Apple、App Storeをアップデートへ―審査を高速化、検索広告と開発者取り分85%プラン等を導入

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恒例のWWDCカンファレンスの開催を控えて、AppleはApp Storeにおける一連のアップデートを発表した。Appleはこれらの変更がデベロッパー、消費者の双方に利益をもたらすと期待している。

ワールドワイドマーケティング担当上級副社長で、昨年11月にApp Storeの担当になったフィル・シラーは、登録申請から公開までの時間短縮、Appleと開発者の取り分の見直し、アプリの発見などを改良したと述べた。アプリの発見についてはApp Storeに検索広告が導入されることになったのが注目される。

今回のアップデートについては「遅すぎた」との批判が多く出そうだ。デベロッパーは開発したアプリをApp Storeに登録させるにも、ユーザーに気づかせるにも、ダウンロードしてインストールさせるのにも長年苦労してきた。実際、消費者は新しいアプリを試すのに飽きてきたようだ。大半のユーザーはここ1月以内に一つもアプリをダウンロードしていないという調査も発表されている。

新しいを獲得し、引き止めることがますます難しくなりつつあるモバイル・アプリの世界で、 App Storeは心機一転したフレッシュな外観の下で適切なアプリと適切なユーザーを引き合わせ、デベロッパーの収入を最大化することに努力しようとしている。

アプリの審査

AppleはまずApp Storeのアプリ審査のプロセスを改良した。これまで受付から公開まで5日かかっていた。アプリが関係法律を順守しており、消費者がインストールしても安全であるなど、Appleの定めたガイドラインに添っているかを確認するためにそれだけかかっていたわけだ。しかし、シラーがThe Loopのインタビューで述べたところによると、最近、公開までにわずか1日しかかからなかったアプリが多数あった。

シラーによれば、Appleは毎週10万本のアプリを審査しているが、このプロセスを高速化する方法を発見したという。Appleは現在安定的に50%のアプリを24時間で審査し、90%を48時間で審査できる。

これまでApp Storeに対してGoogle Playはアプリの審査時間が短いという大きな優位性があった。これはGoogleがアプリの審査過程の大部分をアルゴリズムで処理していたためだ(最近、Googleは人力による審査も加えたが、これは全体的な処理スピードには影響していないもようだ)。

サブスクリプションに85/15の取り分比率

またAppleはビジネスモデルにも改良を加え、売上をサブスクリプションに依存するデベロッパー向けに新しい取り分比率を導入した。現在Appleは伝統的な70/30の配分率を採用している。デベロッパーが70%を得るという配分率は、アプリが主として売り切りだった時代に確立された。しかし時代は変わった。

今回の変更で、サブスクリプションの場合、1年めは従来通り70/30だが、2年目以降は85/15の分配率となる。これはゲームだけでなく、App Storeで公開されるあらゆるジャンルのアプリに適用される。

Appleによれば、サブスクリプションの認定を受けるためには次のような条件がある。つまりアプリが定期的にアップデートされるかコンテンツが配信されなければならない。あるいはクラウド・ストレージや多人数ゲーム(MMOG)のようにアプリ内から既存の有料サービスにアクセスできる必要があるということだ。

Appleは現在すでにユーザーが1年以上にわたって利用しているサブスクリプション・ベースのアプリは上記の新しい配分率が適用され、売上の85%をを受け取る資格があるとしている。この変更は次の月曜日、6月13日から適用される。

デベロッパーはまた地域別に異なる料金を設定したり、新規ユーザーに対するサブスクリプション料金をアップしたりすることもできるようになった。新システムはユーザーにとってもアップグレード、ダウングレードなどがしやすくなっているという。

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Above: App Store search ads (via The Loop)

アプリの発見と広告

最後に、今回のアップデートでいちばん影響の大きい点だろうが、アプリの発見についてもAppleは大きな変更を行った。

多くのデベロッパーはApp Storeはアプリが発見しにくいという問題に長年つきまとわれてきたと考えている。

Appleはこの秋、 App Storeのおすすめ(Featured)セクションを全面的にアップデートし、ユーザーがすでにインストールしているアプリは表示されないようにするなどの変更を予定している(Appleは今月、同様の改良をApple TVでも実験したが、この場合はトップ・チャートに影響が出てしまった)。

Appleはまた「カテゴリー」のタブを復活させる。ユーザーはApp Storeのナビゲーションがしやすくなるはずだ。また圧力を感知する3D Touch機能が利用できるデバイスの場合、友達とアプリ情報を共有できる。iOSデバイスのホーム画面でアイコンを押すとソーシャルネットワークでの共有が可能になる。Appleは便利な割に利用されていない3D Touchのショートカット機能をプロモーションしようとしているようだ。

現在App Storeは木曜日ごとにアップデートされているが、AppleがiMoreで述べたところでは今後は更新の頻度が増える。

ビジネスモデル上の最大の変化は、App Storeにおける検索広告の導入だろう。ユーザーが名称ないしキーワードでアプリを検索する際に広告が表示され、デベロッパーは掲載料金についてオークションで入札することができるようになる。これはGoogleのAdWords広告と似た仕組みだ。

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App Storeに150万ものアプリが登録されるようになり、アプリの発見に関して検索はますます重要性を高めている。Appleによれば、App Storeでダウンロードされたアプリの65%は検索を発端としている。

App Storeの検索広告は、検索1回について1件だけ表示されるとAppleでは強調している。また広告は検索結果一般とはっきり区別できるよう表示される(青地にAdのアイコンが付される)。表示内容はApp Storeに登録された内容そのものとなる。どのユーザーが広告をクリックしたかなどのデータはデベロッパーには知らされない。デベロッパーは広告のパフォーマンスに関するレポートは受け取るが、ユーザー情報を受取ることはできない。またAppleが不適当と認めた場合、広告は13歳以下のユーザーに対しては表示されないとシラーはThe Loopに語った。

検索広告の料金は最低料率や独占的契約を排除した純然たるオークション・システムで決定される。これは大手デベロッパーが広告で独占的な地位を占めるのを防ぎ、小規模なデベロッパーにも広告を利用しやすくするためだ。

検索広告は来週月曜日にまずアメリカ市場にベータ版として導入される。全世界に拡大されるのはこの秋になる予定。

今回のアップデートは単にiOSだけでなくAppleが運営するすべてApp Storeが対象となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+