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テキスト付き3秒動画、Apple Watchに最適化したWatchMe Messengerが面白い

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新しいメディアが登場する初期というのは、それに適したコンテンツを模索する時期が続き、当面は古いコンテンツをそのまま新メディアに乗せるということが起こる。例えば、テレビが登場したばかりのころ、この新しいメディアで何を流すべきかは誰にも分からなかった。だからオペラや演劇など既存の舞台芸術を正面カメラで撮って流すだけだった。

Android Wareを1年くらい使っていて感じるのは、「とりあえずスマートウォッチに載せました」というアプリの多さだ。明日の出張先の天気や、今日取りに行くレンタカーの予約番号をいきなり腕時計で通知してくれるGoogle Nowのように、ただ載せただけで便利なものが多いのは事実だが、結局のところスマートウォッチというのは通知の確認のためだけにポケットに手を伸ばさなくて済むというぐらいの話だと感じている。しばらくのうちは、それも効果が大きいと思っていたが、かさばるスマートウォッチを腕に巻き続ける理由にならず(そもそもクパチーノやパロアルトの連中は長袖を着る地域のことを忘れてるから分厚いウォッチに平気なのではないか?)、結局ぼくはあまりスマートウォッチを使わなくなっていった。

こうしている今もニュース系アプリなんかが次々とApple Watchアプリのプレスリリースを送ってきているが、まあ最初だけ、ニュースを腕時計でなんて見ないですよ。と、ぼくは思う。

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「ウォッチ上でのコミュニケーション」をゼロから考えた新鮮なアプリ

もしスマートウォッチが「通知表示」以上の何かを提供できるのだとしたら、それは何だろうか? それは、きっと従来からあるアプリを小さな画面に押し込みましたというようなものではないはずだ。ここでその可能性や方向性を分類しようとか予測しようとは思わないのだけど、東京を拠点にするスタートアップ企業のPocket Supernovaが開発した「WatchMe Messenger」のデモを見ていて、これはウォッチのために考えられた斬新なコミュニケーションツールかもれないな、と思った。

WatchMe Messengerを開発したPocket Supernova共同創業者のオスカー・ノリエガは、「Apple Watch向けに最適化した世界初のメッセージング・アプリ」だという。実はApple Watchの発表時にもWatchMe Messengerのアイコンが入っていた。アップル社とも緊密に開発を進めてきたようだ。

WatchMe Messengerは3秒動画に任意のテキストを載せて送信できる動画コミュニケーションのプラットフォームだ。応答のために6つのアイコンが用意されている。例えば「ビール飲もうぜ」と乾杯姿で動画を撮ってデコレーションをして送り、それに笑顔で「いいね!」と応える。送信側はiPhoneだが、受信側はウォッチをチラッと見て、それに反応するだけで、内容の理解が3秒で終わり、応答も数秒でできる。ぼくはまだデモを見ただけど、これはメールやメッセのテキストの先頭何文字かを表示するだけの通知とは意味がぜんぜん違うのではないかと思う。

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今後は応答メッセージとしてカスタムで自分で用意した3秒の動画を使えるようにする予定という。動画に載せるテキストはSiriで使われているのと同じ音声認識APIを使って入力することもできる。さらに、Pocket Supernovaが提携しているGIFアニメをマッチングするサービス「GIPHY」を使って、例えば「雨が降ってる」というメッセージに合わせて適当なGIFアニメを表示するということも今後やっていくのだそう。英語、中国語、日本語をサポートし、例えば日本語の「ヤバイww」というメッセージに対して、ピッタリのGIFアニメを付けてくれるようになるという。これらはiPhone側では実装済みで、Watchからの返信でも今後対応していくという。

watchme03動画なら3秒で伝わることはたくさんあるだろう。オスカーが例に挙げるのは、「例えば街を歩いていて、ウィンドウショッピングで靴を見たときに、黒がいいか赤かがいいかを妻に聞くようなケース」だ。「難しい会話じゃないので、文脈が自明。すぐに分かる」という。

Apple Watchにはカメラはおろか、動画再生やオーディオ再生機能すら搭載されていない。そこでどうしたかというと、唯一サポートされているPNGアニメーションを使い、テキストをオーバーレイさせたそうだ。撮影した動画をダウンサンプリングして、5fpsのパラパラアニメに変換した。受信側はバイブレーションが来て、腕を持ち上げると、ボタンが表示されるので、それを押して再生するという手順になる。

ユーザーの1回あたりの接触時間でみると、PCは「時間」、スマホは「分」、ウォッチは「秒」になるとオスカーは指摘する。コンテンツやメッセージの生成側がウォッチ(秒)を前提としない限り、ウォッチに適したものが生まれないのだとしたら、WatchMe Messengerはとても面白い試みだと思う。

別サービスのVideo Selfieも順調にスタート

WatchMe Messengerを開発したPocket Supernovaは、かつて「Unda」というiPhone向けの動画メッセージングアプリを開発していた。2012年にスタートして、2014年7月にはUndaのサービスをクローズ。Undaは立ち上げに失敗したが、そこで学んだことをいかして「Video Selfie」というサービスを提供している。

Video Selfieは1クリックでデコレーションができる動画自分撮りソーシャルアプリで、2014年11月のリリース以来、若い女性を中心に北米で50万DL、7万5000のMAU、1万5000のWAUとなっているというから、トラクションが出始めているようだ。Video Selfie自体でもパブリックなタイムラインがあって、若いユーザーは歌ってみた的なセルフィーをシェアしているそうだ。GIFアニメを使ったデコレーションがポイントの1つで、いちばん人気はInstagramにシェアすること。動画を含むランディングページが生成されるので、LINEでもリンクをシェアすることもできるという。Vineとの違いは、気負わずに投稿できることで、大多数が「見るだけ」になっている多くの動画プラットフォームと違って、本当に何でもない動画がどんどんシェアされているのだという。

Undaは立ち上がらず失敗だったとして終了したが、Pocket Supernovaはデコレーション付きセルフィー動画、そしてWatchMe Messengerと継続してモバイルと動画に取り組んできたことになる。現在Pocket Supernovaのチームには、4人の日本人と、オスカーを始めとしてメキシコ出身のデザイナーとエンジニアが計3人いる。

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