低消費電力の深層学習で新分野開拓、日本のLeapMindがシリーズAで3.4億円の資金調達

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unspecified2012年設立の日本のスタートアップ企業、LeapMindは今日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、米Visionnaire Ventures Fundアーキタイプベンチャーズを引受先とした第三者割当増資で総額約3億4000万円の資金調達を完了したことを発表した。創業者でCEOの松田総一氏によれば、LeapMindはGPUを含む高い処理能力や大容量メモリーを前提としたこれまでの深層学習と違い、精度を落とさずに必要となる計算リソースを減らすことに取り組むスタートアップだ。

特に画像認識や音声認識といった応用分野で、深層学習が大きな前進を見せているのは皆さんご存知の通り。ただ、これまでの深層学習の応用はクラウドだったりGPUをふんだんに投入する「力技」の競争という面があった。ニューラルネットワークは人間の中枢神経系と同じく多数のノードを層状にして積み重ねるもので、最近この層数が深くなっている。現在の深層学習ブームの背景の1つに計算テクニックの発展があったのは間違いないが、それでも計算量は多い。精度を上げるために計算リソースをぶち込むのが「最先端」の研究だ。ボードゲームへの深層学習の適用で圧倒的な成果を見せつけたAlphaGoは、1000個以上のCPU、100個以上のGPUを組み合わせるような取り組みだった。

一方、LeapMindの松田CEOによれば、もっと劇的に計算量を減らすことができる研究が、この1年ほどで出てきているのだという。層と層の間の計算の受けた渡し方の計算順序を工夫したり、受け渡しの数値を実数ではなく2値にしてしまうような研究があるという。例えば、この論文によれば「バイナリCNN」を使った画像分類ベンチマークでは、メモリー効率32倍と58倍の速度向上を達成。精度は2.9%劣るだけだったという。

松田CEOによれば、LeapMindはこうした最新の研究を参照してプロダクトを実装している。深層学習の人気ライブラリの1つ、Caffeに含まれるモデルをLeapMindで実装したところ、Caffeで450MBの容量となったニューラルネットのモデルが、LeapMindでは45KBで保存できた例もあるという。このときの精度はオリジナルのCaffeが58%であるのに対して、52%と十分なものだったという。

すでにできていることを少し精度を落として低コスト、低リソースでやるというインセンティブはアカデミックな世界にはあまりないのか、この方面への研究は注目度が低い。世界的にみると競合としては、VicariousMovidiusといったところがあるが数は少ないのだそう。「この分野を徹底して研究しているLeapMindのほうが大学の研究者より詳しいこともある」(松田CEO)という。

低消費電力になると何ができるのか?

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Droneに高度な画像認識モジュールを搭載するイメージ図

低消費電力で深層学習が利用できるとなると、例えば冷蔵庫に搭載もできるだろうという。冷蔵庫の中身の残りものを画像認識してレシピを提案するといった応用があったとき、最新GPUを搭載してガンガン熱を出してしまっては冷蔵庫という自らの存在を否定するような製品になってしまうが、低消費電力で非力なチップで処理できれば応用可能性が開ける。松田CEOは「今後、名刺入れにさえ深層学習が入ってくるような世界を目指す」としていて、現在はNTTデータ、KDDI、DNP、小糸製作所などと共同研究を進めているほか、実験的プロダクトをいくつか出している

今後は企業と組んで消費者へ届けるアプリケーションを発掘・開発していくほか、自社でモデルを作成してモジュール化した「Juiz System」をSaaSモデルで売っていくモデルの2通りでマネタイズを考えているそうだ。より広く生活者に深層学習の恩恵を届けるためには、それぞれの応用分野を詳しく知っている各企業に任せる、ということだそうだ。

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ところで深層学習を省電力対応していく方向性が今後ひとつのトレンドになるのだとしたら、その技術的アドバンテージのコモディティー化は早そうだ。LeapMindは企業として何の差別化ができるのだろうか? 「確かに2年後ぐらいには技術は平準化していくと思います。ただ、その間にユーザーや共同開発の企業を増やします。そこから入って来るトレーニングデータが大事」(松田CEO)。たとえアルゴリズムでGoogleに勝てなくても、例えば日本人がどんな食事をしていて何が好きなのかといったことの予測精度ではGoogleに勝てるだろうという。「だからバラマキ戦略をやっているのです。深層学習を商用まで持っていけてる企業は少ないですし、より広い企業と繋がる努力をしているAI企業も少ないのです」(松田CEO)