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ターゲットを絞って実直にやってきた——育児・出産情報メディア「mamari」運営のConnehito、Syn.が買収

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Connehito代表取締役の大湯俊介氏

Connehito代表取締役の大湯俊介氏

育児や出産を軸に家族向け情報を提供するキュレーションメディア「mamari(ママリ)」、女性の悩みに特化したQ&Aサービス「mamariQ」などを展開するConnehitoがKDDIグループ入りを果たした。KDDI傘下のSyn.ホールディングスが6月16日、Connehitoの株式を100%取得し、子会社化したことを明らかにした。買収額は非公開。複数関係者の話を聞く限り、十分に満足できる評価(要は買収額)を得たようだ。今後も引き続き創業者である大湯俊介氏が代表取締役を務める。

2013年末からプロトタイプを作り始め、2014年3月にローンチしたmamariは、育児や出産といった女性向けの情報を中心に、学業や保険など幅広く家族向けの情報を配信するキュレーションメディア。執筆するのは社内35人中20人のライター陣。その多くが既婚女性で、うち5人は現在妊娠中。実体験を元にした記事も多いという。

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Q&AサービスのmamariQは2014年6月のスタート。取り扱う質問はやはり育児や出産をはじめとした家族に関わるものばかりだという。「mamariは(育児・出産等の)知識に関する記事が多い。これが情報の理解や疑問の解決の役割を果たしている。その一方でmamariQは不安の解消。子育てには不安や孤独がつきものだからだ。また投稿によって社会的な繋がりも得られる」(大湯氏)

さらに2015年夏頃から試験的にクラウドソーシングサービスの「ママリサポーターズ」をスタート。現状は登録者に対してmamariの記事作成を依頼している程度だが、将来的にはサービスの幅を拡大していくことも検討中だ。

そんなmamariのMAU(月間アクティブユーザー。ここではmamariおよびmamariQのユーザー数を合算し、かぶりを除いたユニークな数字だ)は500万人。またmamariQでは出産予定日を登録できるが、現在の登録ユーザー数は約10万人。日本の年間出生数はざっくり100万人なので、出産を予定する10人に1人がmamariQを利用している計算になるという。ただしユーザー数やページビュー(PV)だけにこだわった運用をしたいわけでもないのだそう。「我々はメディアやコミュニティではなく、ブランドを作っている。メディアだけだとPV・UUの世界だが、それが変わってきた。生活の中にmamariがどれだけ出てくるか。今回(の買収)も、単純にメディアとして評価されたのではない」(大湯氏)

ビジネス面も好調だ。ユニクロをはじめとしたナショナルクライアントのキャンペーンなども実施。単月黒字化する月も出てきた。「『家族』がメディアのターゲットなので、(出産関係のクライアントだけでなく)アパレルも学資保険も住宅も、車もニーズがある」(大湯氏)。今後はユーザー課金などの道も模索する。

2012年、シードアクセラレーターのMOVIDA JAPAN(現Genuine Startups)からシードマネーを得たConnehitoが最初にリリースしたのは、クリエーター向けのポートフォリオと、そのポートフォリオ内のデザインを販売できる「Creatty」。だがこのサービスは濃厚なファンこそ付くがスケールするには至らず、一度は会社をたたむことまで考えたのだという(そのあたりはこちらの記事参照)。

そこからピボットして、mamariの原型となる健康情報のキュレーションメディアを立ち上げた。独立系VCのANRIやコーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏から資金を調達してサービスを拡大。2015年3月にはB Dash Venturesとプライマルキャピタルから1億5000万円を調達し、成長に加速を付けた。

「本心で言えば、打席に立つ回数を増やした(一度失敗して、ピボットしてチャレンジしたという意味)結果、というだけ。メディア事業のスタートアップはレッドオーシャン。だが、みんなファッションや音楽といった領域。妊娠から出産にターゲットを絞ると、解決手段がなくてすごく困っている人がいた。Yahoo! 知恵袋に質問を投げても批判ばかりで泣いてしまったという人もいた。まるでエアポケット。ターゲットを絞って、実直にサービスを開発したことがよかった」

「過去のサービス(Creatty)は独りよがりなところがあった。僕らは本気で作ったが、クリエーターはそれ(アート作品)だけで食っていなかった。だがmamariの手がける領域は、命に直接関わっている」——大湯氏はこれまでをこう振り返った。

大湯氏は直近の目標について、「mamariを日本一のサービスに育てること」とした。また将来的にはKDDIグループと組んだサービスの開発にもチャレンジしたいとも語る。

ところでSyn.ホールディングスと言えば、スマートフォン向けサービス群のSyn.allianceを展開している。Connehito買収前の時点で22のサービスが参画しており、VASILYの「iQON」やアイスタイルの「@cosme」のような、ファッションや美容寄りの女性向けのメディア・コミュニティは存在していた。大湯氏は「単純にメディアとして評価された訳ではない」と語っているが、Syn.としても女性向けのサービスを補完するという意味では重要な役回りを担っていくはずだ。

また少し違う文脈にはなるが、ディー・エヌ・エーではiemo代表取締役CEOでDeNA執行役員の村田マリ氏の指揮の下、キュレーションメディア群「DeNA パレット」を展開。ジャンル的にはmamariと同じ領域の「cuta」を展開している。そのほかグローバルブレインなどが出資するスタートアップ・cozreの「cozre」も同じ領域のメディアとなっている。