
Amazon Web Services(AWS)の今年の売上は15億ドルに達する見込みだが、しかし全体としてこの部門は、Amazon.comの中核的資産としては依然過小評価されている。だが、それも今週を境に変わるかもしれない。今週AWSは、初のカンファレンスをラスヴェガスで開催するのだ。このイベントは、AWSへの世間の関心をあらためて高めるだろう。何と言ってもAWSはこれまで、ITとエンタプライズソフトウェアの市場にもっとも重要な影響を与えてきたクラウドベンダなのだから。
Investor’s Business Daily(IBD)誌によると、上記の売上予測を発表したのはR.W. BairdのアナリストColin Sebastianで、彼はその記事の中で、GoogleやRackspaceがAWSの強敵になりつつある、とも書いている。
Sebastianのその記事によると、Amazon自身はAWSの売上を公表していないが、Amazonの決算報告の中で「その他」となっている各種事業部門の中ではAWSがトップだ、と世間は見ている。今年の第三四半期では、「その他」の売上は68%増進し、6億4800万ドルになったが、これは全社成長率27%を大きく上回っている。
さらにSebastianは、Amazonの主体ビジネスである小売業はマージンが薄いが、逆にAWSは厚いはずで、だから利益貢献度でもAWSは今はまだ過小評価されている、と述べている。つまり、AWSは本当はAmazonの経営にビッグな貢献をしているはずなのだ、と。
AWSは議論の余地なくクラウドコンピューティングのトップ走者だが、いまだにPRらしきこともせず、目立たない姿に徹しているため、そのことを知らない人が多い。でも今ではほとんどの企業が、自前のデータセンターやオンプレミスのアプリケーションには二の足を踏んでいる時代だから、そういうラディカルな時代の変化を作りだしたことでも、AWSの功績は大きい。今ではエンタプライズソフトウェアの大手ベンダのほとんどが、OpenStackのような汎用のプラットホームや、あるいはOracleなどが提供するバーチカルのソリューションにより、プロダクトをクラウドから提供し始めている。いわばそれは、クラウド上の大型店時代の到来だ。
AWSを利用すると顧客はアプリケーションのデプロイ(deploy, 展開・配備)が迅速にでき、複数の大型ボリュームの管理を自動化でき、大きな柔軟性が得られる。ただし、AWSの正しい効率的な利用は、まだまだ利用企業にとって大きな課題だ。今週のAWS初のカンファレンスre:Inventでも、そのへんが重要な話題になるだろう。それは一種のお披露目パーティーでありつつ、同時にまた、コミュニティのメンバーがAWSの最適利用について学び合う場でもある。AWS利用のコツをよく知っているのは、まだ一握りの人たちにすぎない。それが今後早期に、もっともっと広範囲な知識にならなければ、懇切丁寧なカスタマサポートと広範なカスタマイゼーションで勝ち抜こうとしている後進の競合他社たちに、むざむざと大きな機会を与えてしまうことになる。