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ウェアラブルなんてバズワードだ、まずはモノを作って出すべき——古参ハードウェアベンチャーの提言

ウェアラブルなんてテクノロジーの進化の一部を切り取ったバズワードでしかない。ハードウェアベンチャーはまず自らプロダクトを作って世に出して、そしてのノウハウを共有していって欲しい——2008年創業で、すでに古参のハードウェアベンチャーとなったCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、イベントの壇上でこう語った。

これは、3月25日から26日にかけて開催されたイベント「Wearable Technology Expo in Tokyo 2014」での一幕。25日の午後に開催されたTelepathy CEO の井口尊仁氏と岩佐氏のセッションでの話だ。

ウェアラブルはバズワード

イベントのテーマでもあるウェアラブル。セッションの冒頭、井口氏にこの定義について尋ねられた岩佐氏は、この言葉を「あくまでバズワードに過ぎないのではないか」と語る。「NikeのFuelBandやJAWBONEのUP、Google Glassなどが出てきたということをウェアラブルと総称しているだけ。IoT(Internet of Things)もバズワードでしかない」(岩佐氏)。この流れの本質は、「モノ作りのハードルが以前に比べて下がった」ということにこそあるという。

iPhoneアプリを制作するように手軽にとはいかないが、ハードウェアの製造は5年前に比べれば格段にやりやすくなったと説明する岩佐氏。Bluetooth4.0 LEや省電力WiFiといった技術が出てくるという中で、一部の事象だけを切り取った見方が「どうやらウェアラブルが盛り上がってきた」という状況ではないかと続ける。

Cerevoが活動を始めたのは2008年。当時はまだクリス・アンダーソン氏が「MAKERS」を出版していなければ、ウェラブルデバイスも登場していない時代。岩佐氏はなぜハードウェアベンチャーを立ち上げたのか? その一番のきっかけはインターネットとの出会いだったという。

「インターネットに触れて後頭部をガーンと殴られるようなショックを受けて、世界や生活を変えたいと思った。だがもう楽天もヤフーも存在していたし、(スマホ)アプリでも、欲しいと思ったアプリは探せば見つかるような状況。でもハードウェアだとそうでもなかった。僕はネット連動の傘立てとかがあれば便利じゃないかとずっと言ってきた。雨の予報があれば青く光るとか。そんなものはまだ世の中にない。画面で完結しないことのほうがインターネットには多い」(岩佐氏)

「モノを作った人」こそが語るべき

モノ作りのハードルが下がったとはいえ、デバイスの種類によってはその難易度は異なる。たとえばTelepathyのようなアイウェアであれば、Cerevoで受託開発を請け負っても5000万円以上の規模になるという(ただしここは井口氏と岩佐氏の間で見解が違っており、井口氏は「1億円でも難しい」と語る一方で、岩佐氏は最初井口氏に構想を聞いた時点で「8000万円でできる」と語ったと主張していた)。

だがMoffやFuelBandのような、Bluetoothや簡素な液晶の組み合わせであれば、数千万円前半でも製造が可能になってきている。岩佐氏は「実際にはやらないが、仮に『今からFuel Bandのコピー品を作って欲しい』と言われた場合、千何百万円の資金と半年の期間で作れるのではないか。その金額ならエンジェルインベスターからのファイナンスだけでも実現できる」とも語る(なお、セッション後に岩佐氏に確認したところ、前述の金額はあくまで開発費であり、在庫品を抱えるコストなどは別であると付け加えられた)。

ではモノを作ればそれだけでいいのか? 井口氏は「ハードウェアは製品開発だけではなく、製造流通、販売のディストリビューションという課題がある」と指摘する。岩佐氏も、「無給でもいいからアプリ作るというスタートアップと(ハードウェアの製造が)違うのは、金型でも何でも外に出て行くお金がある。そうなるとベンチャーキャピタルやエンジェルからのファイナンスはどうしても必要。身も蓋もないが、1にお金が必要だ」と語る。

岩佐氏は、投資家から資金を獲得する際に聞かれることは、「プロダクトを作れるのか」そして「そのプロダクトは売れるのか」の2つだけだと続ける。「後者に関しては、『分かってくれ』と説得するのは無理なので、ケースバイケースで実証するしかない」と語る岩佐氏。たとえばCerevoは、その売り上げの半数以上が海外なのだが、それは自分たちしか作れないものを作っているからだという。「みんなが『売れる』と思うものものはみんなが作る」(岩佐氏)

だからこそ重要になるのは、もう1つの課題である「作れるのか」をいかに解決するかだという。どこの工場の品質が高い、どこのメーカーのチップが安価か——部品や工場、資金繰りといった泥臭いことにどこまでこだわれるかが大事だという。岩佐氏は「結局はものを作って出せた人だけが話せる。ウェアラブルはバズっている。『未来だ』とも言われるが、ちゃんと商品にして出して、手に持って語るのが大事」と語った。

ノウハウを共有してグローバルで戦え

井口氏は「正直に言うが、ログバー(のRing)だってTelepathyだって、最初に『これをやるぞ』と言ったときは誰も作れなかった。そこで事業計画を書いて、製品計画を書いて、(VCに)持ち込むのはある意味気違いざたではないか」と岩佐氏に尋ねる。

岩佐氏は「自分たちも最初はそうだった」と振り返るが、プロダクトを出した今となっては、「そのノウハウを教えるので、みんな来て欲しい」と語る。井口氏によると、岩佐氏はTelepathyを創業する際に相談した人物の1人であり「貸し借りで言うとめちゃくちゃ借りてる関係」(井口氏)とのことだが、岩佐氏はその“借り”を自分に返すのではなく、「井口さんもプロダクトを出して、プレーヤーになって欲しい」と続けた。

井口氏は、先日米テキサス州オースティンで開催されたSouth by Southwest(SXSW)でも岩佐氏と「グローバルで日本人がどう戦うのか? という点では情報を融通していくべき」と語りあったと振り返る。そしてまた、工場やチップメーカーとの接点作りの難しさにも言及。ベンチャーと彼らがつながることで、より優れた製品が生まれるとした。

早く見たいのはTelepathyのプロダクト

このセッションで一番で印象深かったのは、岩佐氏が「結局はものを作って出せた人だけが話せる」と発言したくだりだった。チップや工場の価格にまで言及した際、井口氏はセッションの趣旨に沿って会話の軌道修正をすべく「カッティングエッジなカンファレンスで、売り掛けとか工場とか資金繰りといった泥臭い話が——」と発言したが、岩佐氏はそれを遮るかたちで「(泥臭い話が)大事です」と断言し、前述の「ものを作って出せた人だけが…」という話をはじめたのだった。

正直なところ、僕はTelepathyがプロトタイプの制作にあたっていくつかのトラブルを抱えている、と複数人の業界関係者から聞いていた。直近のSXSWでのデモも非常にクローズドな形で実施されたとのことだし、今回のセッションでもプロダクトが披露されることはなかった。実はTelepathyについては、ここ最近の開発状況も、井口氏の“泥臭い”努力、苦労も聞けずじまいでいる。

周囲からの話ばかりが聞こえてくる状況だからこそ、きっちりプロダクトを完成させてみんなの前に披露してくれるのを楽しみしている。ビジョンについて語るだけでなく、日本人が手がけたウェアラブルデバイスが本当に世界を席巻するさまを見たい。2013年11月に開催された「TechCrunch Tokyo 2013」で2014年内にプロダクトを発売すると語ってくれたTelepathyの今後を追いかけていきたいと思う。もちろんCerevoも、これから登場するハードウェアベンチャーも同様だ。

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