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元ピムコジャパン社長の高野真氏がGenuine Startups共同代表に——大企業との“橋渡し”を強化

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失敗への恐怖がスタートアップの失敗を招く

シードアクセラレーターのMOVIDA JAPANからスタートアップ投資の機能をスピンアウトして生まれたGenuine Startups。現在2号ファンドの組成中であるこのベンチャーキャピタルに元ピムコジャパン取締役社長で、アトミックスメディア代表取締役CEO、フォーブスジャパン発行人兼編集長の高野真氏が共同代表参画した。同氏はすでにGenuine Startupsの株式の4割を取得しているという。

MOVIDA JAPANは創業期のスタートアップに対して、育成プログラムと数百万円規模のシード投資を行っていた。これはMOVIDAの代表であった孫泰蔵氏やMOVIDAから独立したGenuine Startups代表の伊藤健吾氏が、シリコンバレーのようにスタートアップが数多く生まれ、そのほとんどが死に、残った中から優れたプロダクトが生まれるという「多産多死」モデルの構築を提唱するところからスタートした。

伊藤氏はMOVIDAから始まった投資活動や、周辺環境の変化によって「起業への世の中の見方は心理的なハードルは下がったのではないか」と振り返る。そして次の課題は「成功件数を増やすこと」だと語る。実際にMOVIDA、Genuineからは多くのスタートアップが生まれ、次のシリーズでの資金調達を成功するケースもある一方、まだIPOなど大きなイグジットが発表されていない状況で次の課題解決を掲げるのに違和感がないわけではないが、実際起業に対するハードルは心理的な側面だけでなく、資金、インフラなどさまざまな面で下がったのではないだろうか。

そうは言ってもスマートフォンアプリを作れば当たるという時代ではない。伊藤氏は「アプリのゴールドラッシュは終わった。インフラは早くなり、端末は優秀になった。クラウドで大量のデータも活用できるようになった。今後は既存のインダストリのプレーヤーと組んでいくことがトレンドになるし、買収にも繋がっていく。2号ファンドではその領域で投資をやっていきたい」と説明する。2号ファンドでは、食・農業、環境・エネルギー、金融、物流、教育、エンタープライズといった領域に投資していくのだという。

そこで課題となるのが既存のプレーヤーとの“橋渡し”だ。「大企業とスタートアップの連携」なんて言葉はこの数年いろんなところで聞いたし、大企業がスタートアップのサービスを導入するといった「お付き合い」程度の話はあっても、協業や買収といった規模感での連携はそうそう生まれてこない。そこで、もともと大企業や政界との親交が深く、個人でもスタートアップへの投資(Origamiやエニタイムズなどが同氏からの調達を発表している)を行う高野氏を共同代表に迎えたという。

「エスタブリッシュ層とのつながりを考えるとベテランの人と組みたいと考えていた。6月末に高野さんと出会い、8月末には共同代表になってもらった」(伊藤氏)。「政策的にもベンチャーは重要。Forbesでもそれを後押ししたいと思っていた。(孫)泰蔵さんとも、ベンチャーだけではなく大企業を巻き込んでいかないといけないと話していた。伊藤君は専門性やコネクションを持っており、僕は(エスタブリッシュ層)のバックボーンを持っている。サイロ型ではなく、広がりのあるビジネスを作っていく」(高野氏)

では具体的にはどういったことをやっていくのか? 2号ファンドでは今後、シード期のスタートアップに対して2000万〜3000万円程度の出資を行うほか、大企業が課題などを公開し、それに対して最適だというスタートアップが手を挙げるというようなビジネスマッチングも検討中だという。2号ファンドでは20億円規模のファンドを組成を目指す。

ところでForbesという雑誌の代表を務める高野氏が投資に携わることで、自らの手がけるメディアの内容にバイアスがかかったりしないのだろうか? これに対して高野氏は「(Forbesでは)提灯記事はいくらお金をくれてもやらない。なぜそんなことができるか? それは編集長がCEOだから。ビジネスのためにオーナーの顔を見る必要はない」と回答している。