iCAREが1億円の資金調達、チャットで従業員の健康相談に乗る「carely」をローンチ

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本日、iCAREインキュベイトファンドより1億円の資金調達を実施したことを発表した。また、チャットアプリから従業員の健康相談に応じる法人向けサービス「carely」も本日ローンチする。今回はiCAREの代表取締役CEOを務める山田洋太氏に新サービスの内容について聞いた。

企業は従業員の健康診断の実施を労働安全衛生法で義務付けられている。これは労働者の安全と健康を守るための法律で、企業は健康診断の結果に応じて医師の意見を求めたり、就業時間の調整や作業を見直したりといった従業員の健康に配慮した対策を講じなければならない。しかし、例えば健康診断結果と勤怠情報は個別のエクセルファイル、人事や産業医との面談は紙といったように各従業員に関する労務データはバラバラに管理されていることが多い。情報がまとまっていないと健康診断で何かしら問題が見つかったとしても、その従業員に対してスムーズに職場で何かしらの措置を講じることが難しいと山田氏は指摘する。iCAREではその問題を解決するため、2013年10月から企業が従業員の様々な労務情報を一元管理できるサービス「Catchball」を提供してきた。

今回ローンチする「carely」は、そのCatchballのシステムを内包し、さらにその集約した情報を元に、各従業員に対してパーソナライズした健康管理サービスを提供する。具体的には専用のチャットアプリから従業員の健康面での相談に医師や保健師が応じるサービスと健康管理に関する情報を分かりやすく伝えるコンテンツ配信を行う。

Catchballでは会社側の健康情報の管理の問題点を解決することにフォーカスしていたが、従業員が自分自身の健康に気を配り、病気の予防を促すまではできていなかったと山田氏は話す。仕事で忙しい従業員は自分自身の健康管理を後回しにしがちだ。また、健康診断の結果を見ても血液検査やレントゲン結果の一覧とそれに対する画一的な評価があるのみで、そこから具体的にどのように健康管理をしていけば良いかが分かりづらい。carelyで提供するチャットアプリでは、健康診断の結果を元にそれぞれにあった健康管理の方法を伝えると山田氏は説明する。

また、医師と保健師が従業員の健康相談に応じるのもcarelyの特徴だ。事前にサービスを検証していた際には不眠症やストレスへの対処に関する相談などがあったそうだ。医療機関を受診するほどでもないが気がかりなことを気軽に相談してもらえていると山田氏は言う。チャットで従業員とコミュニケーションが取れることから詳しい症状や家族の病歴などを聞き取ることができ、よりパーソナライズした情報を提供できると話す。例えば、病院での受診が必要な場合、carelyからいくつか本人の病状に適した医療機関を紹介することができる。個人がネットで調べて医療機関を受診しようと思っても、そもそも病名を何で検索したら良いのか、どの診療科を受診すれば良いか、その病院が自分の病気の治療に合っているかは判断しづらい。carelyでは情報提供やウェブだけで完結サービスに留まるのではなく、従業員を医療機関や健康作りに役立つ施設などリアルな場とをつなげられる体制をより強化していくという。

山田氏は金沢大学医学部医学科を卒業し、産業医、内科医、心療内科医として勤務してきた。2012年に共同創業者の飯盛崇氏、片岡和也氏とiCAREを立ち上げて以降も週末は心療内科と一般内科での診療を継続して行っている現役の医師である。iCAREの理念について「今までの医療機関は発症してからそれに対応するものでしたが、iCAREは病気を予防するための取り組みを行います」と山田氏は言う。生活習慣が関わる糖尿病や高血圧、あるいはメンタル失調といった病気は、適切な知識とトレーニングを行うことで発症する前に予防したり、ある程度改善したりすることができると話す。従業員が健康管理を自分事と捉え、健康管理をする行動を取るには、継続的に健康への意識づけを行い、科学的根拠に基づいた情報を個人にパーソナライズして提供することが重要と考えているという。従業員が能動的に自身の健康管理を行うことで、結果的に会社にとっても生産性の高い職場を作ることにつながるだろうと山田氏は話す。

carelyは従業員1名辺り1800円で企業に提供する。健康経営コンサルティング、健康診断代行とストレスチェック業務代行も含むcarely PROは4200円だ。carelyでは多くの個人情報を取り扱うがcarelyでのやりとりの内容は基本的に企業に開示されることはないと山田氏は言う。ただ、従業員が社会生活や日常生活が送れないほど重症化して緊急を要する場合や人事が早急に動いた方が適切と判断した場合などには企業にも連絡するとした。

現在、大局的にも健康データを予防に役立てる動きが加速している。2013年に特定健診制度の施行されてから健診結果を電子データで扱うことが標準となった。2014年3月には保健事業指針の一部が改訂され、それに伴い、政府は健保組合に対してデータに基づいて事業の実効性を高める「データヘルス計画」の策定と実施を促している。つまり、健保組合が被保険者に健康への予防を意識付け、被保険者のそれぞれのデータに基づいた健康ソリューションを提供することに重点を置いた施策の実施を求めている。この分野では、DeNAと住友商事が合弁会社を設立し、2015年4月にローンチした「KenCoM(ケンコム)」がある。これは健康保険組合が各被保険者のデータに応じ、それぞれに合った情報提供を行うためのサービスだ。carelyのターゲットユーザーは企業であるため直接の競合ということではないかもしれないが、病気の予防という分野でのIT活用は各方面から進んできているようだ。

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