未来のカスタマーサービスの形、ボットやメッセンジャーは現状を変えられるか

次の記事

CTやレントゲン画像からの症状検出を人間医師/技術者より正確に行う機械学習ソフトウェアBehold.ai

【編集部注】この記事の執筆者Michael Schneider氏はServiceの創設者兼CEO。

1970年代の企業では、CFOとCEOがデスクを囲み、顧客が簡単に補償請求できないようにどうやって困らせるかという方法を思案していた。電話の自動音声機能を利用してみたり、難解で融通が利かないポリシーを作ってみたりして、顧客からの苦情に「屈しない」ことを喜んでいたのだ。

当時はそれで良かった…ソーシャルメディアの登場までは。今では「一般人」が、有名人と同じ位の発言権を持っており、不満があればすぐに企業の注意を惹くことができる。

先月F8(Facebokが主催する開発者向けカンファレンス)を見ていて、本当に将来はチャットを開いて必要な情報を入力すれば問題が解決するほど簡単に物事が進むのか考えずにいられなかった。花の注文はできる。ニュースを取得することもできる。天気もチェックできる。しかし、本当にテクノロジーを利用してカスタマーサービスを行うことはできるのだろうか?

これまでケーブル会社に電話して「永遠に」電話が繋がらないという経験をした人の中で、チャットを通して担当者に連絡して、すぐに問題を解決したいとは思う人はどのくらいいるだろうか?(Amy Schumerなら同意するだろう)どのくらいの人が、航空会社とチャットをしてリアルタイムで問題に対処してほしいと感じているだろうか?言うのは簡単だが、現実はそこまで甘くない。

ほとんどの人、特に若者にとって、チャットは電話よりも気軽に使うことができるコミュニケーション手段だ。しかしチャットも万能ではない。もともと問題を上手く伝えることが出来ない人は、チャットを使っても上手く説明できるわけがない。担当者側も、イラついている日はチャット上で、自動音声のように融通が利かず、同情心に欠けた対応をするだろう。手段を変えるだけでは、カスタマーサビスの問題は解決しない。

しかし、ボットを利用することでカスタマーサービスの効率化を図ることはできるかもしれない。ボットは、担当者とのやりとりを通して情報を収集することができ、正確に何が起きたか、また顧客が何を求めているか、更には基本的な問題を解決するまで機能を高めることができる。しかも全て自動で。

ボットの概念自体はカスタマーサービス界でも長らく利用されていた。現状でも自動音声の指示に従って口座番号や、何についての電話かを口頭で伝えたり、リクエストに応じてプッシュボタンを使ったりできる。ここでの違いは、自動音声は基本的に顧客をイラつかせるのに対して、チャットボットはその逆の効果を持っているということだ。

「ボット」と「人間」のバランスは企業ごとに変わってくる。更にはボットの品質、そして何より人間の担当者の質がカスタマーサービスではモノを言う。

私は、人間とボットが上手く組み合わされれば、うまく業務を行うことができると信じている。ここでいう「業務」とは、困っている顧客を幸せにしつつ、ビジネスとしても損をしないことを指す。

これからAI(ボット)の性能はますます向上していき、様々な企業が問題解決の手段として利用していくようになるだろう。チャットを通じてケーブル会社に連絡すると、(電話だと5〜25分もかかるのに対して)30秒でアポイントが設定できるような状況を想像してみてもらいたい。量販店が不良品をすぐにとりかえてくれるとしたらどうだろうか。また、ホテルが不満に対してポイントで埋め合わせしてくれればどんなによいだろう。ボットを使えばこれら全てを自動で対応することができ、企業にとって大切(で高くつく)人間の担当者を、本当に人が対応する必要がある問題にあたらせることができる。

FacebookのMessengerプラットフォーム以外にも、将来的にはいくつものプラットフォーム上でカスタマーサービスの問題を解決できるようになるだろう。賢いソフトと少し人の温かみが組み合わさることで、顧客はよりよいサービスをうける事ができる。企業も不快なツイートの嵐や、ネガティブなオンラインレビューといった、現代の消費者ができるようになってしまったブランドイメージを傷つけるような行為を回避できる。

未来のカスタマーサービスの場では、顧客が希望する手段(恐らく電話以外)で連絡をすることが簡単にでき、理想的には人間の手を介さず(知的ソフトウェアを使って)、より短時間で問題が解決できるようになるだろう。

将来的には、「カスタマーサービス」とは、顧客が怖がりながら連絡するものではなく、企業と顧客を強く結びつける手段になるだろう。優良なカスタマーサービスこそが一番のマーケティングであり、チャットボットはその大きな助けとなる。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake