
ドイツのミュンヘンで行われた招待制のカンファレンスDLD(Digital-Life-Design)でCodecademyの協同ファウンダでCEOのZach Simsが、このサービスの歴史や、今現在の使われ方、オンライン教育という急成長分野における同社の役割、などについて述べた。
Simsは、ケニヤ共和国のCodecademyユーザMarthaについて詳しく語った。彼女はそれまで、インターネットをほとんど使ったことがなかったが、病院の助手職に就いてからコンピュータを使うようになり、ソーシャルメディアの利用を開始し、Wikipediaなどから知識を吸収するようになった。いずれも、それまでの彼女にとって未知のものばかりだった。しかし彼女がいちばん心惹かれたのは、インターネットが人びとを消費者から創造者に変えうることだった。そう痛感した彼女は、Codecademyでプログラミングの勉強を始めた。開始から二週間後に彼女は病院のバイトを辞めてプログラミングの勉強に専念するようになった。そしてついに彼女は、ケニヤでRubyデベロッパとして自立した。
Simsがこの話を通じて強調したのは、Codecademyはユーザに創造、すなわち“作ること”ができるようになってほしい、と願っていること。彼曰く、今はコンテンツの消費者でしかないインターネットユーザがあまりにも多すぎる。コンテンツは、自分でも作れるものなのに、その作り方を知らない。“われわれ全員が、Web上では、単なる消費ではなく、今よりもさらに多くのものを作る能力を、持っているのだ”、と彼はインターネットの本質を強調する。
Codecademyは、“インターネットにふさわしい教育的体験を作りだしたい”、と彼は言う。Codecademyのようなやり方がほかの技術や学術にも適用できるか、と問われた彼は、Codecademyのように実践を通じて学び、学んだことをすぐに応用できるような分野なら、Codecademy方式で行ける、と答えた。さらに彼が強調したのは、Codecademyがうまくいっているのは、学習者のコミュニティができて、お互いに助け合ったり、また新しいレッスンを自作したりしているからだ、ということ。“どんな分野でも、学習は対話的に行うべきであり、しかも、仲間同士でやっていくべきものだ”。彼は、Codecademyが最近始めた、WebアプリケーションのAPIを利用するプログラミングのクラスについても触れ、学んだことを自分ですぐに使ってみられる(==その場で応用できる)、という教え方の重要性を強調した。
Codecademyを作った動機についてSimsは、自分のときにはプログラミングの勉強がとても困難だった、尋ねたいことがあっても、それを聞ける相手やサイトがどこにもない、それに、学習者のコミュニティもなかった、と語る。だから協同ファウンダのRyan Bubinskiに会ってから二人で作ったのは、要するに自分たちのためのサービスだった。三週間でプロトタイプを作ったが、そのために必要なJavaScriptは、プロトタイプを作りながら学んだ。そして、立ち上げるとたちまち、数千のユーザが殺到し、人気はあっという間に全世界に広がった。Simsの考えでは、Codecademyが作ったものは、単にプログラミングの自学自習サイトというよりも、“ものを作る人たちのグローバルなコミュニティ”である。
UdacityやCloudera〔←たぶんCourseraのこと〕などについてSimsは、彼らは業容拡大という問題を抱えているようだが、Codecademyが彼らと違うのは、ユーザ自身の力で勝手に拡大していることだ、と言う。ユーザが世界中から増えているだけでなく、Codecademyでは新しいコースもユーザ自身が作成提供できる。
これまで完全に無料だったサービスを、どうやって収益に結びつけるか。このきわどい問題についてSimsは、今後ある時点で有料のサービスも導入しなければならないとは思うが、自分の使命はあくまでもプログラミング学習のハードルをできるだけ低くすること、収益化はトップのプライオリティではない、と答えた。