Apple WatchがiPhoneアクセサリーの地位を脱する3つの方法

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Appleは正確な数字を発表していないが、昨年春の発売以來のApple Watchの販売台数は期待された水準には届いていないと多くの関係者は考えている。Appleの2015年度の決算書類を見ると、Apple Watchは17億ドル程度の売上高があったもようだ。

一方で、iPhoneは第4四半期だけでの322億ドルも売れている。これは大きな落差だ。新製品を発表するたびに殺到する客で長い行列ができるのを普通としてきたAppleとしては見過ごせない事態だ。

私自身についていえば、独立前の12年間をAppleで過ごした。会社勤めをしていた期間の大部分といっていい。その間、音楽とエンタテインメント分野の立ち上げとプロモーションに関わり、必然的にAppleの各種製品と業務の過程に詳しくなった。

その経験から、私はAppleの新製品を買うにあたっていくつかのルールを守っている。たとえば、ガジェットを買う場合には発売から6ヶ月待つこと(新ジャンルの製品の場合は特にそうだ)。Appleが初期不良を退治するにはだいたいそのくらいの期間が必要だ。しかも待っている間に重要な新機能が追加されることも珍しくない。

その6ヶ月はとうに過ぎたが、私はまだApple Watchをポケットマネーでは買っていない。現在Apple Watch 2.0のリリースが間近だという情報が渦を巻いているが、私は今回も自分の原則を守り、発売後6ヶ月様子をみるつもりだ。

Appleで長期間過ごしたおかげで、私はApple Watchについてもインサイダーの視点とアウトサイダーの視点の双方を持っている。その知識に基いてApple Watchが改良されるべき(そして売上を伸ばすべき点)点をいくつか考えてみたい。

ファッション性:現行のApple Watchはライバル製品に比べれば十分にスマートだ。しかしテクノロジー・ガジェットという本質を守りながらさらにデザインを改良する余地はあると思う。Appleはファッション業界のトップを何人も採用している。イブ・サンローランやバーバリーのデザイナーたちがAppleをライフスタイルのブランドに押し上げるべく才能を注いでいる。最近、Appleはあのエルメスとも提携している

全体的にみればこうしたAppleの努力は十分な成果を挙げているようだ。しかし、エルメス版Apple Watchなど著名デザイナーによるカスタム製品は一般消費者には手の出ない価格になっている。しゃれた時計バンドが欲しいユーザーがみな金持ちとは限らない。

当然ながらAppleは次のステップとしてもっと手の届きやすいブランド、たとえばTargetなどと提携してApple Watchのカスタマイズを進めるべきだろう。現状ではカスタム製品を購入するためのハードルが高過ぎる。Appleはもっと幅広い層に魅力ある製品を販売するべきだ。

現状ではApple WatchはiPhoneアクセサリーの一つという以上の存在ではない

以前、iPod Nanoをリリースしたとき、Appleは市場に新しい製品ジャンルを確立しただけでなく、アイテムを派手なキャンディー・カラーにすることでターゲットである若い層の心をつかむのに成功した。同じように、Apple Watchのバンドのカスタム化を今よりもっと簡単にし、値段を下げるだけでApple Watchの売れ行きを大きく改善できる。

独立性:消費者は外出するときに所有するガジェットを全部持ち歩かなくてもすむようになることを強く願っている。Apple Watchの場合、機能の主要な部分をiPhoneに依存していることはこの製品の最大の弱点だ。現在、Apple Watchのユーザーは常にiPhoneを携帯し、Bluetooth接続を絶やさないようにしなければならない。iPhoneなしでは機能は大幅に制限される

現状ではApple WatchはiPhoneアクセサリーの一つという以上の存在ではない。独自のデバイスとはいえない。しかし将来は、Apple WatchはiPhoneを含めて他のAppleデバイスから独立した製品になるべきだ。そうなって初めてユーザーのライフスタイルにシームレスに溶け込むことができる。たとえばジョギングに出るときにiPhoneを持たずにApple Watchを腕に着けるだけでGPSやフィットネス機能が利用できたら便利だろう。あるいは空港で出発を待っているとき、予定の便に遅れが出たら腕でピンという音が鳴って通知してくれるというのもよい。

残念ながら、今噂になっているApple Watch 2.0ではまだこういう機能は搭載されないだろう。テクノロジーのさらなる進歩を待つ必要がありそうだ。Appleはコンピューターをデスクトップからノートへシフトさせることで大成功を収めた。同様に、Appleはスマートウォッチをモバイル・デバイスに従属した状態から解放することで市場に圧倒的な地位を築くことができる。

ヘルス:もう少し現実的なレベルでいえば、消費者がウェアラブル・デバイスに大きな期待を抱いているのはヘルス関連の機能だということが分かる。

最近のアメリカ人がますます健康に注意を払うようになった結果、体調管理に役立つアプリは目覚ましい成長を遂げている。 ヘルス分野ではAppleはアプリやサービスの開発をサードパーティーのデベロッパーに任せているが、Apple自身がヘルス分野のイノベーションを主導することができるはずだ。それはブランドとしてのAppleの地位を高め、ウェアラブル分野のライバルに対してさらに差をつけることを可能にするだろう。

指を刺して血液を絞り出さずに血糖値が測定できるデバイスや装着者に心臓発作の予兆があることを警告してくれるアプリなどには大きな可能性があり、Fitbitなどが開発中だ。Appleは現実の人々をよく観察し、現実のニーズを把握するべきだ。Appleはヘルスケア・デバイス市場のリーダーとなるために絶好の位置にいる。

テクノロジーが成熟するまで買うのを待つという点にかけてはスティーブ・ジョブズという良いお手本がある。ジョブズは洗濯機やドライヤーなどの電化製品を自分の家のために買うのが遅いので有名だった。ジョブズは製品が機能でも信頼性でもデザイン性でもきわめて高い水準に達していることを望んだからだ。私はこの点でジョブズを見習っている。私だけでなく、売上に関する統計をみるかぎり、多くの消費者がApple Watchに関して同じ態度を取っているらしい。

私はAppleがこうした点を実現してくれることを強く期待している。上に書いた3点はApple Watchのようなウェアラブルが今後どういう方向に発展していくのか様子を見ている消費者を惹きつける上で確実な効果があるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+