QiitaがMarkdownメモツール「Kobito」のWindows版をElectronベースでリリース

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プログラマのための技術情報共有サービス「Qiita」(キータ)を提供するIncrementsが今日、Markdown形式のメモツール「Kobito for Windows」をリリースした。Microsoftが4月29日にリリースしたばかりのコードエディタ「Visual Studio Code」と同じく、これは「Electron」(旧Atom Shell)と呼ばれるオープンソースのデスクトップアプリ開発プラットフォームを使って実装されたものだ。

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Kobitoを使うと、簡単に技術メモを開発チーム内でシェアできるが、「ここ1、2年でQiitaへのアクセスの半分くらいがWindowsになっている」と増えていることから、今回Windows版の提供に至ったという。これまでにもIncrementsはKobito for MacとしてネイティブアプリでMarkdownツールを提供してきたが、今後はこのMac版もElectronベースへ移行する。ElectronはChromiumとNode.jsを使ったクロスプラットフォームのデスクトップアプリ開発プラットフォームとしてにわかに注目を集めている。

Kobitoで書いたメモは自分用のメモとしてローカルに保存できるほか、Qiitaと同期することでコンテンツの公開やQiita:Teamを使ったチーム内での情報共有に利用できる。

Markdownというのは色や文字サイズといった装飾を施さない、いわゆるプレーンテキストを用いて、HTMLで表現するような箇条書きや見出し、リンクを手軽に入力できる文書フォーマットだ。HTMLほどの表現力はないが、例えば箇条書きなら行頭に「-」、見出しならレベルに応じて「#」を複数付けるだけで実現できたりする。人間が見て直接編集する気になるシンプルさから主にプログラマに広く利用されている。Kobitoを使うと、Markdownで書くそばからリアルタイムでHTMLに変換された結果をプレビューしながらメモを取ることができる。Markdownがエンジニアに受けていて、多くのエンジニア向けサイトで採用される背景には、ソースコードのハイライト表示ができるということもある。

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Qiitaは2011年9月にStack Overflowのようなエンジニア向けの質問・回答コミュニティとしてスタートしたが、回答が思うように付かないことから、エンジニアが学んだこと記録したり作業したメモ、ハックのアイデアを残す情報共有のサイトにピボット。現在登録ユーザー数は7万5000、170万UU、月間5000コンテンツがアップロードされるコミュニティに成長している。Qiita自体がMarkdown形式でコンテンツ投稿を受け付けているため、デスクトップアプリのKobitoを提供することには、「Markdownで人々にコンテンツを書いてほしい」(Increments共同創業者で代表取締役の海野弘成氏)ということがある。毎月アップされる約5000のコンテンツのうち20%にあたる1000コンテンツあまりがKobitoからの投稿だそう。ちなみに、これまでKobito for Macのダウンロード数は約3万。

Qiitaは一種のブログコミュニティのようになっている。海野氏は、「Qiitaは、(情報をアウトプットして)ちゃんとフィードバックが来る場所。見ている人がいて、コメントが付く。コメントのやり取りも含めてプログラマとしてのアウトプットとして見られるので、突拍子もないこととか、技術的に明らかに間違ったは書く人が少ない。感情的になると、そういう人と見れるから、論理的なディスカッションになっている。ブログでは提供できない価値がある」と話す。

一方で、Qiitaでは社内の情報共有を支援する目的で有料サービスとして「Qiita:Team」を提供している。Qiita:TeamはKaizen Platformやスマートニュースなどのスタートアップ企業で導入されていて、日報の共有などでも利用されることがあるそうだ。

MarkdownもQiitaもプログラマのものという印象があるが、海野氏は、もうすこし広い層に広めていくことも考えているようだ。Qiita:Teamの導入企業によっては入社時にMarkdownの使い方の研修をしてデザイナーや営業職が使うということもあるという。「Qiitaのビジョンはソフトウェア開発を良くすることだが、プログラマのコミュニケーションだけでなく、その周囲の人も含めたコミュニケーションを良くしたい。さらに、自動化という発想を手に入れるとどれぐらい仕事が効率化されるかということを非プログラマにも知って広げていきたい」。

Qiitaのマネタイズに関して海野氏は、「Qiita:Teamも良いキャッシュポイントになっているものの、まだQiitaの資産を生かせていない。マネタイズの方法ははいろいろありそう、という感覚はある」と話している。Qiita:Teamの導入数は「数百チーム、利用者だと数千ユーザー」というレベルだそうだ。

ところで、エンジニア向けサービスとして日本国内にとどまっているとパイが小さいままだ。海野氏も「多めに見積もっても国内のプログラマ数は100万とか200万のオーダー。これが世界で見ると、プログラマが2000万人、今後5年とかで2500万人になると言われている。国内だけだと10分の1しかない」と、今後の海外展開は必要と感じているという。Qiitaを導入しているKaizenやSmartNewsでは海外チームも含めて使っているそうで、「切り口によってはスムーズに海外に持って行けるのかなと思っている。日本人にしか使えないツールということはない」ともいう。こういうとき、よく日本で流行してから出て行くのだと遅いと言われるが、今のところQiitaに似たサービスは海外になく、ConfluenceやGoogle Driveを情報共有に使われることが多いと見ているという。