他業界に奪われたシェアを取り戻す——クロスカンパニーがアパレルのレンタルサービス「メチャカリ」を提供する理由

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2016年のIPOも報じられるアパレルメーカー、クロスカンパニー。同社が今、「アパレル×テクノロジー」の領域を強化しているのをご存じだろうか。TechCrunchで4月に報じたとおり、ネットを利用した宅配クリーニングサービスを提供するスタートアップ「BASKET」を買収。現在は同社の代表取締役社長である松村映子氏を中心に、社内に70人規模のエンジニアチームを組織する準備をしているという。

そんなクロスカンパニーが9月16日、自社のアパレル商品をレンタルするサービス「メチャカリ」を開始した。

mecha

メチャカリはスマートフォンアプリを使ったファッションレンタルサービス。月額利用料は5800円。アプリ上に掲載されるファッションアイテムを最大3点までのアイテムをレンタル可能。アプリ上で申請して返却(送付時に返却用の袋や送付状が付属する)すれば、返却した点数だけ再びレンタル可能になる仕組みだ。当初は同社の女性向けアパレルブランド「earth music&ecology」の商品のうち、靴やアクセサリーを除く1000パターン以上の商品を取り扱う。

60日間レンタルしたアイテムは返却せず、自分のものにできるのが大きな特徴だ。60日経過したタイミングでレンタル中のアイテムとして表示されなくなり、そのアイテム以外で最大3点のレンタルが可能になる。なお返却時には500円の手数料がかかる。ちなみにレンタルで届く商品はすべて新品なのだそう(理由については後述)。

同社はこのサービスに3年で8億円の投資を行う予定。もちろん収益化は検討しているが、クロスカンパニー ウェブマーケティング部課長の澤田昌紀氏によると、それ以外の意図があるのだそう。

背景にあるのは「若者のファッション離れ」

また「若者の○○離れ」の話か……と思う読者もいるかも知れないが、実際、若い世代のファッションへの支出は年々減少しており、「若者のファッション離れ」は進んでいるという。総務省の調査データによると、若年層女性がファッションアイテムにかける1カ月の金額は2008年で1万7287円だったが、2014年では1万718円になっている。もちろん経済動向など、金額だけで判断できない話ではあるが、7年で約4割も減少しているのは事実だ。

「業界では、アパレルがシュリンクしているというのは周知の事実。(自社の商品も)10〜20代に人気というイメージだが、実際の売上を見ると20代後半がボリュームゾーンで、若年層がファッションから離れている状況。どうやったらティーンにもっと興味を持ってもらえるかが課題だった」(澤田氏)。つまりこのサービスには若年層へのマーケティング的な意味合いもあるのだという。

TechCrunchで紹介しているサービスで言えば、スタートアップのエアークローゼット(旧社名:ノイエジーク)が「airCloset」を展開して人気を博しているようだ。だがアパレルメーカーが自らレンタルサービスを提供するのは同社いわく「初の試み」だという。「例えばUBERなどは(タクシー業界の)事業主体ではない(ネット業界の)人たちがサービスを開発して、世の中のライフスタイルを変えていた。クロスカンパニーは自らがライフスタイルを変えていきたい。極端な言い方になるが、他の業界に奪われたシェアを取り戻したい」(澤田氏)

マーケティング視点でのサービスとはいえ、もちろんサービス単体でのマネタイズも視野に入れる。ユーザー数30万人で黒字化できるとのことで、3年の投資フェーズではまずその数字の達成を目指す。

メーカーがレンタルサービスを提供する強み

澤田氏はアパレルメーカーがレンタルサービスを提供する強みとして、「自社ECとの連携」があると語る。

メチャカリのシステムは自社のECと連携しており、販売在庫をそのままレンタルに回すのだという。そのためレンタルするアイテムはすべて新品だし、在庫も豊富だ。また返却した商品は検品の上でアウトレット商品としてECサイトで販売するという。

これは何を意味するのか? メチャカリは、ユーザーにとっては「レンタルサービス」ではあるが、同社にとっては、返却フローを除けばECの在庫・物流をそのまま転用できるサービスということだ。

また既存のレンタルサービスであれば、商品を貸しだして、返却後に検品し、次に貸し出すという「1点1点の管理」が必要だが、同社では返品後にアウトレットに回すため、その管理の必要がない。要はレンタルサービスのガワをかぶったサブスクリプション型ECなのだ。

ではこんなサービスを提供して本業のECに影響が出ないのだろうか? 実際テストでサービスを提供したところ、もともと購入頻度の高いユーザーについては月額の平均購入額が上がり、購入頻度が一般的なユーザーについては購入額に変化はなかったということで、「服の好きなユーザーは、服を借りることで、一層購入する」という行動が見えているのだという。

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