ザッカーバーグ、公開Q&Aで人工知能利用の成果、幸福、科学、コミュニケーションの未来について語る

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Facebookの人工知能ラボが開発した人口知能はユーザーが共有する記事の内容を正しく判断し、その記事に興味を持ちそうな他のユーザーを探すのに役立っているのだという。昨日(米国時間6/30)行われた、Facebookページ上の公開Q&A セッションでCEOのマーク・ザッカーバーグはFacebookがAIに巨額の資金を投じている理由を詳しく説明した。また幸福、科学、Facebookの将来などさまざまな質問に対して考えを述べた。

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2013年にFacebookはニューヨーク大学からディープ・ラーニングのトップクラスの研究者であるYann LeCun教授をスカウトし、ニューヨークに新設した人工知能ラボの責任者に据えた。その後Facebookはメンローパークの本社キャンパスに、また最近はパリにも人工知能ラボを開設している。

しかしこれまでFacebookはこうした人工知能研究が具体的にどう利用されているかについては「ニュースフィードの質を改善するため」という以上に詳しく語ってこなかった。F8カンファレンスで認知テクノロジーのバックエンドでの利用こ触れられたことがあるが、全体として秘密主義が強かった。

しかし今回のQ&Aではもう少し踏み込んだ説明がなされた。「FacebookのAI利用についてもっと知りたい」という質問に対してザッカーバーグは次のように答えた

AI研究の重点はユーザーが共有するコンテンツの意味分析だ。

たとえば、ユーザーが友達が写っている写真を撮ったて投稿する場合、その写真が友達の目に触れるようにしたいだろう。ユーザーが犬とか政治とかの話題について投稿したら、それぞれ犬や政治が好きなユーザーの興味を引く可能性が高いだろう。

投稿をそれぞれ適切なユーザーに対して表示するAIシステムを構築するのがわれわれの目標だ。このシステムは写真や音声などを対象に、視覚や聴覚など五感を通じた認識でも人間以上に正確な判断ができなければならない。

たとえば視覚の場合、われわれは写真やビデオに写っている内容をすべて認識できるシステムを開発中だ。人間が写っていればそれが誰であるか、また風景やさまざまな対象物についても認識できるシステムだ。こうした人工知能は単に写っている内容を判断するだけでなく、それがどのようなコンテキストで撮影されたのかも推測できなければならない。

聴覚と言語の分野では、発言を文字に書き起こし、言語から別の言語に翻訳するシステムの開発に力を入れている。またさまざまな自然言語による質問を正しく認識して答えられるシステムも開発している。

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ザッカーバーグの発言はFacebookの言語テクノロジー・グループの秘密のベールを少しだけ上げることになった。Facebookはこの部門の拡充を密かに続けており、今年に入ってY Combinator出身のスタートアップで、アプリに音声認識インターフェイスを追加するためのAPIを提供するWit.AIを買収している。またFacebookはユーザーが録音したボイス・メッセージをテキストに変換して相手に伝える機能のテストを始めている

音声のテキストへの変換と自動翻訳のテクノロジーは「世界中の人々をつなげる」という Facebookの壮大な使命を実現する上で重要なステップになる。言語の壁が低くなれば世界のあらゆる場所のさまざまな文化的背景を持つ人々の交流をさらに促すことになるだろう。

その他のQ&A

今回ザッカーバーグはさまざまな質問に答えているが、そのうちのいくつかを紹介する。強調は私が付けたものだ。

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幸福

あなたにとって幸福とは何か?という質問にはこう答えた。

私にとって幸福とは人々の役に立つような意味のある仕事ができたときだ。なぜなら私が愛する人々は私にとってかけがえのない重要な存在だからだ。…毎日幸福でいるのは不可能だろう。しかし人々を助ける意味のある仕事を毎日していくことは可能だろう。

科学

「どんな科学上の問題に一番興味があるか? またその理由は?」というスティーブン・ホーキング博士からの質問にはこう答えた。

私は人間自身に関連する問題に興味がある。われわれは不老長寿を達成できるだろうか? すべての病気は治療可能だろうか? 頭脳の働く仕組みは? 脳内で学習はどう行われているのだろう? 学習の効率を今の100万倍に高めることは可能だろうか?

私はまた 人間の社会的行動の原理となり、人間の振る舞いを律する根本的な数学的法則が存在するかどうかにも強い興味がある。私はそういう法則が存在すると信じている。

健康

ターミネーターにして元カリフォルニア州知事、アーノルド・シュワルツェネッガーはこう質問した。「ローマ法王やアメリカ大統領だってエクササイズの時間を見つけているのだから忙しくてエクササイズができないなどという言い訳は通らない。マーク、きみはビジネス・パーソンや若者に対してローマ法王よりずっと影響力がありそうだ。どんなエクササイズをしているか教えてもらないか? あとロボットは最後に勝利しそうかね?」

なにをするにも身体のエネルギーが必要だ。しっかり体力をつけていればそれだけ多くのエネルギーが使える。.

私は少なくとも週に3回はエクササイズをしている。だいたいは朝起きてすぐだ。時間があればウチの犬と一緒に走る。ウチの犬が走るのはモップが走っているみたいなので楽しい。

あと、ノー、ロボットは勝利しません 🙂

Facebookの将来

Facebookは次に何をするのか?という質問にザッカーバーグはこう答えた。

人類のコミュニケーションにはいくつかの重要な側面で改善に向かっていると考えたい。

第一に、Facebookの情報共有能力は日増しに深く、広くなっている。当初われわれはテキストしか共有できなかった。しかし今や共有の主力は写真だ。将来はビデオの重要性が写真より大きくなるだろう。 その後は、バーチャルリアリティーのような没入的コミュニケーションが普及するだろう。 最終的にはあらゆる場所にいる人々が五感すべてを共有できるようになるはずだ。

第二に、コミュニケーションの頻度が大幅にアップしていいる。昔、わわれのコミュニケーションは対面が主役だった。その後コミュニケーションのツールとしてコンピュータが登場した。当初はデスクトップに置かれるかさばった機械だったが、やがてどこへでも持って歩けるようになった。今やわれわれのポケットには信じがたいほどのコンピューティング・パワーを秘めたデバイスが入ってる。それでもわれわれは間欠的にしかコミュニケーションしていない。将来は、 常時装着可能な拡張現実その他のデバイスの助けを借りて、一日の大半を連続的に他者とコミュニケーションして過ごすようになると考えている。

いつかやがて、われわれはテクノロジーを用いて思考や感情を直接相互にやりとりできるようになる日が来ると思う。私が何かを考えると、それが即座に友達に体験として伝わるわけだ。これがコミュニケーションの最終的な発展形態だろう。

コミュニケーションと共有のツールが改善されるにつれてわれわれの生活も改善されてきた。わらわれは他者と以前よりずっと豊かな関係を結べるようになった。われわれは世界で何が起きているかについて以前より詳しく正確に知っており、これは私生活でも仕事上でも、われわれのより適切な意思決定を助けている。われわれは正しい知識を持つことによって、集合的に社会として正しい決定ができるようになった。こうしたプロセスによって人々の共有の力が増していることが、今日の社会を動かす重要な力となっていると私は思う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+