計する必要がある、と彼らは考えたのだ”。言い換えるとAppleはかなり前から、モバイルという新しい形態のコンピューティングはまったく新しい種類のチップを必要とする、と覚悟していた。そのビジョンの実現がやっと最初の姿を現したのが、今度のA6なのだ。

Wiensの指摘によると、彼がiPhone 5の新しい特長をいろいろ調べた結果として言えるのは、結局プロセッサが唯一最大の、省電力の担い手であることだ。だからAppleは、単純に前よりも強力なデバイスを小型化軽量化してしかも電池寿命を犠牲にしなかった、という話ではなく、この新しいチップデザインに今後改良を重ねていくことにより、将来の競合における相当大きな、しかも他社が簡単に真似できない、アドバンテージを獲得した、ということになる。そのための兵力としては、P.A.Semiだけでなく、2010年に買収したARMプロセッサの設計企業Intrinsityがいる。

Appleはつねに、ハードウェアとソフトウェアの完璧な結合により最良のユーザ体験を提供する企業だ。独自のモバイルチップを作るようになったという今回の事態は、将来の製品においてその結合を一層シームレスにすることがねらいだ。これからは、そのガジェットに何ができるかという表舞台だけでなく、それらを低いエネルギーコストで実現するという舞台裏まで、Appleの完全なコントロール下に置かれるのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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