シェアリングエコノミーの市場規模は次の10年で3350億ドルにー社会への影響と課題は?

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12月7日から9日にかけて開催された「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」の最終日、最近注目を集めるシェアリングエコノミーついてのセッションが行われた。一口にシェアリングサービスと言っても提供する体験もサービスが始まったきっかけも様々だ。今回のセッションでは日本でシェアリングサービスを展開する4社が登壇し、それぞれのサービスの特徴的な体験とシェアリングエコノミーの未来について議論を交わした。

セッションのモデレーターを務めるマカイラ代表取締役の藤井宏一郎氏は改めて「シェアリングエコノミー」の定義を紹介した。「シェアリングエコノミーとは、個人が持つ遊休資産やスキルの貸し借りを仲介するインターネットサービス」であり、代表的なサービスには個人が所有する物件に宿泊できるAirbnbやタクシーの配車サービスUberなどがある。最近では駐車場、カーシェア、物流、家事、物の貸し借り、ペットの宿泊、医療などの領域でもシェアリングエコノミーが増えていると藤井氏は話す。PwCによるとシェアリングエコノミーの2013年における経済規模は約150億ドルだが、2025年には3350億ドルほどに成長することが見込まれているという。

駐車場のシェアリングサービスを展開するakippaの代表取締役社長の金谷元気氏は、最初からシェアリングエコノミーを作ろうと思ってakippaを立ち上げたのではないと話す。イベントやコンサートに参加する時に駐車場が見つからないという社員の悩みを聞き、空いている駐車場の情報をインターネットにつないだのが始まりだったそうだ。akippaにはユーザー同士の評価やレビューはなく、予約する時も駐車場を借りるユーザーは駐車場のオーナーとコミュニケーションを取る必要はないという。ITリテラシーが高くなくても、簡単に予約から決済まで行えるのがakippaの特徴と金谷氏は話す。

一方、IVSのLaunchPadにも出場していたカーシェアリングのAnycaはシェアリングエコノミーにおけるコミュニティーの役割を重要視しているという。Anycaのマネージャーを務める大見周平氏は、Anycaでは1970年代のシトロエンの車やマツダの新型ロードスターなど車好きにはたまらない車でも数千円から借りることができると話す。また、同じ車好き同士のユーザーとオーナーがつながってコミュニケーションが生まれるようなこともあり、そのようなお金では買えない体験がAnycaの価値でもあるという。

会議室やイベント会場を貸し借りできるサービスであるスペースマーケット代表取締役の重松氏はサービスの立ち上げ前から、Y Combinatorや500 Startupsの投資先リストにAirbnbやUberを見つけ、シェアリングエコノミーに注目していたそうだ。スペースマーケットの立ち上げについて重松氏は、当時仕事で訪れた結婚式会場は土日祝日こそ忙しいが、平日の昼間などはあまり利用されていないことを知り、そのような空きスペースとイベントを開催したい人とをつなげるサービスを思いついたと話す。イベントやパーティーをカスタマイズしたいという法人や個人の要望に応えるため、遊園地、映画館、電車など多様な会場をスペースマーケットに掲載することに注力しているという。会場側も使っていない資産を有効活用して利益が上がるため、ユーザーにも会場にも有益であるという。

Uber Japan執行役員社長の髙橋正巳氏は、ファウンダーの実体験からUberが誕生したと話す。ファウンダーは街なかでタクシーをなかなかつかまえることができず、ポケットにいつも入れているスマホで簡単にタクシーを呼び出せたらと考えたのがサービスの始まりだったという。最初は100名程度が利用していた限定サービスだったが、スマホでボタンをタップするだけでタクシーが来るという「クールな体験」がバイラルに広がり、瞬く間にサービスが拡大していったそうだ。

シェアリングエコノミーは社会にどのような影響があるのだろうか?という藤井氏の問いかけに対しUberの高橋氏は、シェアリングエコノミーは人の働き方や移動方法を変えていると話す。Uberのドライバーは好きな時間だけ働くことができるため、7割のドライバーは副業で仕事をしているのだそう。中には子供を学校に送った後の数時間をドライバーとして働く主婦や学業の合間にドライバーをしている学生もいるという。Uberがドライバーにアンケートを取った結果、81%のドライバーがUberでの仕事に満足していて、97%が柔軟な働き方ができる点を支持しているという。また、Uberはタクシーを置き換えるだけのサービスではなく、人の移動手段が変わったと話す。他のシェアリングエコノミーの領域でも、単にサービスの置き換えではなく、全体のシステムを変えることになることを考えると、まだまだシェアリングエコノミーが拡大する可能性があると話す。

しかし、シェアリングエコノミーが日本で普及するためには法整備の問題もあると藤井氏は指摘する。Airbnbのような民泊サービスが普及するには旅館業法、タクシー業務では道路運送法を変えなければならない。高橋氏は、そのような法規制ができたのはネットもスマホもない何十年も前の話で、そこに新しいITサービスを杓子定規にあてはめるのは難しいと言う。その時代では確かに衛生的な問題や安全性の問題から旅館業法や道路運送法が必要だったかもしれないが、今ではスマホでドライバーの身元も分かったり、料金が明確で透明性が高かったり、それらの法ができた時代では考えられなかった安全性を担保することができる。安全だからこそ、多くのユーザーがUberを利用するようになったと高橋氏は言う。そして、法整備の問題は日本に限ったことではなく、アメリカ、ヨーロッパ、フィリピンなどでも活発に議論がなされているという。日本でも新しい技術をベースにしたルール作りが必要と主張した。

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