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ココペリインキュベートが1億円を調達、金融機関向け融資審査AIをローンチ予定

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中小企業向けスポットコンサルサービスのSHARESを運営するココペリインキュベートは、SBIインベストメント横浜キャピタルアドウェイズTISの4社を引受先とする第三者割当増資で、計1億円を調達したと本日発表した。

今回調達した資金は、既存ビジネスのBPO事業(給与計算・経理代行)とスポットコンサルサービスSHARESに続いて第三の柱となる、金融機関向けの融資審査AIエンジン・SHARESΦ(シェアーズファイ)の開発にあてられる。

中小企業の財務管理負担を軽減するサービス

ココペリインキュベート代表取締役の近藤繁氏は、もともと金融機関で中小企業への融資業務を担当していた。その現場で、財務管理が不十分なために融資を受けられないでいる企業を目の当たりにしたことから、中小企業をサポートするという使命感に目覚め、ココペリインキュベートを設立。

当初の財務コンサルティング業務から派生して、給与計算や経理作業を代行するサービスをスタートさせると、顧客から契約や登記関連業務の相談を受けるようになり、それをきっかけに同社は専門家と中小企業をマッチさせる、スポットコンサルティングサービスのSHARESを2015年6月にローンチした。

今では340名以上の専門家と1000社以上の企業が登録しているSHARES上では、既にSHARES AIという人工知能を利用したサービスが提供されている。企業が財務・労務・給与等の関連データを入力すると、AIがその内容を分析して、資金調達や助成金申請のタイミングなど経営課題に関する通知を行うようになっているのだ。

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AIで中小企業がお金を借りやすい環境をつくる

SHARES AIとは別のサービスとしてローンチ予定のSHARESΦは、月次の財務情報を基に与信判断を行うことができるAIエンジンだ。

大企業に対する貸し出しの状況はリーマンショック以前のレベルに回復している一方、中小企業への貸し出しについては、依然2008年の状況からそこまで好転していない。というのも、一般的に金融機関の与信審査は年次の財務情報を基に行われるため、一過性の減益などに左右されやすい。そのため、業績にブレが出やすい中小企業に対しては、銀行もリスクを取りづらい構造になっているのだ。

しかし、月次の情報を参照すれば企業の実態を深く把握でき、細かなリスク判断が可能になるため、金融機関も中小企業へ貸し出しを行いやすくなる。また、情報の受け渡しはクラウドベースで行われるため、融資担当者が決算書を受け取りにわざわざ企業を訪れたり、郵送を依頼したり、紙に印刷されたデータを金融機関側で再入力したりする手間もなくなり、結果的に審査プロセスがスピードアップする。

既にいくつかの金融機関で実証テストが開始されており、2020年までにSHARESΦを50の金融機関に導入することを目指していると近藤氏は話す。

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また、SHARES AIは、クラウド会計ソフトのfreeeやMFクラウドとのAPI連携に対応しているほか、130万以上の登録ユーザー数を誇る弥生ともCSV連携できるようになっている。そのため、将来的には会計ソフトの情報をダイレクトにSHARES AIへと供給し、企業が資金調達のタイミングに関する通知を受け取ったら金融機関に連絡をとり、金融機関がSHARESΦ経由でその情報をもとに融資審査を行う、という一気通貫サービスが提供できるようになるかもしれない。

顧客ベース拡大に向けて

今回投資に参加したSBIインベストメントは、今年の6月に300億円規模の「FinTechファンド」を設立しており、SHARES Φの顧客獲得に向け、同社にはファンドに参加している金融機関とココペリインキュベートの関係深化を促す役割が期待されている。

また、ココペリインキュベートは、横浜キャピタルの親会社にあたる横浜銀行や他数社と共に、小口融資の自動審査システムを開発するためのコンソーシアムを今年立ち上げた。そこでは企業からの申し込み後、即日もしくは翌日に融資ができるようなシステムの開発にあたっている。

さらに取締役COOの森垣昭氏によれば、弁護士や税理士など士業への営業力に定評のある、アドウェイズ傘下のサムライアドウェイズとの業務提携を通して、SHARES上の登録専門家の数を増やしていく計画だ。

金融機関へのシステム導入実績のあるTISとは、財務情報登録作業の効率化や事務作業の軽減を目的とした同社の既存のシステムと、ココペリインキュベートの与信審査テクノロジーを組合せた新たなシステムの開発にあたっていくとのこと。

その他にもココペリインキュベートは、先月よりビッグローブと提携し、同社が起業家向けに提供している創業支援サービスの一部として、SHARES経由の相談サービスを提供している。

今後もSHARESを利用する企業数の拡大に取り組むと共に、 特許出願中のSHARESΦで、融資先を増やしたいと考えている金融機関と資金調達のハードルに苦しむ中小企業のギャップを埋めていく考えだ。