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ストリートアカデミー
street academy

スキル学習のマーケットプレイス「ストリートアカデミー」が総額1.5億円を調達、地方展開と“学びの楽しさ提供”を強化

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個人が自分の持つスキルを講座として販売できるマーケットプレイス「ストリートアカデミー」を運営するストリートアカデミーは9月30日、モバイル・インターネットキャピタル、Genuine Startups、第一勧業信用組合、フューチャーベンチャーキャピタルの4社が運営する投資ファンド、およびマイナビの合計5社を引受先とする総額1.5億円の第三者割当増資の実施を発表した。

サービスの成長までは「紆余曲折あった」

ストリートアカデミーは2012年8月に運営を開始。個人が持つスキルを学びたいニーズとマッチさせ、教室やワークショップが開催できるサービスだ。オンラインではなく、リアルに対面で講座が開かれるのが特徴で、2016年9月現在、登録生徒数が9万人、登録講師数は8000人を数える。順調に成長を遂げているように見えるが、ストリートアカデミー代表取締役社長の藤本崇氏によれば「紆余曲折あって、ここまで伸びるのには時間がかかった」という。

「オンラインで講師と生徒をマッチングさせているにもかかわらず、ローカルで講座を開催する、というスタイルは制約が多く、ハードルは高い。同様のサービスを提供していた他社はみんなやめてしまった。ストリートアカデミーでも、講師となるユーザーに成功体験をなかなか提供できなかったが、この1年、ようやく『人が人を呼ぶ』状況になり、成功体験もできてきた。地方開拓が進んで、福岡、大阪などで実態として盛り上がりも見えてきて、最近になって、地方への進出を実感するようになった」(藤本氏)

最近のサービス伸展の理由について、藤本氏はこう分析する。「平均単価はスタート当初の2000円から5000円半ばへと、ずっと順調に上昇傾向で推移していることから、講座のクオリティの高さがうかがえる。実際、現役のプロや士業の方が開催している講座も多い。そうした下地があるところに、先生の数が数千の単位を超えてきたことで、インパクトが出てきた。以前は土日開催が多く、どうしても東京中心となっていた講座の時間と場所が、講師の増加により広がったことで、学びの選択肢が増えている。つまりコンテンツとしての講座の密度が売上に結びついていると考えている」

ストリートアカデミーは、2015年12月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が主催するT-Venture Programで最優秀賞を受賞しており、それを機に各地のT-SITE店舗や蔦屋書店などでコラボ講座を開催している。これまでに、東京・二子玉川の蔦屋家電ではビジネスパーソン向けのプレゼン講座、湘南T-SITEでは親子向けアナウンサー講座、福岡・天神のTSUTAYA BOOK STORE TENJINでは起業に関するセミナー、と地域ごとの特性に合わせた公式講座を実施してきた。藤本氏は「こうした場所でアンテナショップ的に講座を開催することで、各地域で“自由で気軽な学び”に触れてもらい、全国展開につなげたい」と語る。

今後は「地方開拓」と「学びを楽しくすること」が課題

今回の資金調達について、藤本氏は「これまで『先生を集めて、いかにおもしろく教えることができるか』に注力したことで、コンテンツとなる講座は集まった。今後、成長のギアをさらに加速するためには『生徒にいかに学ぶことをおもしろく感じてもらうか』が重点となるので、そこを強化していく」と話す。

現状のストリートアカデミーで生徒側ができるのは、自分が身につけたいスキルの講座を探して見つけることだけだ。一人あたりの受講回数は平均2回にとどまっているが、「1回あたり3000円から5000円の講座なら、もっといろいろなものにトライしたい、と思ってもらえなければ」と藤本氏は言う。

このため、ストリートアカデミーではプロダクト開発とブランディングを兼ねた“学びのキュレーション”プロジェクトを開始。8000ある講座のうちから何を選ぶか、「ビジネススキル」や「セルフメンテナンス」などのテーマを設定し、目的別に4つの講座を組み合わせてストーリーを提示するようにした。今後は提案した講座をパッケージ化して、まとめて申し込みができるようにするほか、ゆくゆくはユーザー自身がセミナーをセレクトして提案できるようなシステムにしたいという。「我々がコンテンツを一生懸命引っ張っていっても、どうしても限界がある。ユーザーがユーザーを呼ぶ、という状況になることがサービスの成長につながる」(藤本氏)学びのキュレーションプロジェクト

さらに藤本氏は「受講を継続して楽しんでもらうためには、『スキルが身に付いたことで仕事につながった』『イキイキした生活を送れるようになった』といった満足感や自己肯定感の提供が必要だ。具体的には、スキルアップの進捗を可視化することや、メダルや何らかの認定表示をすることで達成感を持ってもらうような(ゲーミフィケーション的な)仕組みを考えている」とも話した。

スキルの可視化については、増資の引受先の1社、マイナビとの連携による求職市場への展開も検討しているという。「Lynda.comを買収したLinkedInの例もあるが、学んでいることをもっとアピールできればよいと思う。Excelでもプレゼンテーションでも身につけたスキルを見える化することで、意識の高さを表現できれば就職活動にも役立つはず」(藤本氏)

加えてストリートアカデミーでは、地方の開拓にも力を入れていく。調達先投資ファンド運営の1社である第一勧業信用組合は、四谷に本店があり、東京を営業エリアとする信組だが、全国信組連合のパイプを通じて各地との結びつきが強く、東京進出を考える地方の顧客とも連携を進める取り組みを行っている。「ローカルの商店街や商工会議所などが提供できるスキルやスペースの情報をはじめ、彼らの視野が加わることで地方開拓が進むことを期待している」(藤本氏)

「地方開拓」と「学びを楽しくするためのサービス強化」の先の目標について藤本氏は「スマホが浸透し、GDPの成長が著しい東南アジアへの展開を目指したい」という。「スマホアプリからの予約は国内でも伸びていて、モバイルの可能性に手応えを感じている。一方、東南アジアではパソコンの普及率は低く、公共の教育機関も充実していない状況。そこでオンラインで完結するセミナーでは浸透しない。“知の流動化”を起こすためには、モバイルを活用した上で『近くにいる人に聞きに行ける』仕組みが提供できる我々に強みがある」(藤本氏)

「学びの場を地域別に地道に広げていくのは一見遠回りに見えて、実は近道なのではないかと感じている。学ぶきっかけや刺激、気づきをもたらす場に必要なのは、複数の人がリアルな対面をする状況。やる気を起こし、壁を乗り越えて、能動的にスキルを身につけるには、実際に行って教えてもらうのが手っ取り早い。ウェブ上でマッチングさせながらリアルな人のつながりを生み出すのは本当に大変で、面倒ではあるけれども、競合はいない」(藤本氏)