40代でVC目指すなんて遅い? いや、日本のベンチャーキャピタリストにも多様性を

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編集部注この原稿は独立系ベンチャーキャピタルのANRI創業者でパートナーの佐俣アンリ氏(@anrit)による寄稿だ。最近日本のスタートアップコミュニティーで、「VC修行を始めるなら20代。40代でVCなんて目指さないほうがいい」とする議論があったのだが、これに対する佐俣氏の意見は「まったく同意できない」というもの。他のどんなプロフェッショナルも同様だが、VCもキャリアを積むのに10年単位で時間がかかるのだとすれば、スタートは早いほうがいいという意見には一理も二理もある。独立当時最年少だった若きVCの佐俣氏自身、それを否定するものではないが、いまの日本ではむしろ30代や40代からのVCへの転身が増えたほうがいいという。

ここ数年、20代前半の独立系VCパートナーの誕生が続いています。2012年にANRIが、2013年にはSkyland Venturesがスタートしたのを始めとして、2015年にはTLMIF Angelなど、20代前半の独立系VCパートナーが生まれました。彼らはEast VenturesIncubate Fundのアソシエイトとしてキャリアをスタートしています。この流れは日本のベンチャーキャピタルの新しい潮流といえるものでしょう。

ただ、若いキャピタリストのみが増加しているかというと必ずしもそうではありません。2015年にジャフコ産学連携投資部長の伊藤毅さんがBeyond Next Venturesを立ち上げられたように、投資家として輝かしいキャリアを持った方の独立も盛んになっています。ベンチャーキャピタリストのキャリアとはどうなっていて、今後どうなっていくべきなのでしょうか。

30代や40代で投資家に転じて成功する例も多い

ベンチャーキャピタルが生まれた地、シリコンバレーの事例を見てみましょう。

現在世界一のVCと言われるAndreessen Horowitzの創業者であるMarc Andreessenが起業家を経てエンジェル投資家としてキャリアを歩み始めたのは36歳のこと。同じくBen Horowitzは41歳。2人はネット系ベンチャーを創業して大きな成功を収めるという、起業家、経営者として素晴らしいキャリアを持ってはいますが、投資家としてのスタートは比較的遅めです。Sequoia CapitalのMichael Moritzはタイム誌の記者としてシリコンバレーに来て32歳で投資家に転身。ハイテクやライフサイエンス系の優れたキャピタリストをランキングするForbesのMidas Listにおいて、去年WhatsAppへの投資で見事に1位に輝いたSequoia CapitalのJim Goetzは起業家を経て34歳で投資家としてのキャリアをスタートしています。

日本にも、キャリアの途中で投資家に転身して成功している方々がいます。例えば、東京大学エッジキャピタルマネージングパートナーの郷治友孝さんは30代で官僚を経てエッジキャピタルにジョインして代表に、Femto Startup磯崎哲也さんはネットイヤーでのファンド立ち上げを経て50代で独立系ベンチャーキャピタルファンドをレイズ(出資者を募ってファンドを組成すること)しています。

世の中は移り変わっていきますし、それによって求められるプロダクト、そして起業家も変わっていきます。当然投資家に求められるものも変わっていきます。

高度なコンサルティングスキル、経営経験、金融知識、豊富なネットワークなど、総合格闘技であるベンチャーキャピタルには多くの技術が求められます。ですから、各々が起業家に提供できる得意技を磨き、競い合えばよいのではないかと思います。

日本では独立系キャピタリストはまだ数えるほどしかいません。増えるスピードも年に1、2名ほどです。私自身もキャピタリストとしてしっかりとパフォーマンスを出すことを前提にしながらも、どうすれば日本においてベンチャーキャピタリストを増やすことができるかを考え、日々試行錯誤しています。

世界ではY Combinatorがアクセラレータームーブメントを、Andreessen Horowitzは起業家による起業家のためのファンドとして新しいベンチャーキャピタル像を生み出しました。最近では大学とともに歩むインキュベーターであるStartXや、若くして投資家であり起業家であるThrive Capitalなど、新しいスタイルがどんどん生まれて、VC同士お互いに切磋琢磨しています。

日本でも、もっともっと多様なキャリアの投資家が質も量も高めながら、多くの起業家と共闘できると素晴らしいなと思っています。ただ願っているだけでは意味がないので、ANRIとしても投資家を増やすための活動を積極的にしていこうと思っています。