日本発Google Glass対抗「Telepathy One」が約5億円を調達して目指すものとは?

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Google Glass対抗のメガネ型ウェアラブル・デバイス「Telepahy One」を開発するテレパシーが米国時間の8月21日、Firsthand Technology Value FundがリードするシリーズAラウンドで500万ドル(約5億円)の資金を調達したと発表した。新たにシリコンバレーに開設する研究開発拠点で人材の採用を加速するという。2013年秋にSDKを限定公開し、2014年の製品発売を目指す。テレパシーは同時に、アップルでQuickTimeの開発で中心的役割を果たし、MPEG4の標準化にも貢献したピーター・ホディ氏(Peter Hoddie)がアドバイザリボードに加わったことも発表している。

最初に普及するのは汎用的デバイスより、一点突破型

2014年の発売開始が噂されるGoogle Glassとともに市場に並んだ場合、どこにTelepathy Oneの勝機があるのだろうか。モバイル向け汎用OSとしてAndroidの完成度は高まっているし、エコシステムも大きい。Google Glassのようなウェアラブルデバイスに市場性があるかどうかは未知数だが、もしあるとして、オープンな開発環境を当初から備えたGoogle Glassに、Telepathy Oneは対抗できるのだろうか? Telepathy Oneは、少なくともリリース当初は限られたサードパーティしかアプリを開発できないようだ。

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セカイ・カメラで一世を風靡した(そして後に期待の分だけ落胆もさせたと個人的には思っているが)、元頓智ドット代表取締役で、現在テレパシーを率いている井口尊仁氏は、こういった新しいデバイスが広まるのは「一点突破」によるのだと汎用指向を切り捨てる。東京・渋谷のオフィスで井口氏はTechCrunchに以下のように語った。

「(開発環境やエコシステムが)オープンというのが勝利につながるわけじゃない。それに、(アプリ開発を自社外に無制限に開放するのは)悪い言い方をすると第三者に使い方を考えてくれって言ってるようなものですよね。アップルのスティーブ・ジョブズがコア・アプリはみなさんに任せますとか最初から言ってたら怒りますよね。どういうふうにコミュニケーションが変わるんですか、という未来想像図をリアルに描いて提示しないと」(井口尊仁氏)

Telepathy Oneはシンプルなデバイスだ。超小型のプロジェクタによる映像が目の前に見え、ディスプレイが視野の一部に浮かんでいるように見える。ここに通信中の相手のカメラが捉えた映像が見える。つまりTelepathy Oneは「見ているものの共有」をするためのデバイスだ。映像を見る方はPCなどほかのデバイスでも構わない。通信が1対1なのか、1対Nになるのかも、まだこれからのソフトウェアの作り込み次第のようだ。

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Google GlassとTelepathy Oneの印象はだいぶ違う。斜め上を見上げて画面を確認する感じになるGoogle Glassと異なり、Telepathy Oneでは映像が風景に溶け込む印象だ。ディスプレイ部を小さく保ち、アームもなるだけ視界をさえぎらないよう工夫を重ねているという。例えば光学系を手がけるのは元ソニーのエンジニア、バッテリは元パナソニックのエンジニア、というように日本の製造業のトップ企業からスタートアップの世界にチャレンジしに来たベテランエンジニアが東京のオフィスに机を並べている。

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LTE搭載も噂されるGoogle Glassと異なり、Telepathy Oneの通信系はWiFiとBlootoothのみという割り切りで、スマフォなどを通してネットに接続する。コスト抑制やバッテリ持続時間の確保という意味と、いきなりキャリアを開発プロセスに巻き込むと自由度が低くなるという懸念があるという。

「かつてモトローラはRazrにiPodプレイヤーを入れたiPod携帯というものを作っていましたが、あまりにデキが悪くて、それにジョブズがぶちきれてiPhoneを作り始めたという話もあります」

「iPodの音楽プレイヤーのように、キラーアプリ、キラーデバイスがあったことで、iPhoneは弾みがついたわけですよね。iPodに相当するような有効なユースケースがあれば、第2フェーズからでもモバイルキャリアと組めます」

「iPodのクルクル回すホイール状のインターフェースとか、iPhoneのピンチ操作とか、それを触っているだけでも楽しかったですよね。同じように、Telepathy Oneでもジェスチャーという新しいインターフェースで、触っているだけでワクワクするようなもの作っています」

Google Glassが音声中心の操作であるのに対して、Telepathy OneはジェスチャーをUIの主軸とするという。

Telepathy Oneの狙いは「ディスプレイとUIの刷新」という。PCは、机に置いたビットマップディスプレイとGUI、マウスがセットだった。これをiOSは、携帯できる小型ディスプレイとマルチタッチジェスチャーで置き換えた。こうした変革に相当することを、Telepathy Oneではアイウェアとジェスチャーという組み合わせで実現しようとしているという。単眼カメラでジェスチャーを認識できる処理能力やソフトウェア技術が出てきていることが背景にある。「次世代のディスプレイとUI。これをきっちり入れたプレイヤーはiPhoneの次が取れる」(井口氏)。逆にスマートウォッチでは、結局スマフォに従属する便利な表示端末止まりになる。だから井口氏は投資家にスマートウォッチを開発したらどうかと言われても取り合わないのだという。

一点突破の「一点」とは何だろうか? 映像ストリーミング共有?

「動画共有とは違います。われわれは体験共有といっています。大きなビジョンとしては人間のコミュニケーションを変えたいということ。写真や映像の共有はUstreamやInstagramがあるが、そういうものを作りたいのではないのです。共有したいというとき、いかにステップを減らして楽しくやれるか。そうしたものができれば、究極的には電話を置き換えるのではないかと思っています」

説明を聞いても、上のデモ動画を見ても、肝心のコアアプリケーションとなる「コミュニケーション」の具体的な形がまだ良く分からない。本当に広げた風呂敷の大きさに見合うだけの新たな共有体験をTelepahy Oneは見せることができるのか。井口氏が、そこそこ売れるデバイスを目指しているのではない、というのだけは確かなようだけれども。

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