Googleがトロント大の学内起業DNNresearchを買収, ニューラルネットの応用本格化へ

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GoogleのM&Aの最大の特徴は、その釣る魚が多種多様であることだ。11月には、小包配送サービスBufferboxを買収、先月は今年初の買収としてeコマースのChannel Intelligenceを買収した。そして今日Googleは、カナダのオンタリオ州立トロント大学のコンピュータ科学部の連中が作ったDNNresearchの買収に着手した。このスタートアップを作ったのは、教授のGeoffrey Hintonと、彼の二人の教え子Alex KrizhevskyとIlya Sutskeverだ。

昨年ローンチした同社のWebサイトには黒いブランクページがあるだけで、情報は何もない。買収の価額などは公表されていないが、同社のニューラルネットワークの研究とそれを支える才能にGoogleは目を付けていた。コンテンツの断片や画像、音声、テキストなどを、これまでの検索アルゴリズムとは違う方法で認識/判定できる可能性があるからだ。トロント大学は今日の発表声明の中で、同社の研究は“音声認識やコンピュータビジョン、言語理解などの方面で大きな可能性を持つ”、と述べている。

Hinton教授は、ロンドンのUniversity CollegeでGatsby Computational Neuroscience Unit(ギャツビー財団の資金による計算機神経科学専科)を作った人物であり、機械学習におけるCanada Research Chair(カナダ政府任命の国家的研究主幹)であり、カナダ高等研究所の研究プロジェクト“Neural Computation and Adaptive Perception”(神経計算と適応知覚)のディレクターであり、イギリスの科学学会The Royal Societyのフェローでもある。Hinton教授は、ニューラルネットと、中でもとくに“unsupervised learning procedures for neural networks with rich sensory input”(大量の感覚入力によるニューラルネットワークの無教師学習手順)の研究で名高い。

トロント大学の声明によると、KrizhevskyとSutskeverの両人はGoogleの社員になり、Hintonは大学の研究職とGoogleでの仕事を掛け持ちする。その‘勤務先’は、Googleのトロント事業所とマウンテンヴューのGoogle本社だ。

Googleはこの買収によって、Hintonらが研究していたオブジェクト認識技術にアクセスできることになり、とくに画像検索や顔認識技術の性能向上が期待される。同社が最近買収したViewdleには、顔認識に関する特許がいくつかあり、またその前には2011年のPittPatt、2006年にNeven Visionと、やはり同系統のスタートアップを買収している。

加えてGoogleはこのところ、音声認識技術と自然言語処理と機械学習技術を同社の知識グラフに統合して、完全に新しい検索エンジンを作ろうとしている。GoogleがWebで提供している画像検索には、すでに相当深い検索アルゴリズムが使われているが、それを今後はさらに改良して、モバイルでも提供していくつもりだ。

DNNresearchの3名のファウンダが最近発表した論文には、こう書かれている: “各種のCNNにはそれぞれ魅力的な資質はあり、それらのローカルなアーキテクチャの効率性は高いが、あまりにも高価であるために大型で高解像度の画像には適用できない。しかしわれわれの研究によると、大型で深いたたみ込みニューラルネットワーク(convolutional neural network) には、高難度のデータ集合に対して、純粋に教師付き学習(supervised learning)だけで記録破りの結果を達成できる能力のあることが、判明した”。

…ということ。お分かりかな?

DNNresearchを買収する以前にGoogleは、Hintonらに60万ドルの研究費を寄付している。その寄付の根拠となったGoogleの”Focused Research Awards事業“は、同社の「善きことをする」の社是に基づいて、“コンピュータ科学とエンジニアリングにおける意欲的な研究”を無制約で2〜3年間助成し、その間、Googleの“ツールと技術と専門知識”への無料のアクセスを提供する、というものだ。

というわけでGoogleはDNNresearchに対して研究費を寄付したけれども、彼らの成果を音声認識や自然言語処理や画像認識など、同社の近未来の最重要技術に本格的に利用していくためには、助成だけでは不十分、と悟ったのだ。

トロント大学の学長David Naylorは声明の中で、“Geoffrey Hintonの研究は基礎研究に根ざす画期的なイノベーションのすばらしい実例である”、と述べている。“有能な研究者たちによる発見が、専門知識と好奇心と直感によって自由自在に導かれ、その結果、これまで誰も想像しなかった、ましてや要求さえしなかった実用的応用に結実する”。

詳しくは、トロント大学の声明文原文をどうぞ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))