Growth Hacker

グロースハッカーを定義する:3つの共通する特徴

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日本版編集部注:この連載は現在シリコンバレーを中心として話題となっているグロースハッカーについて扱っている。グロースハッカーは、プロダクトに対するユーザーの獲得や利用率の向上など、プロダクトを成長(グロース)させる職種の人たちだ。これを執筆したAaron Ginn氏はグロースハッカーの第一人者で、10月26日にシリコンバレーで開催されたGrowth Hacker Conferenceの中心人物でもある。なお、彼はわれわれが11月15日に主催するTechCrunch Tokyoのスピーカーとして登場してくれる。Aaron Ginn氏の一連の記事の翻訳とイベントの来日をアレンジしてくれたIndividual Companyの高橋雄介氏に感謝したい。

「グロースハッカーを定義する」と題したこの連載では、グロースハッキングの意味と実践的な応用例を、沢山の有名なグロースハッカーへのインタビューを通じて探ろうと思っている。今回が連載の最初の記事ということで、まずは、グロースハッカーに共通する特徴を浮き彫りにしていこう。

グロースハッカー達が、テクノロジーの世界に居場所を作りつつある。グロースハッカーを求めている求人票がウェブのそこら中で見られるようになった。すべてのステージの企業が、グロース(ユーザー成長)の専門家を見付けるために躍起になっていて、しばしば、ユーザーエクスペリエンスやコンピュータサイエンスの専門家を探すときと同じくらいに、積極的に採用活動を繰り広げている。Sean Ellisが2010年に「グロースハッカー達はどこにいる?」というタイトルのブログ記事で、”グロースハッカー”という名称を初めて命名したのは正しかったのだ。Andrew Chenが「グロースハッカーになる方法」というブログ記事を書いたことにより、グロースハッカーに対する需要は今や広く行き渡ることになった。

バズワードとなっていて市場も拡大しつつあるにも関わらず、ほとんどの企業は、グロースハッキングについては「製品を成長させる」だとか「ユーザーを獲得する」といったシンプルな意味以上のことを知らないのだ。ほとんどの技術的な専門職とは異なり、グロースハッカーはまとまったスキルや知識では定義できない。Clarityの創業者であるDan Martellによれば、「グロースハッキングは、まとまったツールの集合というよりは、思考法を指している」という。つまり、必要にかられて学習した個々の専門分野の集合ということだ。グロースハッカーは、技術者やマーケターが一緒になったようなユニークな、内部調査のプロセス、物の見方、メンタリティーを持っている。データ、想像性および探究心に関するこの考え方が、グロースハッカーがユーザベースを数百万人にまで成長させるのを達成するのに寄与している。

データ

グロースハッカーは、メトリクス(評価基準)を追跡することと変化させることに情熱を傾けている。なのでメトリクスやデータが存在しなければ、グロースハッカーは自らの居場所を見付けられず、居心地の悪さにさらされることになる。このデータに対する強い興味が、グロースハッカーを意味のないメトリクスから遠ざけ、ビジネスの成否を決めるメトリクスに向かわせるのだ。データとメトリクスは、グロースハッカーが成長の道筋を見付けるための科学的な方法として最重要なものなのだ。グロースハッカーは、メトリクスをレポートするためのメカニズムとして見るよりも、またデータをオタクっぽくなるものとして見るよりも、理論付けと検証を通じて、両者をよりよい製品にするための発想の源泉として見ている。この成長のための科学的な方法は、Everlaneの共同創業者であるJesse Farmerによって、engineering distribution(と呼ばれている。Jesseによれば、「最良のグロースハッカーは、成長とディストリビューションに対して厳密で経験に基づいた方法をとる」という。グロースハッカーがフォーカスしている課題は、特定のメトリクスを繰り返し変更しながら、成長を達成することにある。これらのメトリクスは、サインアップのコンバージョン率からバイラル係数に至るまで何でもありだ。そして、データが新しいプロダクトや次の施策につながる(ユーザの)区分けを引き出すというわけだ。

創造力

Beboの共同創業者であり初期のグロースハッカーの一人であるMichael Birchは「グロースハッキングは、芸術であるとともに科学でもある」と指摘する。データによって操作されメトリクスを変更する一方で、グロースハッカーはクリエイティブな課題解決の専門家でもあるのだ。グロースハッカーは、ユーザーを獲得したり巻き込んだりするための新しい方法を考えられるような、力強い知的な器用さを持ち合わせている。グロースハッカーはデータの前で立ち止まることをせず、成長を見つけるための新しい未知の境地にデータを組み込んでいく。Taggedの共同創業者でありCEOであるGreg Tsengによれば、データとクリエイティビティーには密接な関係があるという。「君は右脳と左脳の両方を使うのが得意かな? 君が単にクリエイティブなだけであるなら、君のアイデアがどのように優れているかを決して知ることはないだろう。そして君がもし分析的な思考しか持ち合わせていないのであれば、君のアイデアがどんなに悪いかということだけを正確に知るだろう。」

この創造力と分析力のマッシュアップは、グロースハッカーの明確な特徴だ。HomeRunの共同創業者であるMatt Humpheryは「クリエイティブな人たちは、直感的にユーザーにとって最良のものをデザインできるし、データに関わる人たちは素晴らしい見識を与えてくれる。本物のユニコーンならば、デザイン、実装、計測、分析、反復を、ユーザー視点での直観と(製品提供者視点での)深い分析を組み合わせることで、一貫して実行するはずだ」と語っている。グロースハッカーは、個別の専門分野と機能を超越して働き、UIやUXに没頭しながら、メトリクスに関する意思決定を行う。創造性と分析的な考え方が、グロースハッカーを凝集的で秩序だったプロダクトの絵を持つようにさせるのだ。

探究心

グロースハッカーは、訪問者がなぜユーザーになることを選択してエンゲージするのか、いくつかのプロダクトはなぜまったく上手く行かないのかということに興味を持っている。今日の注意散漫なユーザーに囲まれながらも、グロースハッカーは、メトリクスを向上させ、右肩上がりに成長させるための新しい方法を習慣的に探求し続けている。MediaSpikeの創業者で、ソーシャルゲームの先駆者でもあるBlake Commangereは「グロースハッキングには『今日は僕のために何をしてくれたの?』といった目立たないメッセージが含まれている。グロースハッカーは決して立ち止まることがない。Facebookは今でもグロースチームを設置しているし、彼らが10億人のユーザーをもたらしたのだ」と言う。グロースハッカーは、いつでも好奇心旺盛であり、学ぶことに対して決して満足することのないような欲求を持ち続けている。彼らは、ユーザーの行動を深く観察して、その行動に関わる経済系の先端を探るのだ。Jesse Farmerによれば、「優れたグロースハッカーは、インターネットがどのように機能するのかということについて、深い理解と探究心を持っている。優れたグロースハッカーは、『実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』と『予想どおりに不合理』を読んでグロースハッキングに活かそうとする。」彼らの探究心は、表面的なもの以上のプロダクトとUXの理解に導いてくれる。グロースハッカーは、成長そのものにそれほど関心を示さずに、ユーザーの思考方法やプロダクトのフローを理解する欲望を持っていて、何度も何度もその理解した方法を繰り返し再現するのだ。グロースハッカーは、単に「ギークであり、同時に、非常に人間的でもある」のだとHot or Notの共同創業者であり、Perceptual Networksの創業者でもあるJim Youngは言う。

グロースハッカーは珍しいタイプの種族であり、ほとんど共存するようなことがない「データ」「クリエイティビティ」「探究心」のマッシュアップだ。まあまあ最近になって定義された分野であるので、今日のシリコンバレーにはほんの数百人程度のグロースハッカーしかいないという人もいる。今は少ない人数しかいないのだが、ガラスの天井は存在しないし、誰にとってもドアは開かれいている。Refer.lyの共同創業者でありかつてTwilioでグロースハッカーに従事していたDanielle Morrillはこう言う:「この記事を読んだ人が、私たちが実践しているような方法を学びたくなったり、グロースハッカーになりたいと思ってくれたら嬉しいわ。みんな、こっちにいらっしゃい!」

ほとんどのグロースハッカーが共通して言うことは、彼らは会社を始めて、マーケティング予算がゼロの状態で必要にかられてグロースハックについて学んだということだ。この連載の次の記事では、グロースハッキングの実践的な応用例と、マーケティングがどのようにして自ら新しい形態に脱皮しようとしているのかについて探っていこうと思う。

Jared KopfMatt HumphreyJesse FarmerDanielle Morrill、そしてZak Holdsworthにはグロースハッカーについての整理、インタビュー、この連載の構成について助けてもらった。この場を借りて御礼を言いたい。

[原文へ]
(翻訳:高橋雄介

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