LittleThingsは心がなごむ記事に特化―ベンチャー融資ラウンド実行でさらに急成長へ

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2015年にもっとも話題になったテクノロジ記事を、あらためて回顧しよう、良き未来のために

もしかするとLittleThingsというサイトの名前は初耳かもしれない。しかしこのウェブニュースは急成長中だ。特長はポジティブな心のなごむ記事に特化している点だろう。

驚いたことに、NewsWhipのデータによると、2015年にFacebookで「もっとも高い人気」を集めた投稿はLittleThingsの記事だった。これは2年前にYouTubeアップされた音楽ビデオ、人気ロックバンド、HEARTのアン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンがステージでカバーしたステアウェイ・トゥ・ヘブン(天国への階段)についての 解説にすぎない。

しかしLittleThingsの記事は誰にも分かりやすく、巧みに注目を集めるような書き方がしてあった。 「44年前にこの曲を書いたロバート・プラント、アン・ウィルソンの熱唱を聞いて涙でいっぱいに」という具合だ。Facebookのユーザーベースの巨大さもあって、この記事は180万の「いいね!」を獲得した。

しかし180万の「いいね!」は幸運なまぐれ当たりではないようだ。comScoreの統計によると、ニューヨーク市に本拠を置くこのスタートアップは2015年10月に4950万のユニーク訪問者を集め、ライフスタイル部門の7位にランキングされている。数年前に生まれたばかりのニュースサイトにしてはまったく悪くない出来栄えだ。

LittleThingsはまた最近、City National Bankからベンチャー融資を受けたことを発表している。残念ながら公式発表には正確な金額が含まれてない(スタートアップの広報担当者は「詳細を発表する許可を受けていない」と語った)。しかしLittleThingsが導入した最初の外部資金としてこのラウンドは注目だろう。最近、2億ドルの資金を受け入れたBuzzFeedVoxなど、デジタル・メディアで大型資金調達が続いている。

LittleThingsの共同ファウンダー、Joe Speiserは私の取材に対して、「われわれは他のパブリッシャーとは〔資金調達に関して〕やや違うアプローチを取っている。他のメディアには調達した資金を湯水のように使うところも多いのだが」と述べた。前述のようにLittleThingsは過去2年間、外部の資金を一切受け入れて来なかった。
Speiserは融資(社債発行)によるラウンドを株式発行による通常のラウンドと比較して、「現在、条件が非常に魅力的だ。また〔意思決定に当たって、通常のラウンドのように〕ヒモつき状態でなく、株式の希薄化も経験せずにLittleThingsを運営できる」と付け加えた。

ただし、融資によるラウンドが実行できたのは同社がすでに黒字化を達成しているという点も大きかった。LittleThingsは2015年に推定で2500万ドルの売上があった。社員はすでに55人を数えているが、Speiserは「新たな資金でさらに記者とビデオ制作部門の人員を増強できる。セールチームの拡張も計画している」と述べた。

LittleThingsではサイト自身へのトラフィックを増やす努力と同様、Facebookへの動線の拡大にも力を入れている。上述の1位獲得はその成果の一つだろう。Speiserは「パブリッシャーにとって2015年はFacebookで大規模な収益化を実施するチャンスが得られる年になるはずだ」と語った。

LittleThingsにとって最大の課題は、現在の成長の勢いを主流メディアとしての地位を確立するものにできるかどうかだ。Speiserは「われわれは読者の本当のニーズを満足させている」と主張する。たとえば、最近のパリでのテロ事件の後、サイトの訪問者が急増した。といって、そういう恐ろしい事件を報じて利益を上げているわけではないという。Speiserによれば、LittleThingsへの訪問者はパリの事件の記事を読みに来たわけではなかった。

「読者は深刻で不安を呼ぶニュースの洪水の中で、ほっとする記事、息抜きができる記事を必要としていた。あんな恐ろしいニュースについて読むのは苦痛だ。誰でも憂鬱になってしまう。だからちょっとの間でもハッピーな気持ちになれる場所、いわば安全な隠れ家が必要になる」とSpeiserは言う。

またLittleThingsは 「ニュースを報じるだけなく、ニュースを作るお手伝いもしている」という。たとえば、昨年、ニューヨーク市のマウント・サイナイ病院に入院中の末期のガン患者の「最後の願い」が「馬をかわいがること」だと知ったLittleThingsはセラピーの専門組織、Gentle Carousel Miniature Therapy Horsesに連絡し、マジックという名前の可愛らしいなセラピー用のミニ・ホースを病室に連れていくことができた。LittleThingsはその一部始終を記事で報告したが、もちろんこれは尊敬すべきジャーナリズムの伝統に従うものだ。

〔日本版〕トップ画像はLittleThingsのオフィスの写真。サイトには「ほっとする動物ビデオ」も多い。「射たれた真似がうまいシェパード犬」や「家中のペットのリーダー格のプレーリードッグにはファンが何千人も」などは愉快だし、動画を見ているだけで内容もよく分かる。

画像:: LittleThings

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+