なぜZyngaはこけたのか?

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2008年、Zyngaの前途は明るかった。Facebookが、ゲームなどしたことのない人びとを集めるポータルになった。そこでのヴァイラルな成長には、限界がなかった。Facebookの広告費は安く、したがってトラフィックを買うコストは低かった。そしてゲームの多くはデスクトップでプレイされた。しかしやがて、すべてが変わり、Zyngaは二度と回復しなかった。

Zyngaの力とシェアの価値が急落した原因は、主に4つある:

デベロッパの過剰と一般消費者ゲーマーの減少

Zyngaの成長が始まる前までは、ビデオゲームといえばマニア的ゲーマーのものだと思われていた。しかしビデオゲームも、最初は違った。誰でもすぐに遊べるPongやPac-Manのようなアーケードゲームが、一般大衆にうけていた。

しかしゲーム専用機が強力になり、家で遊ぶことが主流になると、ゲームは複雑になり、コントローラも複雑になった。ママは、HaloやFinal Fantasyには近づかなかった。というかもはやそれらは、一般大衆が遊ぶものではなかった。

しかしFacebookは、ゲーム専用機とほぼ同じものを、何百万ものノン・ゲーマーたちの前に置いた。そこに目を着けたMark Pincusは、大衆市場向けのゲームを作った。ひたすらクリックを繰り返す、単純な遊び方。誰にでもできること。しかしすぐにほかの起業家たちも目を着け、市場は細分化した。

それからの5年間で、ゲーマーたちも利口になった。最人気のゲームは依然としてかなりシンプルだったが、戦争の指揮をシミュレートするWar Commanderのような中級ゲームが伸びてきた。FarmVilleをクリックすることで満足していた人たちも、一部はより複雑なゲームに移行した。

広告クリックがコスト高に

2008年には、‘Facebook上の潜在的なゲーマー’という大きな処女市場があり、Zyngaは彼らに到達する方法を必要としていた。しかしFacebookの広告に関心を示す企業はまだ少なく、ゲーム企業も広告がユーザを獲得するための有効な方法であることに、気づいていなかった。そのためFacebookの広告クリックのコストは低く、ROIを得るためにゲーマーに多額の課金をする必要もなかった。

そこでZyngaは、大量の資金をかき集めることができた。7か月で3回の調達ラウンド、そこで4000万ドルを獲得した。同社は大量の広告を買い、あまりにも巨額なのでFacebookの売上に占める比率も高まり、一時は10%に達したこともある。

やがて、一般企業やそのほかのゲーム企業もFacebookの広告に金を注ぎ込むようになり、その実質コストは増加した。一部の推計では、2009年のCPC約27セントに対して、今年はその約3倍、88セントと言われる*。つまりZyngaにとっては、新規ユーザの獲得費用が高騰した。そこで同社は、ヴァイラルな成長に頼ろうとするが、しかし残念ながら…
〔*: 広告費のCost Per Clickが3倍とは、同じ1000ドルの広告でもクリックしてくれる人が以前の1/3に減った、ということ。〕

Facebookはゲームスパムにうんざりした

Facebookはニューズフィードとアプリプラットホームを立ち上げたとき、この二者が結びつくことを想定しなかった。しかしZyngaはたちまち、ヴァイラルの巨大怪物になった。友だちに助けを求めると勝てるゲームを作った。プレイに頻繁に割り込んで、“あなたの牛の乳をしぼりますか?”などのお話を友だち全員に共有することを求めた。それは、広告で釣り上げたユーザ一人につき、ニューズフィードでヴァイラルすることにより二人の友だちをさらに釣り上げる、というパターンになる。

Zyngaのようなデベロッパは劣悪なゲームスパムになってしまい、友だちからのステータスアップデートや写真などがスパムの洪水に溺れそうになり、Facebookのユーザ体験を荒廃させようとした。そこでMark Zuckerbergは腰を上げ、あるインタビューでこう語った:

“ゲームで遊ぶのが好きなユーザはたくさんいるが、ゲームの嫌いなユーザもたくさんいる。だからゲームが大きな問題になってしまった。ゲームで遊ぶことの好きな人は、自分のファームやフロンティアや何やかやについてアップデートをポストしたい。でもゲームに関心のない人は、アップデートを欲しくない。だから両者への公平を図るために、ゲームのプレーヤーでない人にはそんなアップデートが行かないようにした。”

Zyngaにとって、ヴァイラルという濡れ手で粟は終わった。

画面が小さくなり、利幅も縮小

長年Zyngaは、Facebookのデスクトップゲームで仮想グッズをいわば非課税で売ってきた。つまりグッズはデジタル画像のコピーだから製造原価ゼロ、利益率は最大だ。しかしFacebookは2011年7月に全デベロッパに仮想通貨Creditの使用を強制し、30%のさや取りを開始した。Zyngaはこの税率の緩和を交渉したかもしれないが、いずれにしても同社の収益にとっては痛手だ。

Zyngaの最盛期には、Facebookは主にデスクトップで使われ、ゲームもそこでプレイされた。しかし、モバイルへの移行は早かった。それはFacebookを不意打ちし、Zyngaにも打撃となった。

このゲームの巨人はフリーミアムの経験しかなく、ユーザがそれを買ってから遊ぶというゲームを作ったことがなかった。同社は、毎回のセッションでプレーヤーを深く引きずり込むタイプのゲームの作り方を、学習しなければならなかった。単純にそこへ行って雑務をこなす、というタイプのゲームではだめだ。またiOSやAndroid世界の住人であるためには、お買い上げ収入の30%を放棄しなければならない。

Zyngaのソリューションは金を投ずることだったが、その路線もうまく拡大しなかった。Newtoyを買収してWords With Friendsを手に入れ、大ヒットしたが、その収益は乏しく、ファウンダたちは会社を去ったDraw SomethingのデベロッパOMGPOPを買収したときは、このゲームの人気の絶頂だったから、あとは転がり落ちるのみ。Zyngaは9500万ドルもの損失を計上するはめになった。

財務という要因も、Zyngaの没落に貢献した。株の買い戻し、自己株を売るPincus、IPOの価額とタイミングの悪さ、重ねてFacebookのIPOの不調、などなど。でもこれらは、別記事のテーマだ。

Zyngaは10か月前に一株10ドルでIPOした。今日(米国時間10/5)はまた23セント下げてわずか2ドル48セントだ。売上予測を下方修正したことが、響いている。ぼくは、Zyngaは回復路線に乗ると信じてはいるが、それは容易な道ではない。もっと自然にヴァイラルがわき起こるような、高度なゲームが必要だろう。それらは、モバイル上のマネタイズを最初からねらったゲームでなければならない。そのためには人材の流出に歯止めをかけ、またゲームで世界を結ぶというZyngaのミッションを本気で信ずる新しい血も必要だ。

[画像クレジット: Dabe Alan, Penny Arcadeより。]

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“なぜZyngaはこけたのか?” への1件のコメント

  1. ソーシャルゲームをやってる時間があるならリアルなビジネスでゲームを楽しんだ方がいい。時間と金をどこに投資すべきかは少し考えれば分かることだ。

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