投資自体チャレンジですねん―、関西の朝日放送CVCがakippaなどへ投資開始

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abcdream今年7月、関西の有力テレビ局である朝日放送(ABC)が12億円規模のファンドを立ち上げてCVCをスタートさせたことはTechCrunch Japanでも報じたが、その「ABCドリームベンチャーズ」が投資第1号案件と第2号案件を立て続けに発表した。

まず11月30日に、関西ゆかりのスタートアップとして、駐車場の空きや個人所有の空きスペースを駐車スペースとして1日や時間単位で活用できるサービスを提供する「akippa」への投資を発表。続いて今日12月7日には、テレビCMの効果測定ツールを開発する米ResultsOnAirへの第2号案件の投資を発表した。投資額はいずれも非公開だが、ABCドリームベンチャーズでは1000万円から最大で1億円で投資していくとしていることから数千万円前半のレンジということのようだ。

akippaは関西からスタートしているが、現在は首都圏も含めて全国に3800拠点の駐車場を提供している。朝日放送とのシナジーという意味では「イベント時の駐車場問題を解決する」というものがあるという。朝日放送の梅田実氏(ビジネス戦略局ビジネス戦略部、ABCドリームベンチャーズ担当)によれば、朝日放送はキョードー大阪と組んでロックフェスのサマーソニックや、美術展などイベントを共催することが多く、こうしたイベント時の駐車場問題でakippaと組む相乗効果が見込めるという。実験的取り組みであるものの、先月京都市内で行われた展覧会では数千人の来場者に対してオンライン予約や現場誘導で、akippaを通じて駐車スペースを提供したという。

朝日放送は「大改造!!劇的ビフォーアフター」や「M-1グランプリ」など全国区の番組も制作していることから、今後はテレビやラジオ番組を通してakippaや投資先スタートアップの知名度向上などしていく考え。

正直苦しんでいるが、挑戦していかないと

ABCドリームベンチャーズが第1号投資案件としてakippaに投資した背景は分かりやすい。イベントの告知は放送局の得意とするところだし、運転中に聞いている人も多いラジオ番組で駐車場案内を流すのも合理的。akippaが関西発スタートアップということもある。でも、これに続く投資案件はあるのか、どう探すのかという疑問がわく。第2号投資案件で、いきなりシリコンバレーへ飛んだのも「地元応援型」というスタンスの先行きに不安を感じさせる。

このTechCrunch Japanの質問に対して梅田氏は、「正直苦しんでいます」と答えた。「投資をやれる目利きができるかというのもあるし、人のつながりもなかなかない。広げつつはあるものの苦しい感じです」。これは、かなり正直な感想だと思う。

大阪では阪急電鉄が梅田駅直結のビルで運営するイノベーションハブにベンチャーが集まっているなど活性化の動きがあるものの、「関西でスタートアップのイベントに参加しても、登場するスタートアップはいつも同じようなところ」(梅田氏)という事情があるからだ。ABCドリームベンチャーズとして活動を始めてから3カ月程度で「良いなと思うベンチャーさんも、もう一回りした感じ。あるベンチャーなんかは、もう2、3回同じプレゼンを聞いている感じ」と投資対象となるスタートアップ企業の少なさについて話す。スタートアップをやろうという人は、関西を離れて東京を目指すことが多いのだそうだ。

一方で、関西では大阪大学や京都大学など、研究系のシーズを持っていて事業化できていないという現状もあり、そういう声をABCドリームベンチャーズとしても聞いているそう。国立大学の出資規制が緩和され、国立大学がVC設立やスタートアップへの直接出資へ動くケースも出てきている。この辺りの動きとの連携も視野に入れて「いろんなことに挑戦していかないといけないと感じています」(梅田氏)という。シリコンバレーに行って、いきなりシード投資をしたのも地方放送局としてはチャレンジだった。ResultsOnAirへの投資は500 Startupsのデモデイを通して見つけた案件だそうだが、「(自分たちは)ベンチャーに騙されるんちゃうかと、いつもみんなで言ってます。シリコンバレーなんかは怖いですねw」と関西人らしく冗談めかして語る。ResultsOnAirへの投資は共同投資ではなくシード期の単独投資だそうで、契約書ひとつとっても未経験で蓄積がなかったために「こんなに大変かっていうくらい大変でした」という。ただ、そのおかげもあって知見は蓄積しつつあるそう。

今後ABCドリームベンチャーズが投資によって十分な事業シナジーを出していけるのかどうか、まともなリターンを出せるのか、というのは未知数だ。ただ、とりあえずやってみようじゃないかということ自体にはアントレプレナーシップを感じるところだ。