わずか1ドルの紙の上で約2時間でジカウィルス感染を検出できる合成生物学的技術をMITが開発

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その日、メディアへの対応に追われていたMITの生物医学工学の教授Dr. James Collinsによると: “これはわれわれのグループにとって、何かの大感染が急激に勃発したとき、どれだけ早く対応できるかを知るための、興味深いケーススタディになった”、という。その日5月6日に発表された論文は、今感染が広まりつつあるジカ・ウィルス(Zika virus)を診断する、安上がりで、結果が出るのが早くて、効果的なツールを詳述していた。

Collins博士は話を続ける: “1月の終わりごろMITは、今誰がジカを研究しているか、と問う同報メールを全研究者に送った。われわれは、何もしていなかった。今のチームと前のチームの全員に、われわれなら何ができるか、と尋ねた。われわれの合成生物学のプラットホームを利用して、診断検査を作れるだろうか? 圧倒的多数が、作れると答えた。全員が、今やってることを棚上げして、新しい検査手法の開発に専念した。そして約5週間か6週間で、それは完成した”。

記録的な短期間でチームは、CollinsのチームがハーバードのWyss Institute(ヴィース研究所)で開発した技術を使って、資源の乏しい地域でも利用できる、紙を使う簡単な検査方法を作り出した。それは、これまでのやり方の数十〜数百分の一の時間と費用で、この疾病を検出できた。チームメンバーの出自は、Harvard, MIT, University of Toronto(トロント大), Arizona State University(アリゾナ州立大), Cornell, University of Wisconsin-Madison(ウィスコンシン大マディソン校)、Boston University(ボストン大)など、多岐にわたる。

“対応しなければならない要件が、いくつかあった”、とCollinsは説明する。“検査はローコストであること。結果が出るのが早いこと。リソースの乏しい現場で簡単に展開できること。われわれのプラットホームなら、これらのチャレンジにうまく対応できる、と私は思った。センサー本体は、きわめて小額でできる。展開の費用も、微々たる額だ。ローコストの検査とはこの場合おそらく、一検査あたり1ドル未満、という意味だ”。

患者から得た一滴の血液を沸騰させてウィルスからRNAゲノムを取り出す。その後のちょっとした処理において、紙を使用する。

“われわれが作ったのは、紙製の本当に上出来な合成生物学プラットホームだ”、とCollinsは語る。“われわれがやったのは、細胞の内部的な機構に着目すること。数十種類の酵素を使うこと。そうすると、紙の上で結果が分かる。それらをフリーズドライし、室温で保存し配布しても、活性の喪失がほとんどない。これこそが、このプラットホームのイノベーションの中核だ”。

上記の全過程に要する時間は約2時間で、安い機材しかない現場でも完全にできる。CDCなどの大規模な研究機関に送って、あらためて検査する必要はない。現在、このシステムではジカとデング熱とエボラを検出できる。この三つが、システムの最初のターゲットだった。

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Collinsは、今後もっと多くの病原にこの技術を適用できる、と信じている。

“今はインフルエンザの検査に使うことを検討している。HIVもだ。ライム病やハンセン病にも利用したい。また、今とは完全に違った形で、迅速で安価な癌の診断にもこのプラットホームを利用できるかもしれない”。

ただし現時点では、チームの主な目標は、ジカ熱がいちばんひどく広がっている地域で展開できる最良で最速の方法を見つけることだ。

“今われわれはブラジルやコロンビアのグループと一緒に、この方法を現場に、そして患者たちに届ける方法を検討している”、とCollinsは語る。“まだまだテストが必要だが、でもこのプラットホームには大きな将来性がある。適正な機関やグループの手に渡れば、普及の速度はとてもはやいだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))