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東大発ベンチャー「popIn」をバイドゥが十数億円で買収、中国から世界展開へ

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東大発ベンチャーの「popIn」をバイドゥ(百度)が買収した。バイドゥが2015年5月に全株式を取得し、経営を統合。法人としてのpopInは独立して事業を継続。今後popInでは国内事業はそのまま継続し、世界市場へはアジアを中心にバイドゥとともに世界展開していくという。株式の取得額は非公開だが、今回のディールに近い関係者へのTechCrunch Japanの取材では買収額は10億円から20億円の間ではないかという情報を得ている。popInは社員数12人。売上規模は非公開だが、過去1年で400%の伸びを示しているそう。東京大学エッジキャピタル(UTEC)が最大株主で、これまでにGMOベンチャーパートナーズFreakOutらが投資している。

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両社は本日6月8日に東京大学本郷キャンパス内の産学連携プラザで会見を開いた。

企業買収や経営統合の記者会見といったものが大学施設内で開かれることは多くないが、これはpopInが東京大学TLOから知財を、またUTECから投資を受けて同大学施設内に拠点を置いて活動してきたことから考えれば自然なこととも言える。popIn創業者の程涛氏は1982年中国生まれ。東京工業大学卒業後に、東京大学情報理工学研究科の修士課程での発明をビジネス化するため2008年7月にpopInを創業。留学生として起業し、M&Aによる売却にまでこぎ着けた。会見で挨拶した程氏は、「(留学生として来日したときには)友だちも家族もお金もなかった。日本で成功できたのは産学連携のおかげ。身近な事例として見てほしい。もっと多くチャレンジャーが出てくることを期待している」と話した。ちなみに同じ東京大学の産学連携の枠組みからは2014年に東証一部に市場替えしたバイオベンチャーのユーグレナも出ている。

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popInはこれまで、メディアのWebサイトにレコメンデーション・ウィジェットを提供する事業を展開してきた。TechCrunch Japanも一時期popInを利用していたが、記事下に表示される「おすすめ記事」に出す記事のセレクトや、UIの最適化を行うといったことだ。読者が読んだ記事と関連性が高い記事を出すほどメディアは回遊率が高まるし、ネイティブ広告のクリック率も良くなることが期待できる(ちなみにTechCrunchは英語版、日本語版ともに記事広告は1度もやったことがない。やる予定もない)。popInはネイティブアド配信事業を2014年2月にスタートしていて、ここが中国で広告プラットフォーム事業を展開するバイドゥが注目した理由となった。

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記事レコメンド市場にはOutbrainTaboolaといった競合がいて、急速なネイティブ広告市場の立ち上がりから注目されている。こうした競合とpopInのプロダクトとしての最大の違いは読了計測技術「READ」にあると程氏は言う。READはpopInが独自開発した技術で、単にページを開いたかどうかだけでなく、最後までじっくりコンテンツを読んだかどうかという指標だ。釣りタイトルや、中身が伴わない読み流されるコンテンツではREADは低くなる。READは大手ニュースサイトなど200サイト以上で採用されているそうだ。

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「レコメンドエンジンの本質は、いかに読者に満足してもらうか。満足という主観的なものなので客観的には取れないが、研究して辿り着いた結果がREADだ。ブラウザ上で表示するコンテンツに対して読むのにかかる所要時間を事前に計算する。そしてリアルタイムにコンテンツの部分部分で滞留時間を計測している。通常の広告の指標にはクリック率やコンバージョン率が使われる。しかしネイティブ広告にはコンテンツの主観指標が必要だ。すぐにコンバージョンするとは限らないからだ」(程氏)。逆に競合分析として「TaboolaはUI研究をあまりやっていないように見える。Taboola本社に訪れたときに感じたのはPCと動画解析に力を入れていること」と話した。

会見で買収の背景を説明したバイドゥ日本法人代表のチャールズ・ジャン氏が引用した米BIA/Kalsey社の調査によれば、2014年に54億ドルだったネイティブ広告の市場規模は、2015年には79億ドルになり、2019年には184億ドルになるという。バイドゥは2000年創業の検索を中心とする中国のネットサービス企業だが、中国最大の広告プラットフォームも持っている。中国の広告市場で「READ」を展開すること精度を上げていくのが直近の狙いで、今後はブラジルやエジプト、タイ、インドネシアなど、すでに同社が拠点展開している都市を中心に世界展開も視野にいれるという。

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国内ネット系企業も含めて、数社と買収について話を進めていたpopInだが、去年末から話をしていたバイドゥに決めた背景として程氏は、「大企業に入ったらスピード感が落ちるという不安」から、独立してやりたいというニーズを話して受け入れられたこと、世界展開のパートナーとなれること、人工知能やッビッグデータに投資を続けているバイドゥの技術支援が期待できることなどを挙げた。2014年5月に百度研究院を設立し、「深度学習研究所」に米国スタンフォード大学のスター的な人工知能研究者アンドリュー・ン(Andrew Ng)を主席科学者として招聘したことは日本でも話題になった。

バイドゥは日本からの中国展開を支援

バイドゥは米国留学から中国に戻ったロビン・リーが2000年に創業して7人でスタートした検索サイト。現在は、Baidu Web/Wiki/News/Map/Navi/Analytics/DataCenter/Knows/Funsなど総合サービスとして成長していて、2007年12月には中国企業として初めて米ナスダックに上場。グループの社員数は4万人で、「そのほとんどは技術者」(ジャン氏)という。2015年第1四半期の売上高は2276億円、営業利益は388億円。時価総額は約8兆円で、KPCBが発表した「Internet Trends 2015」のネット企業ランキングでも8位にランクインしている。中国ユーザーの70%にリーチしていてトラフィックは60億PV/日。

日本のバイドゥといえば、2006年に設立されたものの、今ひとつ影が薄い。Simejiの買収や、その後のプライバシー絡みでの炎上で記憶しているという読者も多いのではないだろうか。2015年4月にバイドゥは検索サービスを日本では終了しいてる。

六本木ヒルズに拠点を置くバイドゥ・ジャパンは社員数30人で、実はSimejiのような国内事業のほかに、日本企業の中国進出サポートビジネスを手がけているのだそう。具体的には広告出稿サポートや、インバウンドビジネス、版権ビジネスといったことで、楽天、無印良品、ANA、花王、住友不動産、日テレ、楽天トラベル、バンダイナムコ、明治製菓といった企業を支援した実績があるという。ジャン氏は、こうしたビジネスの中国進出に加え、今後は日本生まれの優れた技術の中国経由での世界展開もしていきたいと話した。