Jeff Besos
New Shepard

ベゾスのBlue Origin、ロケットからの乗員脱出テストに成功―ブースターも5回目の垂直着陸

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アーリーステージの企業がShippoのシリーズAから学ぶべきこと

今日(米国時間10/5)のBlue Originの飛行テストは成功したと同時に非常にユニークなものになった。今回ジェフ・ベゾスの宇宙企業では乗員安全確保システム(打ち上げ時にロケットに異常があった場合、乗員を安全に退避させる)を実験し、乗員カプセルは正常に回収された。この際、New Shepardロケット自体も(予定外だったが)安全な垂直着陸に成功した。

Blue Originではこのテストで打ち上げロケット本体を無事に回収できる可能性は低いとみており、事前にそのことを強調していた。ベゾスはメール中で「今回の乗員カプセル回収テストではブースターはすでに飛行中であり、条件は極めて厳しいのでブースターはおそらく破壊されるだろう」と述べていた。〔ビデオでは1:06:16にブースターのエンジンに点火〕

このテストでブースターは破壊されるだろう。ブースターはフライト中の乗員カプセルの脱出に耐えるようには設計されていない。

ともかく今回の実験の目的はクルーカプセルを飛行中のブースターから脱出させ、安全に着陸させることだった。ブースター自体の回収は目的に入っていなかった。しかしビデオで見られるとおり、ブースターも垂直着陸に成功し、New Shepardシステムの堅牢性を示す結果となった。このブースターにとっては今回が5回目の垂直着陸成功だった。またこれが最後の飛行となるようだ。ベゾスはこう述べている。

もしブースターも無事に生き残るようであれば、われわれは功績を讃えて引退パーティーをを開催し、ブースターは博物館に展示したい。

今回の実験はもちろん無人で行われた。打ち上げ途中で飛行継続できない異常が発生するという極限的な場合を想定した実験であり、そのような場合のシステムの挙動の情報を収集し、分析することが第一の目的だった。Blue Originが脱出システムを作動させるとロケットモーターによってカプセルはブースターから分離した。分離が行われるのは飛行中の空力的な圧力が最大になる地点が選ばれた。

この地点はシステムが音速を超える瞬間であり、Max Qと呼ばれ、カプセルに最大の力がかかる困難な地点と考えられている。今回のMax Qは高度1万6000フィート(4.9km)だった。

35分の遅れの後、東部時間午前11時35分にNew Shepardはウェストテキサス打ち上げ基地から発射された。打ち上げ後45秒で固体ロケットが2秒間噴射され、クルーカプセルをブースターから切り離した。〔ビデオでは1:07:03で脱出ロケット点火〕

Blue Origin escape system activated / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originの乗員脱出システムが作動 / Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

分離成功後、乗員カプセルは通常の手順どおり、姿勢安定用のドローグ・パラシュート、続いて減速用のメイン・パラシュートを開いた。カプセルはリング状のフィンによって姿勢を制御しながら下降し、最後にエンジンを逆噴射して時速3マイル程度で静かにタッチダウンした。

Blue Origin crew capsule touching down in West Texas / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originのクルーカプセルがウェストテキサス打ち上げ施設付近にタッチダウン/ Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

クルーカプセルのタッチダウンから3ほどでブースターも安定した姿勢で垂直着陸に成功した。このブースターがこれで連続5回、垂直着陸に成功しているというのはNew Shepardの安全性を考える上で印象的だ。

blue-origin-et-rocket-landing

Blue Originが打ち上げ時の乗員脱出のテストをするのはこれが初めてではない。2012年10月には同じクルーカプセルを使って静止状態からの脱出実験を実施している。ただしこのときは実物のブースターは用いられていない〔下のビデオ〕。

今回の脱出テストで用いられたクルーカプセルは2012年のテストで用いられたカプセルそのものだ。発射台に静止している状態からの脱出と異なり、加速して飛行中のブースターからのカプセル切り離しは考えられる中でもっとも過酷な条件でのテストだった。

こうしたテストは有人飛行のために必須の準備だ。ベゾスは早ければ2018年にも宇宙高度に乗客を送れると述べている

まだ有人での飛行ミッションは行われていないものの、ベゾスとBlue Originはさらなる未来を計画中だ。先月、Blue Originは衛星打ち上げ能力を備えた新しい大型ロケット、New Glennの開発計画を公式発表した

New Shepardと同様、New Glennのブースターも垂直着陸による再利用を目指している。今回のテストの成功をみるかぎり、Blue Originのブースター再利用による衛星打ち上げ計画は着々と前進しているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+