掲載は名医だけ、疾患の診断名で検索できる「クリンタル」が資金調達

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患者が自分の症状に合った名医を検索できるサービス「クリンタル」を展開しているクリンタルは伊藤忠テクノロジーベンチャーズとDraper Nexus Venture Partnersから資金調達を行ったことを発表した。金額は公開されていない。クリンタルの代表取締役社長である杉田玲夢氏にサービスの立ち上げの経緯について聞いた。

クリンタルは各疾患に対応する医師の中でも選りすぐりの名医だけを検索できるサービスだ。ユーザーは診療科目と疾患の診断名を選択すると、首都圏内の名医を探すことができる。郵便番号を入力して、その場所に近い名医を調べることも可能だ。

多くの人は病気を患って医療機関を受診する際、医療の質ではなく、自宅や職場の近くにあるから、あるいは近所の知人に勧められたからといった理由で医療機関を選びがちと杉田氏は話す。患者が名医を探そうと思っても、専門的な知識がなければどの医師の医療が優れているかまでは分かりづらい。病院やクリニックの口コミサイトで検索しても、あまりに多くの医療機関が表示されて、何を基準に病院を選んでよいか分からない状態と杉田氏は課題を指摘する。クリンタルでは、医療レベルの高い医師だけを掲載することで、患者が自分自身で最適な医師を探して受診できるようにしたい考えだ。

クリンタルの「名医」として掲載しているのは、「臨床・技術」「学術・知識」「受診しやすさ」をそれぞれスコア化し、一定基準を満たした医師のみと杉田氏は説明する。「臨床・技術」では医師の保有資格、患者数や手術数を鑑み、「学術・知識」では学歴や学会での論文提出数などを見ているという。「受診しやすさ」では外来診断に行った時の待ち時間の長さなどの口コミを考慮しているそうだ。現在は130の疾患に対応し、全体で1200名ほどの名医を掲載していると杉田氏は言う。

clintal search

クリンタルの検索結果画面

クリンタルは名医を検索するサービスではあるが、病気を患う人全員の利用を想定しているものではないと杉田氏は言う。「クリンタルは確定診断の付いた患者向けのサービス」と強調する。というのも、例えばちょっとした外傷や風邪であればかかりつけの医師やクリニックで十分に対応できるからだ。杉田氏がクリンタルで目指している大きなビジョンは、本当に医療を必要としている患者に最適な医療を結びつけられる医療システムの構築だという。

杉田氏は最初は眼科医として病院に勤務し、その後コンサルタントとして病院経営の面から患者に良い医療を届けるために仕事をしてきた。そうした業務に従事する中で医療機関と患者のミスマッチによる医療システムの効率の悪さを間近に感じていたと杉田氏は話す。総合病院はあらゆる病気に対応するため、多くの医療従事者を抱えていて、患者数も多い。だが病院側が多様な疾患の患者に上手く対応できておらず、患者は受診まで長い時間待たなければならなかったり、医療従事者にも長時間労働を強いたりと多くの負荷がかかっているという。近年では、例えばがんの治療に特化したがんセンターといった特定の疾患を診る医療機関が増えてきていると話す。そうした医療機関には特定の疾患の患者のみが集まるため、病院に蓄積される症例と治療経験が増え、医療技術が高まると杉田氏は言う。患者にとっても、このような医療機関を受診することで最先端の医療を受けることができ、回復が早まる傾向にあるそうだ。ある程度特定の疾患に注力する医療機関が増えることで医療システムの改善につながると杉田氏は考えている。杉田氏がクリンタルで目指しているのは、そのためにまず患者の受診行動を変え、患者を適切な特定疾患の専門家とつなぐことで全体の医療システムの効率化を図ることだ。

クリンタルは2015年5月に創業し、8月に名医の検索サイトをローンチした。昨年12月からは、医師がユーザーから症状や指定地域などの条件を聞いて、受診先を提案する有料のプレミアムサービスも提供している。このプレミアムサービスは1回の問い合わせにつき5980円で、無料版よりさらに細分化された分野の専門の名医を提案するという。

今回の資金調達では、サービスの拡充とビジネス面の強化を計画しているという。サービス拡充については、まずは検索サービスでも首都圏のみならず、全国の名医をカバーする予定という。最終的には日本全国の医師の3%相当に値する6000名ほどの名医を掲載したい考えだ。また、新たに軽症な病気や確定診断前の段階でもその治療に最適な開業医を提案する機能を開発していると杉田氏は話す。今年の夏頃のリリースに向けて開発を進めているという。ビジネス面の強化については企業と提携し、従業員向けの福利厚生の一環としてクリンタルを提供することに注力していく。ゆくゆくは保険会社などと協力することも視野に入れていると話す。クリンタルの受診提案で名医の治療を受けることにつながれば医療費の削減が期待できるからだ。そのためにサービスの実績を示すことができるよう注力していくと杉田氏は話す。

これまでにクリンタルの検索サービスを1万人ほどが利用したと杉田氏は言う。特に女性ユーザーが不妊治療のために産婦人科を探していたり、子供が病気を患った時に小児科などを探したりしているケースが多いという。これは、人は自分のことよりも子供や身内のためなら真剣になって医療機関を探す傾向にあるからかもしれないと杉田氏は話す。それも重要なことではあるが、「人が自分たちの住む家を探すためなら何件も物件を巡って真剣に選ぶのと同じように、自分の命に関わる医療に関しても真剣に選ぶためのサービスの提供と適切な情報発信を行っていきたい」と杉田氏は話す。

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