建物の3Dスキャンを効率化、屋内版ストリートビューを開発するNavVisが日本展開

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屋内の3Dモデルを効率的に作成するハードウェアを提供するドイツのスタートアップ「NavVis」が、構造計画研究所と業務提携して日本での展開を本格化する。NavVisは効率的に建物をスキャンするハードウェアと、屋内でもユーザーの位置が地図上に正確に表示される技術を開発している。簡単に言えば、屋内版のGoogleストリートビューだ。両社の提携自体は2015年10月だが、今回TechCrunch JapanはNavVisの開発する3Dスキャンのトロリーとソフトウェアについて来日中のNavVisの共同ファウンダー、Felix Reinshagen氏に聞いた。

X5_mapping_canvasNavVisが開発した「M3 Torelly」は、人が手で押して屋内を3Dスキャンするものだ。3台のレーザースキャナーを搭載したトロリーは35キロほどの重量で、特に専門的な知識がなくともスキャン作業ができるとReinshagen氏は言う。トロリーにはタッチパネルが付いていて、スキャン作業の進捗をそこから確認できる。スキャン開始のボタンを押すと、トロリーが認識した空間が表示される。トロリーが空間や物があると認識している部分は白く表示される。スキャンが完了した部分は緑色に変わり、部屋全体がくまなく緑色になるまでトロリーを動かしていく。部屋のスキャンが終わったらトロリーで次の部屋に移動し、建物全体をスキャンすれば完了だ。

 

スキャンした3Dモデルは、NavVisのウェブベースのビューアー「IndoorViewer」から確認できる。NavVisがGoogleストリートビューと違う点は、スキャンしているのは画像だけでなく、物を点で認識し、建物の3Dモデルを構築している点だ。ビューアーの「PointCloud」を選択すると、スキャンデータの無数の点を見ることができる。

NavVis_demo

IndoorViewerで見たデモ画像。左は画像データ、右はPointCloudデータ。

 

デジタル化した建物には特定の場所に情報を付加することもできる。例えば、3Dモデルの消火器の場所にアイコンを付け、そこに消火器の使い方の説明や動画を添付したり、アプリなどと連携して点検スケジュールを通知したりすることも可能だ。

NavVisの「IndoorViewer」は専用のプラグインなどをインストールする必要がなく、ブラウザから閲覧できる。そのため、複数人が離れた場所にいたとしても特定位置のリンクを共有するだけで、ブラウザから全員が同じ場所を見て、建物の設計や改善策などについて話し合うことができるという。例えば、NavVisはドイツの自動車工場の生産ラインの効率化に活用されているとReinshagen氏は説明する。自動車工場では随時生産ラインの効率化に努めているが、現場の担当者や本社の人員が全員特定の場所の情報を共有したり、複数ある他の自社工場と情報共有したりする効率的な手段がなかったそうだ。NavVisを使えば、リンク共有だけですぐに関わる人達全員が現場の場所を確認し、改善方法について議論することができるようになるという。

d3demo

これまでも建物の3Dスキャンを行うことは技術的に可能ではあったが、時間とコストが膨大にかかるものだったとReinshagen氏は言う。NavVisのトロリーでは、5万平方メートル(東京ドームの広さくらい)を1人の作業員が1日でスキャンでき、またコストも従来の1%に抑えることができるそうだ。時間とコストの削減で多様な企業が3Dスキャンを導入することができるようになったとReinshagen氏は話す。他にも例えば建設現場で建設の最初の段階からトロリーで定期的にスキャンをしておくことで、配管や配線など建設が進むと地下や壁に埋まって見えなくなってしまう所も記録することができ、後の建物の修繕などに役立てられるそうだ。

また、NavVisで屋内でのナビが可能となる。これまでGPSは屋内で使えず、正確な屋内ナビは難しかった。だがNavVisのNavigationApp(ナビアプリ)では、ユーザーのスマホに映る場所の画像と3Dモデルの画像を照らし合わせ、さらにスマホのWiFi機能、気圧計や各種センサーを活用することでユーザーの位置を割り出し、正確な屋内ナビを実現できるという。このアプリを活用し、例えば空港や駅といった場所の道案内にも活用できるとReinshagen氏は言う。

他にも小売店などがNavVisを使って店舗を3Dスキャンし、ユーザーが仮想店舗上で商品を見て、購入したりすることもできるようになるとReinshagen氏は言う。「私たちが考えていたユースケース以上にクライアントは3Dモデルを使うアイディアを持っています」とReinshagen氏は話す。

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左から構造計画研究所執行役員、事業開発部長、海外マーケティング部長猿渡青児氏、NavVis共同ファウンダーのFelix Reinshagen氏、事業開発部空間通信デザイン室技術担当梅田雅之氏

NavVisは2013年5月にドイツ、ミュンヘンで創業したスタートアップだ。2015年12月には、シリーズBで750万ユーロの資金調達を実施している。すでにドイツでは大手自動車会社や建設会社でNavVisが採用されているとReinshagen氏は話す。これからシンガポール、マレーシアなどアジア諸国に展開する予定だそうだ。日本でも2015年10月に構造計画研究所と業務提携を行った。構造計画研究所はNavVisの日本語対応を行い、屋内デジタルマップのソリューションを製造業や建設業などの企業を中心に提案していく予定だという。

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