iOS 10、今日からいよいよ一般公開―Appleはアプリ開発の再活性化を目指す

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AppleがいよいよiOS 10を一般公開した。iOSの「歴史の中で最大のアップデート」だという。読者はアップデート内容についてすでに聞いたことがあるかもしれない。新しいiOSは数ヶ月前からベータ版として入手可能だった。またAppleは新バージョンの変更点をきわめてオープンにしてきた。主な変更点はソフトウェアのダウンロードの際にも表示されるので、ここではiOS 10特有の新しいユーザー体験を紹介したいと思う。

私はメインのiPhoneに6月にiOS 10ベータをインストールし、この夏中利用してきた。今日からiOS 10は正式版としてアップデート可能だ(無料)。まず目につくのは大量の新しい絵文字かもしれない。「新しい絵文字」と聞いて大勢のユーザーが「設定」に殺到してiOSのアップデートを試みている様子が想像できる。絵文字の追加は新OSのインストール率をアップする戦術としてたいへん巧妙だった。

アプリの新しいエントリーポイント

しかし絵文字はどちらかといえば飾りであり、iOS 10の本当の価値は目につきやすい飾りの背後に隠されている。iOS 10をインストールしたとき、私は3つの変更点に気づいた。まずデバイスを取り上げると自動的にスリープから復帰する。ボタンを押す必要がない。ホームボタンがロックスクリーンにある新しいデバイスの場合はその役割は異る。ユーザーはTouch IDを起動するためにロックスクリーン上のホームボタンを押す必要がある。さらに重要な点だが、ロックスクリーン自体がゼロから作り直されている。

壁紙を覆い隠すようなプッシュ通知は姿を消した。iOS 10での通知はmacOSの場合にやや似た個別のバブル表示になった。それぞれのバブルに表示される情報は以前より多い。いちばんいいのはバブルを拡大できることだ。3D Touchの場合、通知バブルを「深く押す」と小さなアプリが開く。まだすべてのアプリがこの機能をサポートしているわけではないが、大きなポテンシャルだ。

Apple自身のアプリはサードパーティー・アプリのプラットフォームとなった

たとえばメッセージの一つを深く押すと小さなMessagesアプリが起動され、現在のメッセージ・スレッドが表示される。ユーザーはロックスクリーンを離れないままでチャットのやり取りができる。Messagesアプリを起動することなくほとんどの機能が利用できる。呼んだUberの位置を調べたい、 Instagram写真を見るなどのときにも便利だ。

同様に、ホームスクリーンから小さなウィジェットを呼び出すことができる。この場合もアプリを起動する必要はなしに天気予報を見たりカレンダーに登録したアポを確認したりできる。こうしたウィジェットを「今日」タブに追加する方法は従来どおりだ。しかし今後はホームスクリーンから直接内容を見ることができる。

次はエクステンションだ。Appleは大量のエクステンションをApp Storeに掲載している。ユーザーはSiriやメッセージ、電話などのアプリにエクステンションをインストールして機能を拡張できる。コントロール・センターに追加された新しい「ホーム」パネルについても同様だ。

この包括的な変更のおかげでユーザーは何かしようとするとき、それに適したアプリを探して起動するという操作が必要なくなった。つまりApple自身のアプリがサードパーティーのアプリを立ち上げるためのポータルの役割を果たす。

iOS 10ではSiriやWeChat使って友達への支払いなどさまざまなアプリを起動できる。。マップでは配車を頼んだり、レストランのレビューが読める。。電話アプリではSkypeなど他社製のVoIP通話がサポートされる。

私はこうした機能をすべてベータ版で実際に使ってきた。たしかにiOS 10はさまざまなアプリの使い勝手にApp Store始まって以來の最大の変化をもたらしそうだ。

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メッセージからメッセンジャーへ

Appleのメッセージ分野への参入は遅かったが、参入するからには徹底的なものとなっている。iMessages App Storeが用意され、メッセージ・アプリ自身がプラットフォームとなった。ユーザーはメッセージのやり取りで写真の上に手書きで図を描き、吹き出しを付加できるだけでなく、スクリーンいっぱいに風船を飛ばすようなエフェクトも送信できる。こうした新しいエフェクトを受け取ればユーザーは嫌でもその機能に気づき、別の友達に試してみるだろう。こうした口コミによる新機能の広がりはAppleが初めから計画したものだと思う。

さらに重要な点だが、私はメッセージ機能の追加されるさまざまなiMessageアプリの出来栄えに感心した。これまで友達とのコミュニケーションで専用アプリ内からやってきたことが、数ヶ月以内にiMessages Appから可能になるだろう。Citymapperの旅行日程を送る、チェスをプレイする、割り勘を精算する、スタンプをやり取りする、などなどがすべてメッセージ内からできるようになる。

こうした追加機能がすべてネイティブ・アプリなのが大きな利点だ。アプリとしてみるとWeChatもメッセンジャーもアプリとしては機能は限定されている。iOSとAndroidのメッセージ・アプリ開発にあたってデベロッパーはウェブ・アプリ開発のテクノロジーを流用している。

これに対してAppleは違うアプローチを選んだ。つまりiOSの場合、メッセージ・アプリを離れずに文書をScanbotでスキャンしてそのまま相手に送れる。この便利さが多くのユーザーにiPhoneを選ばせる理由だろう。

現在のiMessages App Storeはスタートしたばかりで、デベロッパーはその表面をわずかにひっかいたに過ぎない。メッセージにまったく新しい可能性が開けたといえる。

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App Storeの再活性化

スマートフォンの利用における「アプリ疲れ」は現実の問題だ。テクノロジー・ビジネスの人間は別として、私は新しいアプリをインストールするよう友達を説得することが事実上不可能になっている。誰もApp Storeで新しいアプリを探す気にならない。

AppleはApp Storeから大量の放置アプリを削除中―カビのはえたパンを食べる者はいない

私の結論はこうだ。iOS 10におけるAppleの真の狙いはApp Storeの再活性化だ。当面は小さい変化から始めているようだが、それでもアプリ登録のための審査時間は劇的に短縮された。またデベロッパーはアプリのプロモーションのために検索広告が利用できる。 Appleが放置アプリの削除にとりかかっているのカビのは、カビのはえたパンを食べる者はいないからだ。

iOS 10でAppleはさらにiMessage App Storeを新設し、メッセージ内に新しいアプリをインストールさせようと図っている。このいわばミニ版のApp Storeは従来のApp Storeよりはるかに見通しがよく、ユーザーを萎縮させないよう気が配られている。

iOS 10は新しいアプリ・プラットフォーム

まだiOS 10の新機能の紹介の半分も済んでいない。新しいフォト機能、新しいApple Music、新しいコントロール・センター、それにデフォールトのアプリが削除可能になったことなど、歓迎すべきアップデート満載だ。さらに数多くの巧妙な隠し機能があり、大勢のライターがテスト中だ。読者がiOS 10の技術的詳細に興味があるなら、ここ数ヶ月は読み物に困らないだろう。

私の結論はこうだ。AppleはモバイルOSを柔軟かつオープンなアプリ開発プラットフォームに変えることに成功した。ユーザーがアプリを探し、インストールし、利用する方法はiOS 10で根本的に変わるはずだ。この点はすぐには実感されないかもしれないが、長期的にはApp Storeを生まれ変わらせることになると思う。

〔日本版〕 日本語iOS 10のダウンロード、インストールはすでに可能。訳者のiPad Airでは特に問題なくアップデートが完了した。時間は再起動含めて20分程度かかった。万一の場合を考え、パソコンに接続するなどして事前にデータのバックアップを取っておくことが推奨されている。3D Touch未装備のデバイスの場合、ロックスクリーン上の通知バブルをスワイプすると従来どおりアプリが起動される。パスコードを設定している場合はここで入力が求められる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+