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不動産スタートアップのリノベる、一棟リノベーション事業に向け合弁会社——東京・渋谷エリアから展開

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中古マンションのリノベーションをオンライン、オフラインを通じて手がける不動産スタートアップのリノベる。これまで区分所有(マンションの一室)エリアのリノベーションを行ってきた同社が、中古マンションや中古ビル全体の再生・運営に乗り出す。同社は8月1日、u.company、THINK GREEN PRODUCE(TGP)との3社で合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結したことを明らかにした。

合弁会社の設立予定日は8月19日、社名はJapan Asset Managementの予定。代表取締役社長には京王電鉄傘下でリノベーション事業を手がけるリビタ元常務取締役・u.company代表取締役の内山博文氏が就任する(同氏は最近、リノベーション物件の売買やオフィスデザインなどを手がけるスタートアップ、ツクルバの戦略アドバイザーにもなっている)。資本金は1000万円で出資比率はリノベるが51%、u.companyが33%、TGPが16%。

リノベるは2010年4月の設立。現在サイトやリアル店舗を通じたリノベーションの仲介・改修事業のほか、施工業者向けのツール提供といったHomeTech領域のビジネスを展開している(ソフトバンクともアプリの共同開発が進んでいる)。店舗はフランチャイズも含めて全国19箇所に展開(8月には東京・吉祥寺にも出店予定)。2015年9月には、渋谷にスマートハウスのショールームもオープンしている。2015年度の受注数は400件、売上高は34億円。3年後の受注数1000件、売上100億円を目指す。

「やっと拡大フェーズに来た」——そう語るのは代表取締役の山下智弘氏。同氏はゼネコンや飲食店経営を経てリノベるを立ち上げた。同社には東京急行電鉄(東急)やグロービス・キャピタル・パートナーズのほか、Vector Group International、オークファン、GMO VenturePartners、三井住友海上キャピタル、西武しんきんキャピタルなどが出資している。東急からの出資(資本業務提携)は2016年3月のこと。この際に提携内容として発表された「一棟リノベーションマンション事業」が今回の取り組みのベースになっている。なおリノベるは東急の実施したアクセラレーションプログラム「東急アクセラレートプログラム」の2015年最終選考企業だ。

リノベる代表取締役社長の山下智弘氏

リノベる代表取締役社長の山下智弘氏

リノベるでは、「最初に役員全員がハンコをついて決めた」(山下氏)というルールがあるそうで、その内容は「自社で物件を所有しない」ということ。あくまで顧客の持つ物件のリノベーションを行うのであり、自社でリノベーション物件を持つことはしないという。「おいしい情報が流れてきたからといって(不動産を所有して)、景気の波にさらわれて死んでしまう会社を見てきた。そこはこだわらないといけない」(山下氏)。

だがその弊害とも言えるのが、区分所有エリア以外…つまりマンションやビルの一棟まるまるのリノベーションが難しいということ。自社で不動産を持つのでなければビルオーナーと交渉してリノベーションを行うことになるが、すでにさまざまな入居者が居る中古マンションなどでは、室内のリノベーションのように簡単にできる話ではなかった。

これに対して、合弁会社は一棟リノベーションに特化した事業を展開する。代表の内山氏はリビタで一棟リノベーションなどを手がけてきた。またTGP代表取締役の関口正人氏は、不動産会社で神奈川県・鎌倉の複合商業施設「WEEKEND HOUSE ALLEY」の開発や堂施設内のレストラン「bills」の経営などを手がけた後に独立。商業施設のプロデュースなどを手がけてきた。一棟リノベーションや商業施設のプロデュースといった経験を持つ会社と組むことで、新たな領域に挑戦するかたちだ。3社はビルやマンションのバリュエーションから企画、プランニング、リーシング・販売までをワンストップで行う「開発型アセットマネジメント会社」を目指すとしている。

当初ターゲットにするのは東京・渋谷を中心とした都心エリア。詳細は非公開だが、すでにプロジェクトが動き出した建物もあるそうで、「1年後くらいには実物を披露できる」(山下氏)という。合弁会社設立から1年で大小5〜10の建物のリノベーションを手がける予定だ。前述の東急グループと言えば、「広域渋谷圏」でスタートアップと組んだ地域活性施策を進めていると聞く。今後は東急もこの合弁会社のクライアントとなり、渋谷エリアの再開発を進めていくことになるのだろう。

再開発のために必要となるのはそのエリアの地上げ(ネガティブに捉えられがちな言葉だが、ここでは本来の「開発のための土地購入」という意味で使っている)だが、エリアすべての土地を購入するまでには、数年からそれこそ10年単位の時間がかかることもある。ではその間、先行して購入した土地をそのままにしておくのかというと、それもももったいない話。山下氏はそんな土地(や、再開発まで存在している建物)でも合弁会社によるリノベーションで価値を生むことができるのではないかとしている。